第三部第五話;学校の抜け道
「この前の抜け穴事件の時はお世話になったね。
そこで単刀直入に言おう。他に抜け道はいくつある。」
僕たちは急に発言を求められて萎縮した。
「全部で5つ見つかっています。」とルナが答えた。
警備課長、警備1係長 そして僕たちも驚いていた。
このセキュリティの厳しい学校でそのセキュリティを抜けて、
学校内に進入できるルートが5箇所もあると言うのだ。
「それは絶対に監視カメラも警報装置も作動しないと言うのかね。」警備課長が聞いた。
「はい。絶対に警備にも、どんな警報装置でも見つからないと思います」とルナははっきりと答えた。
「一体何処にそのようなルートがあると言うのかね。」警備1係長が聞いた。
それもそうだ前にあった進入事件の後に警備課が総出で構内の点検を行った。
そしてもう絶対に進入経路は無いと確認をして警備の完全を保障していた。
それでもまだ5箇所の進入経路があると明言したのだった。
「この学校内の建物の見取り図と設計図はありますか?」
ルナは要求をした。
もちろんその提案は即却下されてしまった。
それはそうだ、そう言うものは警備においては極秘扱いであり、
絶対に見せることの出来ないものであった。
「それなら私に付いて来てもらいますか?」と言った。
ルナは自分でそこに行き、そして証明するということであった。
僕たちもルナと一緒に行くことにした。
そして警備員5人を僕たちと同行させた。
警備室では監視カメラやあらゆる警報装置の監視を行い、
警備課全体が緊張に包まれていた。
まず最初に僕らの居る一号館に向かった。
もちろん前回の進入経路にはしっかりと監視カメラや警報装置が設置されている。
しかし、一号館の裏には回らずにルナは一号館の右側面に行った。
そして下を見た。そこにはマンホールのようなものがありルナは簡単に開けてしまった。
そしてマンホールの中に入って行った。
僕たちと警備員もその中に入って行った。
中は真っ暗だったが警備員が懐中電灯を照らした。
そして建物の方向には行かずに逆方向を歩いて行った。
しばらく行くと左横に入る道があった。
そこに入って行きさらに奥に行くとまた左に曲がる道があった。
そしてかなりの距離を歩いた後に上に通じるようになって行った。
さすがにルナはスカートだったので最後に上がってくるように言って、
僕が最初に上に上がって行った。
上に上がっていくと鉄の扉のようなものがあり開けると部屋に入ることが出来た。
全員、部屋に上がって入ると警備員が「校内に進入しました」と報告を入れた。
そしてルナは室内の扉には一切触れないで上を向いた。
そこには通風ダクトが通っていてダクトの横に扉があった。
僕と警備員が先に入りルナが入って曲がる場所を指示した。
僕はそのように曲がっていくと「そこで止まって」とルナが言った。
そこには扉のようなものが無かったが「上のところを押し上げてみて」と言った。
僕はそのように押したらダクトの天井部分がそこだけ外れた。
「そこから上に入るとすぐ横にまた外れるようなところがあるから押して外してみて」と言われた。
僕は言われたとおりに上に上がっていくと一箇所だけ光が漏れているところがあったので押してみた。
そこは一号館二階の美術室に通じていた。
警備員が「一号館、二階の美術室に侵入しました。」と報告した。
警備室からの返事が無い。
しばらくすると「監視カメラおよび通報装置には検出されず。」と報告が来た。
そして僕たちは見事に侵入することが出来たのだった。
次に二号館の建物に向かっていった。
二号館の横に扉があったがそこには目もくれずにそのまま通り過ぎて建物の裏に回ろうとした。
警備員は「建物の裏にはすべて監視カメラを取り付けてある。絶対に無理だ」と言ったが、
そんな言葉に目もくれずに入って行った。
ルナはそこでいったん止まって上を見た。そこには窓があった。
「ねえ由真、私をちょっと持ち上げてくれる?」と言った。
僕は「ルナの下着が見えるから駄目だ。だれにも見せたくない。」と言った。
それを聞いた有香が警備員達を一旦離れさせた。
「これで大丈夫だからいいよ!」と言った。
僕はルナを持ち上げた。僕も上を見たら駄目だと思っていた。
なんかカリカリと音がした。そして鉄の扉が開く音がした。ルナはそのまま入って行って、
「もう大丈夫だよ。由真、ありがとう。」とルナが言った。
僕は見上げると小さい扉の下に大扉が隠れていたのだった。扉は内開きになっていた。
