22
俺は人影がないところで仮面を外し、そのまま宿屋へ向かった。
「はぁ、やっと帰って来れたよぉ。」
『おかえりなさい、あなた。』
なんだろう?すごくホッとする言葉だ。前の人生では、こんなこと言われたこと・・・悲しくなるからやめとこう。
「ただいま、雫。」返事を返して、俺はベット倒れる。そして、ふと思い出しリュックから卵を取り出す。
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ドラゴンの卵
魔力を与えると生まれる。
(120/30000)
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とりあえず、MP10000を与えてみよう。
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ドラゴンの卵
魔力を与えると生まれる。
(10120/30000)
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残りのMPは明日以降だな。そして、俺は明日からの予定を頭の中で整理していく。
まずは、8時〜14時は学校。それ以降は、クエストを受けて冒険者ランクを上げる。この迷宮都市には3つのダンジョンがある。難易度は上からA,B,Cのダンジョンだ。C級ダンジョンに入るには、冒険者ランクがD以上じゃないと入れない。つまり、ダンジョン難易度の1つ下までの冒険者ランクではないと入ることができない。例えば、A級ダンジョンに入りたい場合は個人ランクがB以上か、パーティーランクがB以上ではないとダメなのだ。
俺は、まだFランクなので、最低でもDランクになる必要がある。冒険者ランクを上げるには、クエストをクリアして、ポイントを稼ぐ必要がある。
Fランクのクエストは1ポイント、Eは2、Dは3、Cは4、Bは5、Aは6、Sは7、SSは10ポイントと、それぞれ獲得ポイントが違う。
F〜Eランクに上げるには20ポイント必要だ。そして、クエストは個人またはパーティーのランクの上下のランクのものしか受けられない。ただし、SSランクはAランクまでのクエストまで受けることができる。
必要ポイントはこんな感じ。
Eランク20ポイント。
Dランク40ポイント。
Cランク80ポイント+護衛依頼3回以上。
Bランク160ポイント+盗賊or賞金首の討伐。
Aランク250ポイント。
Sランク300ポイント。
SSランク350+ギルドマスター3人以上の推薦+貴族領主3人以上推薦。
このポイントが必要になる。大抵の人間はC〜Aランクで頭打ちと言われている。Sランクからは一握りの人間しかなることができない。
とりあえず、ランクを上げなきゃ始まらないので、明日からは全力でクエストをクリアしていこう。今日は疲れたので、早いが明日に備えて寝ることにした。
3日後・・・この3日間、寝る前に必ず魔力を与えていた卵が孵った。朝起きると、目の前には白い鱗に覆われ、目がクリッとしたドラゴンの赤ちゃんがいた。ドラゴンはその可愛らしい瞳を見開いて、甘えるように俺に顔を擦りつけてきた。
「キュ〜ウ〜!」
うはっ!この鱗の感触、スベスベで気持ちいい〜。
「なんだお前。メチャクチャかわいいなぁ。」
『あ〜ん、私も早く触りたいです〜!』
俺はドラゴンの赤ちゃんを両手で抱いて、ベットから上半身を起こす。そんな俺に抱えられて、頭を傾けながら、その蒼い瞳で上目使いで見てくる。
「キュウ〜?」
くっはっ!ヤバイヤバイ。俺を殺す気かっ!?てかっ!雫さん、早く触りたいってどういうことっ!?
