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マンゴスチン

マッチョ少女マンゴ☆スチン YQnnnnnnX

作者: 幸田遥
掲載日:2026/07/04



「ただいまんごー!」


 ある土曜日の夕方。『高村まんご』が家に帰ってきた。土曜日の昼下がりをじっくりと筋トレに使った後の帰宅である。小学3年生の彼女は、物心がついた頃から筋トレが趣味になり、週末のトレーニングは絶対に欠かさなかった。


 そのため、彼女は小学生3年生の女児とは思えない屈強な体つきをしていた。半袖からは上腕二頭筋がその存在を主張し、スカートの裾からは大腿四頭筋が、筋チラしている。



「おかえりんごー!」


 そんな彼女を、兄の『高村桃矢』が迎えた。もちろん彼も筋トレが趣味である。まんごよりも先に筋トレにハマり、彼女を(そそのか)しただけのことはある。彼もまた、普通の小学5年生と一線を画した筋肉量を誇っていた。



「いやぁ〜、お兄ちゃん。私、今日もがんばったよ〜! いい感じでしょ?」


 まんごは、桃矢の前でポージングをしてみる。腕を曲げて、肩に筋肉の膨らみを作った。



「おおっ! 今日も肩がマンゴスチン! 古くなったマンゴスチン並みにカッチカチだな〜!」


 桃矢は自分の筋肉も好きだが、妹の筋肉も大好きだ。かわいい妹がこうやって筋肉隆々に育っていくのを見るのが何よりの喜びだった。



「でしょ〜! あぁ〜。私、もうお腹ペコペコ! 今日の焼肉、楽しみにしてるんだぁ〜。」


「ええっ? まんご? お腹ペコペコって? もしかして、プロテイン飲んでないのか?」


 桃矢は驚く。



「ええっ、う〜ん。さっきジムでちょっとは飲んだんだけど……、すぐ焼肉でしょ? お腹空かした方が美味しいでしょ? それで、ちょっと我慢しようかなぁ〜って?」


「甘いぞっ、まんご! プロテインは、筋肉を作るもの。焼き肉は、筋肉を潤すものだ! いくら夕飯が焼肉でも、プロテインはちゃんと飲まないといけないぞ!」


 桃矢は熱く語る。ただでさえ熱苦しい彼の筋肉も相待って、まんごはその言葉を少し鬱陶しく感じた。そのため、「そうだね……。」と軽く流したのであった。




――――――――――――――




「うっわぁ〜! 美味しそう!」


 テーブルの上に並べられた肉を見て、まんごが歓喜の声を上げる。牛赤み肉をはじめ、牛タン、鶏肉など種々の肉が並べられていた。



「だろ? ちゃんと筋肉で味わって食べるんだぞ!」


「そうよ! 今日のトレーニングは、まだ終わっていないのよっ!」


 まんごと桃矢の両親の甜瓜(てんか)と綾子は、子ども達の筋トレ事情を知っているため、彼らの大好物の高タンパク低脂質な肉を中心に準備をしてくれている。



「さぁ、みんなで、いただきますだ!」


「「「「いただきます!」」」」


 食卓を囲む4人は、一斉に手を合わせた。


 焼肉を焼くホットプレートの前では、兄弟などない。強ければ、勝ち。弱ければ、負ける。弱肉強食の戦場である。


 そう、これから焼肉という名の戦争が始まるのだ……。





 まんご達が肉を焼き始めて少し経った頃。



 ホエ〜〜イ


     ホエ〜〜イ



 外から奇妙な鳴き声が聞こえてきた。



「なんだ? どこからか、プロテインを欲してそうな鳴き声が聞こえてくるぞっ!」


 それに、桃矢が反応する。



「えぇ〜、こんな時に? きっと巨大な虫だよ。私たちの高タンパクな肉の匂いを嗅ぎつけて来たんだよ!」


 この世界では何かの理由で虫が突然巨大化する。そして、その巨大な虫たちは、高プロテイン食材を目指して向かってくるのだ。



「俺は巨大な虫退治よりも、目の前の焼肉の方が大事だ! と、俺の筋肉が言っている!」


 桃矢は、自身が焼いている肉の焼き加減に集中していた。



「私もそうよ、お肉が大事! 囁くのよ……私の筋肉が……。」


 まんごも同様である。肉の焼き加減は味に直結する。そして、プロテインの質にも。彼女達は、肉の焼き加減にも妥協をしないのだ!



「じゃあ、仕方ないな、まんご! 『筋肉じゃんけん』で勝負を決めようか?」


 これは桃矢とまんごの間で勝負によく使われるジャンケンに似たゲームである。



「望むところよ、お兄ちゃん!」


 まんごと桃矢は席を立ち、テーブルから距離を取った。このゲームには広いスペースが必要なのだ。



「「筋肉じゃんけん、じゃんけん! ぽん!」」


 2人は、掛け声と共にポージングをした。



  ウッ!