そして全員を部屋の中に入った。
「なんだ?この扉の構造。」と僕は言った。
外の壁に内開きの扉になっていると扉の隙間から雨水や風が入ってくる。だから外開きが普通だ。
しかも内開きにすると扉の開閉のつがいの関係上扉が内側に来るはずであった。
壁とぴったりと収まるはずがなかった。
でもその扉は裏から見ると良くわかった。
裏には板が付いていないので扉の構造が良く見えていた。
扉の開閉につがいが使われていないのである。
上の部分にレールがあり扉が宙吊りにされている状態だった。
そして扉にはノブのようなものは一切無く、右下の部分に小さい穴がある。
そして壁とドアの境がわからないようにされていた。
つまり普通に上を見ただけではただの壁に見えるのであった。
警備員もこの扉の存在にとても驚いていた。
そして、「今、二号館の建屋に侵入しました。」と報告を入れていた。
もちろんカメラにも警報装置も作動していなかった。
「二号館の裏のカメラはどうなっている!」という声が聞こえてきた。
それはそうだ、すべての建物の裏には監視カメラが設置されているはずなのに、
その建物の裏から侵入したのであった。
そしてルナは「こっち」と言って僕たちを誘導した。
同じように扉には目もくれずに次は壁をコンコンとたたき出した。
そして立ち止まった、そして強くその壁を叩いた。
叩いた部分の壁がちょうどドアのサイズに倒れた。はめ込んで壁に見せているだけのようだった。
そして奥の部屋に進んで行った。
そこは機械室のようだった。そして天井が低くなっていた。
「ルナ この部屋って一体何?」と聞くと「空調設備室」と答えた。
そしてその部屋の扉から普通に出て行った。
廊下があったが普通に歩いていった。
上を見ても監視カメラは見つからなかった。
「この廊下は一階と二階の中間の階で、
この廊下から横にある何処のドアから入っても上の階の部屋に入れる」とルナが言った。
実際に試しに二つ奥の扉に入っていった。
そして「上にある格子のところを外してみて。」とルナが言った。
普通に溝が上下に入っていてはまっている状態だったので一度上に上げると下の溝から外れ
そのまま取れてしまった。
男性の大人が一人分は入れる隙間が出来、警備員が普通に2号館の部屋に侵入できた。
警備員が「二号館二階の理科実験室1号室に入りました。」と答えた。
「監視カメラおよび通報装置は作動されず」という応答があった。
次に第一体育館に向かった。体育館の横にある扉をそのまま開いてはいって行った。
「体育館の扉には警報装置つけてないの?」と僕は不思議に思って警備員に言ったが答えは無かった。
ルナは体育館の講堂の下に行く階段を下りていった。
そして講堂下の部屋に行き、部屋の壁の下にある棚を全部引いていった。
そこには予備の組み立て椅子が入っていたのだが全部抜き取ってしまった。
そこの床には四角い鉄の開き扉があった。その開き扉を開けると下に行く階段があった。
そして僕たちはその階段を下りていった。長く続く階段だった。
階段の一番下に扉があった。
そこを開けると部屋がありその部屋はとても古いものだった。
「ここは一体何?」と有香が怖くなって聞いた。
「たぶん学校を作る時の作業者が使った部屋、
だからこのドアの向こうは坑道があるはず」と言ってドアを開けた。
しっかりとコンクリートで作られた道だった。
「学校を作った時の道?この先って・・・まさか!」坑道は分岐に分かれていた。
「どっちの道を行きたい?」とルナが聞いた。
もう僕たちの答えは判っていた。右に行けば一号館の下、真っ直ぐ行けば本館の下だった。
まず右の道に行くことにした。奥に扉ががあり開けると当時の工員の詰め所があった。
そこはもう聞くことも無く一号館の地下。階段を上り、扉を開けると一号館一階の機械室だった。
「一号館 一階機械室に侵入しました。」
もちろん答えを聞くまでも無く監視カメラも警報装置も応答無しだった。
さっきの分岐点のところまで戻って、奥に進むことにした。
扉を開けると工員詰め所があり扉のおくには階段があった。
そして本館の機械室に通じていた。
「本館 一階機械室侵入しました。」もちろん答えは同じであった。
「これで4箇所ね、後一箇所だね。」と有香が言うと、
「今の二箇所は同じ進入口だから一箇所、あと二箇所」とルナが言った。
「なんだって! いまのここは一箇所と見てたのか?