『ふふっ、まだ秘密ですっ。楽しみにしててください。』
雫のセリフに驚きながらも、朝からとても癒された。
鑑定。
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名前 なし ♂1才
種族 ホワイトドラゴン
Lv1
HP900
MP1300
STR400
VIT300
AGI520
スキル
影潜り(契約者の影に入ることができる。)
魔法属性 雷Lv1 聖Lv1
ギフト
反射Lv1
契約者 アレン
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俺の魔力を与えたからか、魔法属性とギフトが俺のと同じだ。しかも、おまけに聖属性まである。ん?影潜り?契約者の影に入れるのか。
「なぁ、影潜りをやってみてくれないか?」
「?キュウ〜っ!」
言葉通じたのか、ドラゴンの赤ちゃんは俺の腕から抜けて影へと沈んでいった。
「おお〜、これがあれば宿屋に置いていく必要はないな。出てきてー。」
そう言うと、影からヒョコッと頭だけを出し、また俺に擦りつけてくる。かわいー。
「よしっ!お前の名前は『ハク』だ。よろしくな。」
「キュッキュウ〜。」名前が決まったからか、ハクは嬉しそうに鳴いた。
ハクを影に入れて、学校へ行く。俺の学校での成績は良くもなく、悪くもない。あまり目立ちたくないからだ。ただし、俺の魔法属性はめずらしいらしく、表向き俺は魔法が使えないことになっている。なので、そんな俺をクラスの連中は蔑むような目で見てくる。ただし一度、授業中に土属性で出した石を俺に投げつけてきた奴がいたが、雫のオート反射が反応して、そいつに跳ね返ったことがあった。そいつは跳ね返った石が顔に当たりそうになったのを反射的に腕で庇ったが、予想より威力が強かったため、腕の骨が折れてしまった。
そんなことがあってからは、俺が何かしらのギフトを持っているだろうと思った連中は特にちょっかいを出してくることはなくなった。
学校が終わり、人影のない所で服を着替え、仮面を被る。今から冒険者ギルドに行ってランクの更新だ。1日に3〜4個の依頼を達成していた俺は、FランクからEランクに上がることができた。
受付に行き、ギルドカードをだして更新手続きをお願いする。しばらく、待っていると受付のお姉さんに名前を呼ばれた。
「イナズマさん、おまたせしました。こちらのギルドカードをお返ししますね。Eランクおめでとうございます。あと、ギルドマスターがお呼びです。こちらに来てください。」
そう言って、お姉さんは俺の腕を掴む。まるで、『逃がしません』といわんだかりの力だ。そして、そのまま2階へと案内され、今はギルドマスターの目の前にいる。
「やぁ、Eランクおめでとう。順調そうだね。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
「今日、君を呼んだのは聞きたいことがあったからなんだ。」
もしかしなくても、多分あれのことかな〜?いや、でも顔見られてないし、違うかな。そんなことを考えながら、俺は3日前のことを思い出す。絡んできた冒険者を殺し、その背後にいた犯罪組織を壊滅させ、監禁されてた子供を助けた。
「数日前に、ある貴族のご子息とご令嬢が誘拐される事件があったんだけどね。その誘拐した犯罪組織が3日前に、壊滅していたんだよね〜。救出されたご子息とご令嬢は『仮面を被った少年が助けてくれた。』と言っているんだけど、私には心当たりがあってね。ちょうど3日前にそんな少年が高ランクの魔物を販売所に大量に持ち込んで、ここに呼び出されたんだけど、君は知らないかな?」
やっぱりなぁ。てかこの人、性格悪っ。分かってて呼び出したじゃん!しかも、こいつのギフトは人が嘘ついてるかわかっちゃう厄介なやつだし、どうしようかな。
『反射を使えば誤魔化せますよ。』
マジ?
『はい。このギフトは物理だけでなく、呪いや鑑定など、あなたに対しての全ての森羅万象を反射できます。』
すげー、さすが神様からもらっただけあるわ。じゃ、お願いします!雫さん。
『まかせてください!』
「呼び出されたのは俺ですけど、犯罪組織うんぬんってのは知りませんね。」
「・・・? あれ〜、おかしいなぁ。絶対に君だと思ったんだけど、嘘じゃなさそうですね。では、同じく3日前に路地裏で君に絡んだ冒険者の男達が死体で発見されたのは知っているかい?その連中は、証拠は掴めなかったけど、結構悪い組織と噂があったんだよね。」
「へぇ〜、そんな噂があったんですね。その連中が死体で見つかったことも今初めて知りました。」
背中に脂汗をかきながらも、俺は表情を表にださずにシラを切ることができた。
「ふむ。どうやら、私の思い過ごしだったみたいだね。ありがとう、呼び出して悪かったね。」
何とか誤魔化せた俺は1階に下り、今日の分の依頼を受けることにした。
4日後、やっとDランクに上がることができた。そして今日からはダンジョンに挑戦だ。
・・・と思ったのだが・・・
いざ、ダンジョンに入ろうとしたのだが、入口前にいた警備隊の男に止められた。
「こら君、歳は?冒険者カード見せて。」
そう言われ、俺は男にギルドカードを見せた。
「君、まだ12歳じゃないか。ダンジョンに入れるのは15歳からだよ。」
えぇっっっ!!そうなの!?
「えっ!年齢制限があるんですか!?」
「そうだよ。知らなかったのかい。冒険者学校で習うはずなんだけどなぁ?」
そんなの習ってないよ。
『基本的には冒険者登録は何歳でもできるみたいですが、大抵の人は学校を卒業してから冒険者の仕事をこなすので、まだ入学して10日も経ってないから授業で習わなかったみたいですね。』
マジか・・・てか、そんなの冒険者登録の時に最初に説明する案件だろ。
『入る手はあります。』
おっ!さすが雫さん!どうすればいいんですかっ?