     ホッ!



 まんごがフロントダブルバイセップスで、桃矢がサイドチェストだ。



「くぅ……私の負けか……。」


 まんごは上半身の筋肉に力を入れてポージングを決めながらも、悔しそうな表情を浮かべた。



「ふふふっ、まんご。いい筋肉といいポージングだったが、選んだポーズが悪かったな……。お前が戦え、と俺の筋肉が言っている」


 桃矢は勝者の笑みを浮かべながら、すぐにテーブルに戻った。肉が大事なのだ。



「くぅ……。仕方ない……。いってきまんご〜。」


 そして、まんごはしぶしぶと玄関へと向かった。




――――――――――――――




 ホエ〜〜イ



     ホエ〜〜イ



 まんごが外を少し歩くと、巨大な蝉に遭遇した。


 本来、ミーン! ミーン! と鳴く蝉が、巨大化して、プロテインを欲し過ぎたために、鳴き声が変わってしまったのだ。



「私は早く帰って、肉を焼かないといけないからね……。とっとと退治しちゃうよっ! ていっ!」


 まんごは早く焼き肉が食べたい。その一心である。まだ一口も食べていないのだ。正直な話、こんな巨大な蝉の相手などしたくない、早く退治して家に帰りたいのだ。



 ホエ〜〜イ!



 しかし、このセミも一筋縄ではいかなかった。生きるために必死なのである。



「くぅ〜。ちょこまかと……。」


 蝉は俊敏に動き回り、まんごの攻撃を避けていた。



  ホエ〜〜イ!


 ビシッ


   ホエ〜〜イ!


 バシッ



 まんごは蝉に何度か攻撃を当てることはできたが、それらは決定打にはなっていなかった。


 お互いに、攻撃と回避をしばらく間つづけ……。この耐久勝負に勝ったのは蝉であった。まんごは、ついに膝をついたのだ。



「くぅ……お腹が空いて力が出ない……。こんなことなら、お兄ちゃんの言う通りにちゃんとプロテインを飲んでおけば……。」


 巨大蝉はこの瞬間を見逃さない! ここぞとばかりにまんごに襲いかかった。




  ガッキーーン!!!




 と、大きな音が鳴り響く。



 しかし、これは蝉がまんごに攻撃を当てた音ではなかった。どこからともなく飛んできた10キロダンベルが、巨大な蝉に直撃した音だ。



「あなた一体だぁれ……?」


 まんごが顔を上げると、そこには1人のマッチョがいた。


 パンツ一丁という簡易な格好で、逆三角形に引き締まった上半身の筋肉をこれでもかと見せびらかしているマッチョだった。ただ、仮面を被っていたため、それが誰であるかはわからない。



「間に合ったようだな! この俺、『逆三角形仮面』が来なかったら危ないところだったぞ! どうした? お前の筋肉はそんなもんじゃないだろ?」


 作者注:逆三角形の体の人物が仮面を被ったら、こういう名前になるようです。他意はありません。



「ありがとう、逆三角形仮面さま……。でも、私、お腹が空いて……。」


 まんごは、お腹を押さえる。筋トレの後にプロテインを一応飲んだのだが、夕飯の焼肉に期待してお腹を空かせておいたのが完全に裏目に出ていたのだ。



「そんなことだろうと思ったぜ……。まんご! これを使え!」


 逆三角形仮面は、手に持っていた『焼きささみ』と『シェイカー』を、まんごの方に投げた。


 いい感じに焦げ目が付いた焼きささみは、香ばしい匂いを放っていた。そして、それには塩が少々振ってある。



「私の大好物の焼きささみ! それに、私のシェイカーまで! ありがとう、おに……じゃなかった。逆三角形仮面さま!」



 もしゃもしゃ



   ごきゅごきゅ



 まんごは、旨味が凝縮した焼きささみにかぶりつき、それを咀嚼しながらも、プロテインをガブガブ飲んだ。



「あぁあー。筋肉が潤っていくぅ〜。キテルわぁ〜。


  プロテイン! ホエイ! ヒャクパーセントー!」



 まんごはテンションの上昇に任せて、そのまま上半身の服を脱いだ。


 でも、彼女はスポーツブラをしているから、問題はない!



  ウッ!



 小学3年生女児とは思えない完璧に6つに割れた腹筋を見せびらかすように、彼女はポージングを決めた。サイドアブドミナルである。



「マッチョ少女! プリティ・ササミ! 変身完了!」


 このマッチョ少女の名前は、まんごが大好物の焼きささみから名付けた自称である。他意はない!



