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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
六章 Near rulernism~そして支配者はほくそ笑む~                                         
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かくて少年は破滅に向かう …1

 ――さて。


 ここで話をまとめよう。

 俺、巽野響輝は今から数日前、この街に越してきた、一介の高校生だ。


 そして、こんな街に来てしまったばっかりに、位置外の高校生になってしまった。


 地球上のありとあらゆる生命体の中でも、人類はかなり特殊な存在だという。

 それは、全ての個体がそれぞれに独自の思考回路を有し、それにより、心境の変化、すなわちは“感情”や“心”を持っている、ということだ。


 無論、犬や猿なども、感情の表現はする。だが、複雑な言語を操り、物を扱う人類とは一線を期しているだろう。


 個々の感情、世界観は確かに存在する。しかし、この世界は解れることもなく、未だに歴史を刻み続けている。



 銀髪の少女――祗園、鈴――は言った。

「世界の均衡が保たれるのは、人間の感情が溢れ、暴走する前にそれを喰らうものが存在するからなのです――――」


 つまるところ、恐怖に鬼と書いて“恐鬼(おに)”と読む、異形の者たちもこの世界には必要な歯車の一つというわけなのだ。



 しかし、その均衡は長くは続かなかった。

 人でありながら人を凌駕するエネルギーを秘めた存在、つまり、ここで言うところの“鍵”。


 感情を喰らうだけの存在である“恐鬼”の食欲をも暴走させ、自らを求めさせる。

 人自体を喰うようになった恐鬼を元に戻すことは出来ない。


 仕方なく、いや、必然的に、恐鬼の存在を知る人々は闘いを始めた。


 神話における悪魔や魔物、昔話の妖怪など、それら全てが食欲に狂った“恐鬼”だと言われている。


 人は知らずして知り、世界はそれを受け入れる。



 ……否、“変えることの出来ない法則”、だったか。 


 しかし、俺は何のためにここにいるのか。

 俺の唯一無二の友であるハーテッド曰く、

『お前がいるのはお前がここに居たいと思っているからであろう?』

 だそうだ。


 しかし、世界にとっては“鍵”は異分子だ。

 受け入れつつもそれを排除するための暴走。


 世界は“鍵”を敵視する。

 世界の側には“恐鬼”があり、暴走が故に人を暴食する。


 ……では“鍵”の側には何があると言うのか。


 鈴や、俺が数時間前に出会った浅滅という男によれば、それが“逸れ者”と言う存在なのだそうだ。


 “鍵”の宿主である人間の、最も想いを寄せる人間が突然変異の如く変質する。


 その人の思いは関係なく、“鍵”は変貌させる。


 ある思想家、哲学家は言う。人は逃れられない宿命の下で生きると。


 だから、その変貌も、ただ一人の人間が生きる人生でしかないのだと思う。


 だから、

 だから、


 だから……。


 されど、俺は破滅へ向かっていく。

 それすら世界は、“鍵”は、定められたことなのだというのだろうか……。

中間点です。

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