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幸福偏差値  作者: greed green/見鳥望
六章 幸福の棺
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OUT エピローグ

「おいしいね、ここのパスタ」

「そうでしょ。でもやっぱり現実で食べるのが一番だね」


 幸せって何だろう。

 日頃真剣に向き合った事などなかったし、向き合う必要もない事だと思って生きてきた。自分とは無縁で、人並みの幸せを得る事なんて無理だと決めつけてかかっていた。

 

 でもそもそも、人並みの幸せって何なのだろう。

 幸せの価値を比べる事自体がナンセンスで、無駄な事ではないだろうか。比べねば分からないような幸せを、果たして本当に幸せと呼べるのだろうか。


「次は何を研究するの?」

「そうね。何がいいかな。でも主任からは、もうしばらく休んでろって言われちゃってるしな」

「まあそうだね。無理は良くないか」

「結局、幸福の研究は良く分からなくなっちゃったしね」

「研究するものじゃなかったんだよ。もともと」

「そうかもね。あんなに頑張ったのに、無駄だったなー私の研究」

「ごめん、そんなつもりじゃなかったけど」

「いいの。無駄だって事が分かったから」


 翠の顔はすっきりとして、穏やかだった。

 

「幸せなんて、なろうと思ってなるもんじゃないんだよ。本来そうやって意識するものじゃないんだよ。自分が今幸せって気付けるかどうか、ただそれだけなんだと思う」


 翠はまるで独り言のように、自分に言い聞かせるように呟いた。


「そうかもね」


 翠とこうして、現実で話せている。

 こうしてお互い生きている。


「また来ようね、ここ」

「うん」


 それだけで十分すぎるほど幸せだ。


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