むかつくこと
現代+恋愛
2話くらいになる予定。
やんでれをかこうとして挫折。
「明日香、別れよ」
「は?」
突然の別れを切り出したのは私の彼氏、涼。
そして振られたのは彼女だった私。
「ごめん、さっぱり意味わかんないんだけど」
「好きな奴ができたんだ」
「好きな奴ぅ?」
見た目さっぱり好青年の涼とは付き合いだして4ヶ月。大学のサークルで知り合い付き合いだしたもので、それなりに仲は良好であったはずなのに。イベント毎必ず手をつないでデートしてホテルでごにょごにょ…なんて事もして。
なぜいきなり?バイト先か、学内か、街中か…ほかの女ができたのか。
なぜだか怒りもあるが、納得した気持ちが強かった。
きっと明日香と彼氏である涼は、潮時だったのだろう。最近じゃキスしたりじゃれたりする事はしたが夜はご無沙汰だったし、こそこそ隠れてメールしたりする姿も見ていたし。
きっと涼は私でない本命が出来たのだろう。
今も私に別れを切り出しているのに、携帯を気にして。
なんかムカつく。私がメールしても返事遅れたりしたのに。
「いいよ別れよ」
「…え?」
「なに、嬉しそうにすればいいよ。本命の彼女と仲良くね、じゃあ」
「あ、おい!明日香!」
そのまま私は振り返らずに、涼の前から走り去った。
絶対に涙を涼に見せないためにも。
「と言うわけでムカつく」
「なにが、と言うわけで、だ」
「うー…」
家に帰って一人で泣くのもムカつくので、どこかで飲むことにした。そこで思い出すのは7歳年上のお姉ちゃんとタメの私たち姉妹の幼なじみ。誰よりも料理がうまくて、両親が仕事で居ない私たちにご飯を作ってくれた斜め向かいのお兄ちゃんことむっちゃん。
むっちゃんは在宅の仕事をしてるので、何時行っても優しい笑顔で空気で和ませてくれる。ついでにおいしいご飯も恵んでくれる。
そんなむっちゃんに私は突撃した。
「むっちゃーん」
「っおぅ!」
結構な衝撃だったのかむっちゃんは少し呻いたが気にしない。だって、なぜか今更、目から塩水というなの涙がでてきたから。
「どうしたよ」
「っうー…」
ぽんぽんと頭を優しくたたく、その優しさが私は大好き。
たった4ヶ月の付き合いだった彼氏も私に優しくよく頭をなでてくれた。そんなことを思い出すとまた涙が出てくる。
むっちゃんはそのまま私が落ち着くまでぽんぽんと抱きしめてくれた。