『単純に、あなたの気配遮断と隠密のスキルレベルなら、誰にも見つからず入ることができますよ。』
なるほどね。てことは、ダンジョン内では誰にも見つかっちゃダメで、依頼もダンジョン関係のは受けられないということか。うん、有りだな。んじゃ、週末の休みの前の日の夜から入ろう。この世界の曜日は無、火、水、土、風、闇、光の7日間。闇と光は休日なので、学校が休みになる。なので、それを利用してダンジョン潜ることにした。とりあえず、今日は時間ができたので、じいちゃんのとこの商会にポーションとかを納品しに行くことにした。
「じいちゃーん、ポーションとか持ってきたよー」
今、俺はじいちゃんが経営している商会に来ている。じいちゃんは、このランバルンで1番の商会の会長だ。有名な商会とは聞いていたけど、まさかここまでデカイとは思いもしなかった。日本の田舎にある、ちょっとしたスーパーを3階建てにしたぐらいの大きさがある。
「あら、坊っちゃん。いらっしゃいませ。会長は今、商談中でして・・・」
「あ、ボンゴさん!こんにちわ。じいちゃんは今、手が離せないのか。ポーションとか持ってきたんだけど、どうすればいい?」
声をかけてきたこの人はボンゴさん。この商会の支店長をしている。実質ナンバー2の実力者だ。
「いつも、ありがとうございます。そうですね。では、裏の倉庫にお願いできますか?すぐに、検品する者を向かわせます」
「了解。じゃ、先に行って出しとくね」
倉庫に着いて、俺はポーションが入った木箱を3つ出していく。この1箱に100本のポーションが入っている。今日は回復ポーションが200本と魔力ポーションが100本。箱を出し終わる頃には、検品してくれる人がきた。
「確かに回復ポーション200本と魔力ポーション100本確認しました。あと、こちらにあるのが次回分の空き瓶になります。次回は回復が200本と魔力が200本でお願いできませんか?」
「了解。2週間後に持ってくるよ。あと、この手紙をじいちゃんに渡しといて」
そう言って、俺は手紙を手渡した。この手紙には「錬金術Lv4になったから、ほしい魔道具なんかあったら言ってね」って書いてある。錬金術Lv4クラスの職人になると、商会側も秘匿にする必要がある。下手にバレると、家族を人質に無理やり商品を作らせる悪徳業者なんかもいると聞いたことがある。
「かしこまりました。会長にお渡しいたします。料金はいつも通り商業ギルドの口座でよろしいですか?」
「うん、それでお願いします。何かあったら宿屋に連絡してって言っといて」
コロナ村にいる頃からポーションを作っていた俺は、ランバルンに来る前から商人登録をしていた。じいちゃんがその内必要になるからと代理で登録してくれたのた。口座の中には12歳ではあり得ないような金額が入っている。冒険者の口座と合わせると10年は働かなくても暮らしていけるだろう。
そして、待ちに待った風の日がきた。
時刻は夜中の0時。相変わらず警備隊員はいるが、昼間と違い冒険者はいない。俺は堂々と警備隊員の横を通り過ぎる。隊員は全く気づいた様子がなかった。試しに警備隊員の目の前でシャドーボクシングをしてみたが、目線すら合わなかった。
『気配遮断と隠密ってレベルが高いとこんなに優秀なんだな・・・』
悪ふざけもほどほどに、中に入ることにした。
このC級ダンジョンは全部で15階層。上層はホーンラビットやウルフ系の獣型の魔物で下層からはコボルトやワーウルフの人型魔物だ。
1階層に降りた俺は、最初に魔力操作で無属性の魔力を触手状に伸ばしていく。
それをダンジョンの1階フロアにできるだけ張り巡らせた。そして、その触手を元にマッピングを始める。これは俺が考えたオリジナル魔法だ。名前は考えてなかったが、ないと不便だから『触手探知』にしよう。気配探知は自分の魔力を超音波のように展開し、跳ね返ってきた反応で探知するが、この触手探知は自分の手で直接触って確かめたかのような正確さが売りだ。さらに、魔力を波状に放出する訳でもないので燃費がいい。ただ、結局はどちらも魔力なので、感の良い魔物や魔力が見える魔眼持ちがいたら直ぐにバレてしまう。
そんなこんなでマッピングを終わらせ、下層に向かう。
