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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
六章 Near rulernism~そして支配者はほくそ笑む~                                         
101/261

例えば少年の場合 …4

100話目になりました。

感想、誤字など指摘がございましたら、遠慮なく言ってください。

僕の士気が上がります。

 ――はたして、俺も……いや、この街に生き残っている人間が皆、異常な状況に流され、侵され、穢され、望まずとも受け入れてしまっていたことになど誰が気付けたことだろう。

 生物としての生き残るための本能か、人々(俺も含む)は大きく二つに分かれていた。


 一つは、諦めて死を待っている者。


 もうひとつは、先ほどの宮島のように、戦うことにより、生き残ろうとしている者だ。


『さて貴様はどちらなのだろうな、響輝よ』

 さてな。どちらでもないんじゃないか。

 どうやら俺は“逸れ者”らしいし。


「キイイイイイイイイイイイッ!!」

 “鳥人間”が奇声を上げながらこちらに飛びかかってくる。


「巽野さんっ!」

「はいはい」

 俺は懐から一丁の()を取り出した。


 フレームの色は、メタリックな銀色。

 今俺が構えているのは、シルバーモデルのベレッタM92F。

 世界最強の軍隊とも詠われる米国の全四軍が使用する世界で最も代表的言えるハンドガンだ。

 1985年にハンドガン・トライアルの結果、採用されたなかなか高性能な銃である。


 何故俺が今こんなものを所持しているのかについては、この学校に来るまでのいきさつと、東区中央

商店街での乱闘を思い出さねば語れまい。

 幾体かの恐鬼に追われながら逃げ込んだ、商店街の一角にあった古めかしい猟銃店。


 ライフルなど、鎖で縛られていたであろう猟銃達は既に少し頭の回る生き残りの人々に持って行かれた後だったが、このハンドガンはそこのカウンターにあった鍵付きの引き出しの中で見つけた物である。

 俺はこう見えて几帳面なのだ、嘘ではない。血液型もRH+のA型だ。いたって普通の人間である。


 セーフティは外してあるそれのグリップを握り、こちらに飛びかかってくる“鳥人間”に照準を合わせ、装填していた銃弾を、放つ。


 ぱあん、という乾いた音と共に、“鳥人間”の眉間に風穴が空いた。


 しかし俺の身体、妙にチューンアップされている気がする。命中率……。


「先ほどにも述べた通り、あなたは身体能力が普段とは格段に上昇しています。そういう風になっていいるのです、“逸れ者”は」

「……さっきから気になっているんだが」

「はい?」


 こいつ、この手の話題だと、いつもいつもこうだ。

「お前、“鍵”や“恐鬼”のことになると……なんだ。根拠と言うか、自分の意見と言うか……。何なんだ? 世界の法則だとか、そうなっている、だとか」

「ああ……」

 鈴が少し口ごもる。


「……分かっていないんです。何も」

「分かっていない?」


「はい。私は“鍵”の少女に会った。“逸れ者”になった。戦うべき相手、斃すべき敵は“恐鬼”。それだけんです。後は死ぬか、生きるか。決まり切っていて理不尽な法則なんです。逃げることもできず、止めることもできない」

 面倒な言い回しだな、全く。


 つまり、お前はその明治初期からずっと、相手の正体も分かっていて、自分がどういう存在かも理解していて。……それなのにその理由(・・)が解らない、というのか。


「……そうですね」

 鈴が力なく答えた。

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