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今日も生きてて、わりとごきげん  作者: このはな
第一話 ごきげん通帳、発見される

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「これ? ごきげん通帳」


 わたしは隼人によく見えるように、ノートの表紙を向けた。


「おばあちゃん、このノートにその日にあった、ちょっとしたいいことを書いて、ごきげんを貯めていたみたいなんだ。だから読んでたとこ」


 この日記のタイトルと中身から推察した。たぶん、正解だと思う。


「へえー、そんなにたくさん貯めてたん? 貯金上手だな。おれなんて、残高マイナスだよ。金も、ごきげんも」


 隼人は笑いながら、抱えていた新聞紙の包みを差しだす。


「ネギ、持ってきた」


 デジャブだ。思わず「ぶはっ」と吹きだした。


「それ、通帳にも書いてあったよ。隼人くんからネギをもらってごきげん、って」


「え、マジ? そりゃ、光栄だな。んじゃ、今日のは、お供えネギってことで」


「そうだね、お供えしとく。おばあちゃんもよろこぶよ」


 縁側の前に置いてあったつっかけを履こうとしたら、


「いい、そっち持ってく」


 隼人は門にまわって庭を横切り、こちらにやってきた。


「ありがとう」


 差しだされたネギを受けとり、お礼を言う。土とネギのツーンとした匂い。ちょっと目にしみた。


「新鮮だね」


 とれたてならではだ。スーパーで買ったネギだと、こうはいかない。


「大きめに切って、ホットプレートでこんがり焼くとうまいぞ。口のなかでとろけるんだ」


 めちゃくちゃおいしそう。ちょっと想像しただけなのに、唾液がじゅわっとでてくる。


「わかった、今夜にでもやってみるね。あ、そうだ。お線香! あげたって」


「おう、おじゃまします。あー、でも」


 と言いながら、隼人は自分の衣服を見おろした。畑仕事で汚れているのを気にしているみたいだ。自分のからだのあちこちをパンパンと叩き、土を落とす。


「いいよ、そのまま上がって。まだちゃんとお掃除していないから」


「わりいな」


 おりんをチーンと鳴らし、わたしと隼人はお仏壇に向かって手をあわせた。




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