触手探知で見つけた魔物は全て殺していった。普通の冒険者は極力戦闘をしないと聞いたことがあるが、正直意味がわからない。たくさん倒して、いっぱいレベルを上げた方がいいと思う。まぁ、このぐらいの魔物だとほとんどレベル上がらないんだけどね。ダンジョンで倒した魔物は地上の魔物と違い、倒すと黒い灰になって消える。その時に魔石を落とす。
俺は走りながら魔物を殲滅していく。魔石やドロップアイテムは触手で掴み、アイテムボックスに入れていく。途中、他の冒険者もいたが、俺に気づくことはなく横を通り過ぎていく。12階層に着いた時に、3人組の冒険者がワーウルフ4匹に囲まれていた。
「クソっ! ダイアン、リリーは無事かっ!?」
「だめだ!気絶している!」
「チッ!リリーを背負って逃げろ!」
「お前を置いていく訳には『ウルセー!リーダー命令だ!』・・・」
「くっ、絶対死ぬな!すぐに助けを呼んでくる!」
剣士の男が魔法師の女を担いで走る。盾を持ったリーダーの男はワーウルフの気を引きながらも上手く立ち回っていたが、1匹のワーウルフがスキをみつけ、逃げた2人を追いかけてしまった。
そして、2人の後ろから飛びかかる。
「ちくしょうっ。ここまでか・・・」
男は諦め目を閉じていたが、一向に攻撃がこないことに気づき目を開ける。
さっきまで目の前にいたワーウルフは、黒い灰に変わり、そこには魔石だけが落ちていた。
「な、何がおきたんだ・・・」
ちくしょうっ!1匹抜けられた!頼むダイアン、無事でいてくれ。
3匹を相手に健闘していたが、一瞬のスキを突かれ背後からの攻撃を許してしまった男は、地面に膝をつく。そして、トドメを刺そうとしたワーウルフが一瞬で黒い灰へと変わる。男は何が起きたのかわからず放心していたが、後ろから何かの液をかけられて振り向く。しかし、そこには誰もいなく、先程まであった背中の痛みがないことに気づく。
「誰だ!誰かいるのか!?」
男は周りを警戒したが、気配は感じられなかった。
「た、助かったのか・・・」
ふぅ、ギリギリ間に合った。俺は掻いてない汗を拭き取るマネをしながら助けが間に合ったことに安堵する。
敵の強さも今ひとつだから、早くボス倒しに行こっと。
ダンジョンに入ってどのぐらいは経っただろうか。今、俺は15階層のボスの部屋の前にいる。たしか、ボスは牛の頭をした人型の魔物、ミノタウロスだっけか?調べたら攻撃力は強いけど動きは遅いらしい。
そして、俺はボス部屋に入る。薄暗かった部屋は、俺が入ると同時に壁に取り付けてあった壺から青い炎を噴いて室内を照らす。
部屋の中心には2mはあるハルバードを持ったミノタウロスが仁王立ちでこちらを睨んでいる。
ひえー、あのハルバードが小さく見えるぐらいのタッパと筋肉。
鑑定
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種族 ミノタウロス ♂
レベル26
HP 1000
MP 200
STR 360
VIT 420
AGI 120
スキル
身体強化Lv1.、斧術Lv2
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ん?
ん?
あまりの弱さに2度見してしまった。見た目は強そうなのに、大森林のちょっと奥にいる熊の魔物ぐらいの強さしかない・・・
いや、C級ダンジョンだからこんなもんなのか。ちょっと、がっかり。
サクッと倒して、俺は来た道を戻る。そして、探知に引っかかった魔物を手当り次第倒していく。途中、10組以上のパーティーすれ違ったが気づかれずスルー。慣れたためか帰りは行きよりも早くダンジョンを出ることができた気がする。
冒険者ギルド内にある酒場。
「なぁ、あの話聞いたか?」
「何だよ話って」
「C級ダンジョンあるだろ?昨日入った奴らから聞いたんだけどよ。ダンジョン内に魔物がいなかったんだってよ。」
「あぁん?なんだよそれ?何の冗談だよ」
「冗談じゃねぇよ。マジなんだって!12階層までほとんど魔物がいなかったらしいぞ」
「そんなことあんのかよ。12階層までってことは、それより下は魔物が出たのか?」
「他の奴らは気味悪がって引き返して来たからわかんねぇ。ただ、12階層で4匹のワーウルフに襲われたパーティーがいたらしんだがよ。そいつらが言うには、魔物が気づいた時には黒い灰になっちまってたらしいぞ」
「なんだそれ。何かの前触れか?」
「わかんねぇ。だからよ、今日はC級ダンジョンは立ち入り禁止で今から10組以上のパーティーが調査に向かうらしいぞ」




