最終話 ルリアへの手紙
親愛なるルリア様
お元気ですか?
旦那様やそのご家族様と仲良くしていますか?
慣れない環境で戸惑っていることと思いますが、また近況を教えてください。
もちろん、愚痴や内緒話も大歓迎です。
話は変わりますが、この間はお祝いの真珠をありがとう。
とても綺麗で嬉しかったです。
思いがけず沢山送ってもらったので、村のおば様方にもお裾分けしたのですが、一番大きいものを結婚指輪に付けました。
おば様方との争奪戦に見事勝利したのです。えへん。
でも、農作業をする時は、指にははめられません。
土まみれになる上に、うっかりすると大事な真珠が畑の肥やしになってしまうからです。
仕方がないので、指輪に鎖を通し、ペンダントヘッドにしました。
いつも首から下げているので、いつもあなたと一緒にいる気がして嬉しいです。
農作業と言えば、私は今、綿花の栽培に勤しんでいます。
以前お世話になったご婦人への心ばかりのお礼として育てているのです。
でも、ゆくゆくは、私が育てた綿を使って織物を作りたい。
それが私の密かな夢です。
村には教え上手な名人が沢山いるので、完成したら送りますね。
「シュカは不器用だから遠慮する」なんて言わないでね。ね?
それから、大事な報告があります。
この度、新しい命を授かりました。
お姑さんは、いつも体に優しい食事を沢山作ってくれます。
おかげでだいぶ太ってしまったのですが……このことはくれぐれも内密に……。
村の知人達も自分のことのように喜び、労い、親切にしてくれます。
それに、子供達も毎日お腹をさすってくれるので、安産間違いなしです。百人力です。
ただ、夫は、喜びよりも不安の方が大きいようです。
元々重度の心配性だったのですが、妊娠を機に悪化してしまいました。
重いものを運んだり、走ったりすると口喧しく怒ります。
この間なんて、悪阻で食事ができない私のために、大好物のナツメを山盛り買ってきてくれたのですが、「これなら食べられるだろう! 残さず食べろ!」と脅すのです。
気持ちは有難い。
有難いのだけれど……。
毎日仕事を抜け出してきては同じことを言うので、流石に窮屈になってきました。
おかげで、喧嘩が絶えません。
でも、それすらも楽しい毎日です。幸せです。
つまり、ノロケです。えへへ。
子供が無事に生まれたら、そちらに遊びに行きたいです。
目的はもちろん、あなたに会うこと。
そして、子供を抱いてもらうことですが……
あなたが苦しんだ『船酔い』と言うものを、私も是非体験してみたいのです。
悪阻とどちらが辛いかを比較して報告するので、どうかお楽しみに!
きっと、きっとまた会いましょう。
あなたの妹・シュカ
『盗賊と囚われの花嫁』はこれで完結です。
皆さまの応援のおかげでここまで辿り着くことができ、ホッとしています。
最後までお付き合いくださってありがとうございました!
本作はこれで終わりですが、今後も別作品の更新を続けていきます。
もし宜しければ、そちらも温かく見守ってくださると幸いです。
本当にありがとうございました!




