獣王国の妖精たち
獣王国にシェラ様が転移すると、ミミィさんが大急ぎで走ってきた。
「聖獣様、竜王様、ルチィ様。ありがとうございます。此方へどうぞ!」
ミミィさんに案内されついて行くと。
色とりどりの花が咲き誇る、綺麗な庭園の一角にあるガゼボに獣王様が座っていた。
獣王様は私たちに気付くと立ち上がって大きく手をふる。
「ようシェラザード! 待っていたぞ!」
ーーん? あれ?
重傷って聞いていたはずの獣王様が「よっ!」みたいな感じで普通に立っている。
重傷じゃないの!?
『ふぅむ? お主は重傷だと聞いておったがの? おかしいなあ?』
「ガハハハハッ。ちょっとくらい大袈裟に言わないと、お前は獣王国に来ないだろ? まっ良いじゃねーか!」
シェラ様が「ちょっとじゃないがな」と少し納得いってない表情してるけど。
「まぁ座ってくれ!」
獣王様は強引に促しソファに座らせる。
「あの……一体何が起こってるんですか?」
「ルチア嬢は愛し子だから妖精の声が聞こえるよな? 獣王国の妖精達の様子はどうだ?」
えっ?
妖精達の様子?
どー言う事?
実は……獣王国に来てから、嫌な胸騒ぎがおさまらない。妖精さん達が関係してるって事?!
妖精さん達! 何かあったの?
ーーんー?
ーー別にないよー!ルチィ遊ぶ?ーーどした?
ーー遊ぼうーー。
んん? あれ?
いつも通りな気が……。
ーー消えたー
ーー友達ーいないー……
!!
「えっ……! 消えた?!」
『ルチィ?』
思わず驚き立ち上がってしまった。みんなが心配そうに私を見つめる。
「そうなのです。妖精達が言う様に、獣人国の妖精の中に突然いなくなった妖精達が居るのです」
ミミィさんが、教えくれた。さらに獣王様が衝撃の発言をする。
「そうなのだ、始めは気にしてなかったんだが。ココ最近いなくなる数が増えてきて、妖精達が騒ぎだしたからな。我々は調べる事にしたんだよ。するとある人族の国が関係してる事が分かった」
「えっ人族の国!?」
まさか母国のゲイリー王国⁉︎
「ルチア嬢。今人族の国はいくつあるか知っているか?」
えっ。いくつ……? 確か三国? だったかな?
「欲深い人族は直ぐ新しい国を作る。しかし、寿命も短いため国はすぐ滅んだり自然となくなったり。弱いくせに戦争をしたがり国が変わったり。ルチア嬢がいた。ゲイリー王国は、建国1500年くらいだから人族からすると長い方か?」
ゲイリー王国以外の国の事は正直そんなに良く知らない。
竜人国に来てからは、ずっと竜人国と獣人国とエルフ族の歴史ばっかり勉強してたから。
人族の国の事も、少し勉強したら良かった。
「現在、人族の国は【ゲイリー王国】と【シュランツ王国】と【リルバーデン王国】この三国がある事は知ってるよな?」
「はい! ゲイリー王国以外の二国は、どんな国なのかまでは詳しく知らないですが……」
「実はな! もう一つ国があるんだよ。建国三百年くらいの新しい国が!」
『確かエレヴァンとか言う国であろ?』
シェラ様が口を挟む。さすがシェラ様、なんでも知ってるのね。
「おお! やはりシェラも知ってたか! なら話が早い。そのエレヴァンがな、怪しい魔道具を研究してたのは知ってるか?」
魔道具と聞くと、義母達の事を思い出してちょっと……嫌だ。
『我も気にはなっておったがの。可愛いルチィと出会った時に、その魔道具の事も調べたからの。その時にエレヴァンの事も出てきた』
「なっ!? ルチア嬢と出会った時に既に調べていたのか! その時のエレヴァンの情報は!?」
シェラ様の話に驚愕し、思わず立ち上がる獣王様。
『ふぅむ? 知らぬ』
シェラ様は顎に手をあて小首をかしげる。
「はぁぁ? エレヴァンの名前が出て来たんだろ? 何で調べない! 怪しすぎるだろうが!」
『うむ? ルチィの糞義母達がエレヴァンと繋がりがあると分かっての。後で調べようと思っておったが、ルチィの事ばかり考えておって……忘れていたの』
獣王様がバカ竜王とばかりに、大きな溜息と同時に両手で頭を覆い項垂れた。
「お前って奴は本当に……はぁぁぁ」
獣王様……なんだかすみません。
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