第三部第七話;瑠奈と由真
美里は考えていた。
瑠奈ちゃんと由真君って凄く似ているところがある。
ただ似ていると言うものではなくお互いに通じ合っていると言って良い。
『今、学校の裏山に向かってるよ。1時間位したら戻るよ。』
あの言葉は瑠奈ちゃん自身から発せられた言葉ではなく、
明らかに由真君から発せられた言葉のように思えて仕方が無かったのだった。
美里は医学書を調べた。
双生児。二卵性双生児が男女として生まれてくる確立は30.8%
一卵性双生児ではおきない。
でも異性一卵性双生児であったら・・・。
瑠奈ちゃんはターナー症候群になってるはずだった。
「瑠奈ちゃんと由真君の双子の線は消えたか・・・。」
そもそも瑠奈ちゃんは赤茶色の髪、由真君は黒髪。
顔も違うし明らかに双子説は無いのだった。
しかし少しでも事例があるのならという可能性に賭けてみたのだった。
しかし医学書ではとても解明できそうになかった。
瑠奈ちゃんが来た時期って夏休み。
確か有香ちゃんと編入試験をしたと聞いている。
「夏休み・・・。」ここにヒントが隠されている気がした。
夏休みに由真くんはなにをしてたんだろう?
「そういえば学校で火星の大接近があって教室中が騒いでいたっけ。」
美里は天文学部の岡田哉太に聞いてみようと思った。
学生名簿から岡田哉太の電話番号を調べた。
『もしもし岡田ですが。』
『夜分遅くすいません。私、村山美里というものです。
哉太さんの元クラスメートですが、哉太さんはいらっしゃいますでしょうか?』
『少々おまちください。』
電話から音楽が流れてきた。
『もしもし。哉太ですけど。』
『哉太君、村山美里ですけど。』
『ちょっと聞きたいことがあるんだけど、火星が大接近した日って覚えてる?』
『あれは2018年の7月31日だよ。まだ学校があってさ。みんなと一緒に夜に見に行ったんだよ。』
『その時にそこに遊馬君はいた?』
『由真といったのは次の日の8月1日だよ。由真がその次の日から休んで百合先生が怒ってたんだよ。』
『休んでたってなんで?』
『なんか風邪を引いたみたいで関節とか痛くて動けなかったって言ってたよ。それがどうかした?』
『なんでもないの。由真の夏休みの行動をちょっとね・・・。』
『どうせ、百合先生になんか言われたんだろ。』
『もう一つ聞きたいことがあった。何処で火星を観察しに行ったの?』
『』僕のよく行っている学校の裏山だよ。凄くきれいに見えるんだ。お勧め。』
『そうかぁ。今度見に行ってみようかな。ありがとうね おやすみ。』
美里は電話を切った。
学校の裏山?
『今、学校の裏山に向かってるよ。1時間位したら戻るよ。』
今日も由真が行っている。
星を見に行ってるのかな?由真って天文学に詳しかったっけ?
それともなにかがあって行っている?
美里はなぜか由真の行動に疑問を感じた。
「でも瑠奈ちゃんは買い物から帰ってきてるし、瑠奈ちゃんとの共通点とはならないか。」
共通点って言ったら
・瑠奈ちゃんは好き嫌いが無い。由真は嫌いなものがある。
・瑠奈ちゃんの行動と由真の行動にも共通点は無し。
・勉強の仕方や解析、分析方法も違う。
あれ?瑠奈ちゃんと由真くんの行動による共通点が無い。
なのになんであの二人が似てるっておもったんだろう?
由真君は瑠奈ちゃんのことが凄く分かてる。
瑠奈ちゃんも由真君のことがすごくわかっている。
心の通じ合い?
美里は自分の考えていることを図に描いてみた
―――――――――――――――――
瑠奈――――由真 (つながりがある)
心===========心 (つながっている)
肉体-------肉体 (つながりが弱い)
精神=======精神 (つながりがある)
行動-------行動 (つながりが弱い)
―――――――――――――――――
『その中間にある工程、やり方、解き方のほうが一番重要じゃないかってそう思ったの。』
『工程、解き方、やり方という中間肯定の重要性というのは僕も実は同じ考え方なんだ。』
あの2人の考え方が似ている。
『今、学校の裏山に向かってるよ。1時間位したら戻るよ。』
遊馬君の行動がそのまま瑠奈ちゃんに通じている。
これはシンクロニティと言うものでもない。
「駄目だ。全然、判らない!」
といって図に大きく×印をつけた。
その図を見て美里ははっとした。
瑠奈ちゃんと由真君じゃなくて、瑠奈ちゃん=由真くんと考えてみたら・・・。
そういうことってあるんだろうか?
性別も見た目もまったく違う肉体が二つあり、意識、心が一つに繋がっているとしたら。
『この世界には、肉体や物質といった物理的実体とは別に、
魂や霊魂、自我や精神、また時に意識、などと呼ばれる能動性を持った心的実体がある。
そして心的な機能の一部(例えば思考や判断など)は物質とは別のこの心的実体が担っている。』
実体二元論・・・。
「しかもあの2人には心的実体がつながっている、もしくは一つになっている?」
それはどう考えてもあり得ないことだった。
この世界でこのようなことは絶対にあり得ないのだった。
でも、これ以外にルナと由真の2人のことを説明できるものは考えられることはなかった。
「あの2人には何かがある。」そう美里は考えていった。
居間にいた瑠奈が何かを感じ取っていた。
「美里ちゃんが私達の秘密に気が付いた。」と確信していた。
由真が裏山から帰ってきた。「ただいま。」
有香が「由真、おかえりなさい。学校の裏山に何しに行ったの?」と言った。
「僕が裏山に行くってなんで知ってるの?」と僕が言うと、
「瑠奈ちゃんが帰ってきたときに、由真は裏山に行ったって。一時間位したら戻るって言ってたよ。」と答えた。
「そっか。ちょっと星を見てきたんだよ。」と僕は答えた。
僕はルナのところに行き、
「ルナ、本当に一緒にいてくれてるんだな。」と言った。
「そう言ったでしょ由真。私はいつも由真と共にいるよ。って。」
「そうだなルナ。いつも一緒にいてくれて嬉しいよ。」と僕は言った。
「由真、美里ちゃんに気をつけて。私たちのこと気が付いたみたいだから。」
ルナの言葉に僕は驚いた。
「美里には気づかれるとはおもっていたよ。」と僕が言うと、
「どうすればいい?」とルナが聞いた。
「そのまま放っておく。余計に何か動いたら逆に怪しまれる。」
「了解、由真。でも本当にばれたらそのときはどうする?」
「美里や有香に真実を言う。」僕はそう覚悟していた。
「信じてくれると思う?」
「真実は真実だ。信じる信じないの問題じゃないさ。」
僕はこの楽しい生活と自分達の居場所が消えていくような気がした。
「ルナ、いつまででも僕と一緒にいて欲しい。」
「私はずっと由真と一緒にいるよ。絶対にね。」
ルナの言葉にはいつもより強い意志が感じられた。
僕は台所で料理をしている有香を見てこっちを向いていないことを確認した。
僕はルナとキスをした。
「ありがとう、ルナ。」
「さてと今日の食事はなにかな。」といって有香のところに行って手伝いを始めた。
ここから一日一話ずつにしようと思います。




