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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
六章 Near rulernism~そして支配者はほくそ笑む~                                         
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いかに少女が辛くとも …2

 病院には誰もいない。まあ、当然だが。


「奴らはここにはいないのか?」

 無人の病院なんて、絶好のシチュエーションだと思うが。


「奴らにシチュエーションなんか関係ありませんよ」

 前を歩く鈴が振り向かずに言う。


 リノリウムの床が歩くたびに乾いた音を立てる。

 これでは音が立ちすぎる。ここでの戦闘は避けた方がいいな。

「そうですね。元より、救命用具を頂いたらここに用はありませんし、すぐに出ますよ。“恐鬼”は人間の居る数だけ存在します。それはつまり、数で勝れないですが、人があまりいない場所の方が安全だということなのです」

 人の数だけ恐鬼は存在し、人のそばには恐鬼が存在する。

 仲間が多い方が、むしろ危険……。


「ですね。助けを求める人々は助けます。ですが、それ以外は……」

 どうかしてるな。

 この世界の仕組み自体、間違っている。


「ですが、それが現実です」

 相変わらず冷たい奴だ。俺みたいだ。

「人聞きが悪いですね。響輝さんに似てるだなんて、この上無い屈辱ですよ」

 酷い言われようだ!


「あまり騒がないでください。奴らに気付かれます」


 鈴が医療室に入り、懐に救急バンなどを入れながら言う。

 その時だった。


「きゃあああああああああああああああああああ!!」

「!」

 悲鳴……だと!?


「生存者がいたんですか!?」

 鈴が焦ったように言う。

「行くのか?」


 しばらく鈴が俺を見据える。

「……当然です。人として。私はまだ、人でいたい」

 鈴は思い直したように、俺を見、言った。

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