表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lost Days  作者: 陽炎煙羅
六章 Near rulernism~そして支配者はほくそ笑む~                                         
105/261

いかに少女が辛くとも …1

「だいたい、響輝さんが悪いんですよ」


 俺の目の前で、銀髪の少女が大鎌を携えて立っている。


「全くだ」

「開き直らないでください」


 結局俺は驚くべきスピードで道路を駆けていく祗園鈴に追いつくことが出来ず、走り込みで土下座することにより、ようやくお許しを得た。単に引かれただけかもしれないが。


「場所はこまめに移動した方がいいようですね」

 鈴が目の前にそびえる龍ヶ峰総合病院を見上げながら言う。


「そうだな」

 俺はそれに感情を込めず答える。


 龍ヶ峰総合病院は、龍ヶ峰市の中で一番大きい病院だ。

 なんでも、少し前に一度そうとう難しい手術に成功したらしく、名声は高いらしい。


 そういえば、この街が閉ざされてしまってから数日が経過しているな。

 外はどうなっているんだ?


「外……ですか」

 そのことを問うと、鈴は難しそうな顔をして少し上を向いた。


「……口で説明するのは難しいのですが、今“街”は外界から隔離された空間にあります。今外では、この街は無かったことになっているのです」

「無かったことに……だと?」


「はい。文字通り、亡くなっているのです。既にこの街は存在自体がなかったことになっています。地上から、歴史上から、消えて亡くなっているのです」

 そんなことが……。


「知っている者は、その現象を時間(タイム)錯誤(パラドックス)と呼んでいます。歴史が修正されることは、世界に多大な負荷を与えるのです。いくつもの矛盾が生まれています。しかし、そこに私たちが突く隙があります」

 隙……な。

「はい」

 鈴が先んじて病院の入口に歩いて行く。

 俺はそれに続く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