本館と一号館に進入できたのだから二箇所じゃないのか!」警備員も驚いていた。
「これと同じルートが二箇所ある」とルナが言った。
そして次に行ったのは「100m室内プール場」だった。
建物の裏側のドアを開けてプール場に入った。
そして奥にあるプール浄水器の部屋に入り、その部屋の端の床に同じように四角い鉄の扉があった。
そこを開けるとまた長い階段があり、さっきと同じように「工員詰め所」があった。
そしてまた奥に通じる通ろがあった。
「ここも古そうだから学校建設当時の通路っぽいね。」と僕が言うと、
「この通路はもっとユニーク」とルナが言った。
ユニークってなんだ?と思ったが通路が3つに分かれていた。
「ひとつは本館、もうひとつは一号館でしょ?後一つってどこに行くの?」有香が言うと、
「ここはさっきと違うところなの。」とルナが言った。
右の道に行ってみた。同じように詰め所があり階段を上がっていくと、
そこは一号館の下だった。右の道が一号館下?っておかしいぞ?と僕はおもった。
そして通路の奥へ進むと工員の詰め所があった。
奥のある長い階段を上がっていくと部屋があった。
そこから通路があり入っていくと扉があった。
そして扉を開けると食堂に出た。
「一号館 一階 食堂進入しました。」
感知せずの答えが来た。
さっきの分岐点まで戻り、真ん中の通路を奥に進んでいった。
今が一号館ならここは本館の地下に行くはず。
通路の先には工員詰め所があり、階段を上ると部屋があり、
そこの窓を見るといつも出入りしているゲートが見えた。
「こっち」とルナが誘導した先には通路があった。そして小さい部屋があった。
そして扉を開けて壁伝いに歩いた。
監視カメラは入り口方向に向いていて後ろには回れない。
真上に監視カメラがあるのに見えない死角に僕たちはいた。
警備員が「一号館 正面玄関入り口ゲート中 進入しました。」と言った。
「監視カメラおよび警報装置感知せず」という報告を受けた。とても信じられなかった。
分岐点にもどって左の通路を通っていった。
「本館の左の建物ってあったっけ?」と有香が言うと、
「僕の知る限り無いはずだよ。」と答えた。
奥に行くと扉がありそこに入ると、信じられない光景があった。
警備員室と同じ構造になっていた。
ルナが電気をつけるとモニターが一斉に点いた。
「ルナ、ここって一体、何の部屋だ?」と僕は聞いた。
「建設当時の警備員室かもしくは進度チェック用に造った部屋だと思う。
今の監視カメラは建設していきながら付けていったと思う。
だから造りながら監視カメラをつけそのたびにモニターに映し出されるようになっていったから、
今の警備室とほぼ同じものがここにも映るようになっているとおもう。」と言った。
警備員は自分達の見ている光景をどのように報告していいのか判らなかった。
「学校構内外の警備室に侵入」と報告した。
「どういうことか説明を求む。」と応答があった。
「学校地下に入りますと学校建設当時の通路がみつかり奥に進むと学校構内を過ぎ、
建設当時の警備室のようなものが発見されました。
モニタ電源をいれると監視カメラ映像が映っております。」
警備員の返答に本館の警備室が騒いでいる声が聞こえてきた。
「最後の入り口に行く?」とルナが聞いてきた。
そしてそこに2人の警備員を残し僕たちは次の入り口に向かっていった。
次の入り口は学校の構内から外に出て行った。
「学校の敷地の外から構内に入れるの?」有香が言った。
「もしこれが本当なら最悪の入り口ってことになるね。」と僕が言った。
本館が見える通路から一つずれた位置にある道路だった。そこにマンホールがあった。
「マンホールって事は下水?汚いじゃん」と有香がいうと、
「これはそういうものじゃないよ」とルナが答えた。
マンホールを開けると下に行く階段があった、
階段と言ってもマンホールの壁についているものだが。
僕が先に入ってルナ、有香、警備員の順で入った。
そこには線路がひいてあった。
「学校建設当時の土砂や資材の運搬用の線路だよ」とルナが言った広い通路だった。
たぶん上に道路が走っているだろうが、それと同じような広さだった。
「上の道を造る時に、この場所って見つからなかったのかな?」と有香が言った。
「たぶんだけど学校建設しながら学校周辺の整備も行っていったんだろうね。
学校の周りの道路って網の目のようにきっちりなってるから、
その道路も一緒に造ったんだよ。」と僕が言った。
奥に進んでいくと急に通路がよくなっていた学校の敷地内に入った証拠だった。
一つ目のT字路があった。さらに奥にいけれるようになっていた。
「気が付いていると思うけどここを入れば本館に行けるよ。奥から行く?それともここから行く?」ルナが言った。
「本館とわかっているんなら奥から行こう。
一号館に行くんでしょ?どこに出るのか知りたい」と僕が言った。
「もっと面白いものが見れるかもね。」とルナが言った。
ずっと奥に進んでいっているがなかなかたどり着けない。
「一号館ってこんなに遠かったっけ?」と有香が言った。
「一号館を通り過ぎてるようだ。たぶん二号館の下あたりかもしれない」と僕が言った。
さらに奥に進んでいる。そしてやっと一番奥にたどり着いた。でも行き止まりだった。
ルナは入り口を探して見つけたようだった。
ボタンをおすと入り口が開いた。自動ドア?