「いくよっ! マキシマム! マッチョ! マグナム!」


 略して『3M(スリーエム)』だ。マッチョ少女プリティ・ササミの必殺技、要するに、右手に全力を込めた正拳突きである。




 ドゴンッ!!



 巨大な蝉は、先ほどの10キロダンベルのダメージもあったため、動きが鈍っていた。そのため、3M(スリーエム)真正面から受けた。



 ホエ〜〜イ!


   ホエ〜〜イ!


    ホッシャン! ホア〜〜! ホアアア〜〜〜!!



 と、巨大な蝉は最後の雄叫びを上げて息絶えた。




――――――――――――――




「ただいまんごー!」


 まんごは蝉を退治するとすぐに家に帰ってきた。



「おかえりんごー!」


 桃矢はテーブルに座り、何事もなかったかのように焼き肉を食べている。



「あれっ? もしかして、お肉が……無くなってる〜!」


 あろうことか、まんごが出かけている間に、食卓の上にあったお肉はすでに半分以下になっていた。



「ホットプレートの上は戦場だからな。妹だからって待ってらんないんだぜ。ほら、昔の偉い人が言ってただろ? 『痛みは我慢できるが、うま味は我慢できない!』って」


 桃矢はそう言いながらも、モシャモシャと焼肉を頬張る。



「そうだけどぉ……。じゃあ、いただきまんごー!」


 まんごは席に座るとすぐに箸を持ち、桃矢の前にあったいい感じのお肉をサッと自身の器に取った。



「アッーー! まんご! それ、俺が育ててたやつ!」


 お肉を取られたことに気がついた桃矢が叫び声を上げるも、もう遅い!

 まんごは既に、そのお肉にタレをつけて、口に運んでいた。



「へへへっ〜。ホットプレートの上は戦場なんでしょ?」


「くうぅ〜、ふふふ」


 桃矢は少し悔しそうに。それでも、とても嬉しそうに笑った。



 こうして、まんごは家族揃って、夕飯の焼き肉を存分に堪能したのであった。




 完





 マッチョ〜! 私、高村まんご。小学3年生。マッチョ少女やってます!



 いつもと違って、これは次回予告じゃなくて、番宣タイムになるんだよっ!



 いやぁ〜。なにやってんのよ、これ?


 やきにく企画に参加したいからってね〜。急に短編を書いたんだよ、遥さんがね……。そんで、焼きささみ。うん?


 それに、ちゃんと焼肉も食べてたし。企画的にはオッケーでしょ? 知らんけど?




 え?


 あぁ、タイトルのアレね? 『YQnnnnnnX』でしょ? みんな、なんとなく察してくれてるんでしょ? これわwww、ってねっ(笑。


 ちなみに読み方は『ヤーキニクス』だからね。焼肉っぽいでしょ?




 まぁ、あれでしょ? スピンオフと言えば、焼きささみ、というか、ささみでしょ?


 うん……。


 私には何のことかわかんないけどね。うん。華麗にスルーでお願いねっ!


 いつものことだよね〜。へへへっ!




 それにしても、私もお兄ちゃんもマッチョだったね〜。魔法も出てこなかったし。ひたすら筋肉押しだったし。まぁ〜、こういうお話もたまにはいいかもね?


 でも、私の本業は魔法少女兼同人作家だからね。本編の最新話だと小学4年生に進級してるから。大きくなってるんだよ、色々なところがっ!



 でも、健全だから(笑。 あの作品は健全だけが売りだから(笑。



 ……ということで、『魔法少女マンゴ☆スチン Reincarnation』の方にも遊びにきてよねっ! リンクは下にあるから。



 絶対に読みにきてよねっ!


 じゃあ、バイバイ! またねぇ〜!



 プロテイン! ホエイ! ヒャクパーセントー!



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i520952
秋の桜子さまよりいただきました。
朝のティータイムのお勉強にどうぞ! 完結済みです!
i488219
秋の桜子さまよりいただきました。
好評連載中です! 仕事に疲れた頭に笑いを!
i471546
秋の桜子さまよりいただきました。
こちらもどうぞ! 安心の完結済みです!
― 新着の感想 ―
きっと、さやかちゃんあたりが意識を暴走させてマチョノヴァを起こしてこんな世界線ができたんだよ、うん(ォィ 想像しただけで衝撃的な世界ですね( ´∀` ) こちらはこちらで連載化したらどんな結末になる…
拝読しました。 感想欄も拝見しました。 みなさん結構驚かれているような。 そして驚いてない私w
なんか物凄い世界を覗き見てしまったような気分になりました(*´ω`*)
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