そして奥に入っていったそこにはとても広い宿泊施設のような設備が整っていた。
「もしかしてここって学校建設に携わっていた人たちの宿泊施設?」有香が言った。
電気をつけるとほこりとかはかぶっているが、
当時なら凄く綺麗であっただろうホテル並みの設備があった。
通路に戻り、ルナが壁伝いに歩いていた。
しばらくすると「見つけた。」と言ってボタンを押した。
位置的に3号館地下だ。入っていくと広い部屋だった。
コンクリートから次々と伸びている柱の数々。そして耐震構造になっていた。
3号館の校舎の耐震構造の部屋だった。
その部屋の先にいくと階段があった。「あそこから校舎内に入ることが出来る」とルナが言った。
上がっていくと三号館一階の食堂に出た。
そしてさっきの下の耐震構造の地下にいき、すぐに出れる扉があった。
三号館の前後に一箇所ずつ入り口があるようだった。
そしてすぐに次のボタンをおすと今度は二号館の耐震構造設備の部屋に繋がっていた。
そしてまた部屋を進んでいくとまた階段があり登っていくと食堂に出た。
次も同じように一号館の耐震構造設備の部屋と続いていた。
警備員はその都度、報告をしていた。
そしてそのまま本館の地下にいく通路に戻った。
通路を進んでいくと同じように本館の耐震構造の部屋に着いた。
そして階段があったので上っていった。
そして扉を開けて出た先には一番最初の警備課横に出たのだった。
警備課横に出た僕たちはその場所で警備員が報告をしていた。
「本館 一階 警備課横進入しました。」
「監視カメラおよび警報装置作動せず」と言う報告を受けた。
上の監視カメラを見てみるとその扉から大人一人分のスペースをあけて
右用のカメラと左用のカメラと映る様にセットされていた。
完全な監視カメラの死角になっているのだった。
「今から僕たちが映ります。ってそう言って!」と警備員に伝えてもらい
警備室入り口側に向かって僕たちが映るように出て行った。
警備課長、警備1係長が驚いて警備員室から出てきた。
その後に百合先生と美里が出てきた。
「これで証明されたね。ルナ。」僕が言うとルナは大喜びだった。
「なんかすっごい冒険したって言う感じで、ワクワクドキドキだった!」と有香が喜んでいた。
後々の報告だが、
生徒の学校生活に支障が無いように、教室内、実験室内等の監視カメラは無かった。
体育館やテニスコート、プール等々は同様に監視カメラはついていなかった。
一方向型の監視カメラでカメラの死角が存在していた。
ドア、扉、窓の警報装置の不備が見つかった。
などの書かれた報告書が僕たちにも送られてきた。
「どうして部活のところの監視が無かったの?」と美里が聞いた。
「監視してると称して女子テニスや女子水泳部とか写してると考えたらどうおもう?」と僕が言った。
美里はその情景を頭に浮かべて「うわ!絶対にやだ。」と言った。
「同じように教室内に監視カメラがあったらやっぱり嫌じゃない?監視されてるようで。
だから廊下とか出入り口や窓、扉にしか付けれなかったんじゃない?」と僕が言った。
「次はどうなるの?」と有香が聞いた。
「全方向型のカメラに切り替えるのと、各教室や実験室とかの部屋には、
熱センサーと動体センサーが付くって聞いてるよ。」
「あの外の入り口は?」
「学校の外の入り口は全部コンクリートで埋めると聞いてる。ほかの件は良くわからないな。」
「それで?私たちの今回の主役のお姫様は?」有香が言うと、
「今回の功労者で学園内セキュリティ強化に貢献したとして表彰
そして生徒初の警備主任に任命されて、
今は警備担当者と学校内のセキュリティ強化に行ってるよ。」
僕たちも今回の冒険はすごい体験だった。
なんかとても良かったとおもった。




