赤魔導士、大海を知る。
職業とは、様々な神々より与えられたと言われている。職業を得ることで、ステータスの上昇、スキル発現させ、レベルを上げることでより上位の職業を取得することとなる。
職業には様々な種類があり、冒険者関連でも、戦士、弓兵、魔法使い、僧侶と別れ、さらにより細かく区分されていく。
冒険者になった時、ギルドより適正診断を受け、職業を付与されることで適応される。数十年前までは、好きに選べていた。しかしそのせいで、適正外の職業で十分にステータスへ反映されず実力を発揮できずそのまま死ぬ冒険者が大量にいた。
ゆえに適正職業を強制することがきまり、今では十分な実力を発揮できる冒険者が増えてきた。しかしそれはそれで問題が出てきた。
「おい見ろよ。あの図体で赤魔導士だってよ。」
「とんだ臆病者だったみたいだな、見せかけだけかよ」
悪態、陰口をたたかれているのは、背丈2m超えの成り立て冒険者のギルバードだった。なぜそんなことを言われるかといえば、ギルバードの適性が補助魔法を得意とする赤魔導士だったためである。
別に赤魔導士が戦闘能力に劣るわけじゃない、しかしパーティーとしての役割として、基本的に裏方であり、補助をするため、戦闘面でも後方へと回りやすいのも偏見への要因である。
そしてギルバードは現在赤魔導士になるべく、ギルドが用意した赤魔導士の教習へ出向いていた。
到着した場所は訓練所の端のほうだった。そこに4人の男女が集合していた。
一番目に付くのは体格2m超えの筋骨隆々の大男ギルバード、銀色の軽装に大斧を背負い、腰に支給された赤魔導士のマントを巻き付け、その腰に支給の杖を刺していた。
その左側に赤い巨大な帽子を被った小柄な少女が委縮して、赤い髪の青年がおり、その前に赤い衣服をまとった女性が立っていた。
「教官担当のリヴィアだよ。手軽に赤魔導士として教えていくから、頑張ってねルーキー」
最低でも3日、最大1週間を要する教習をもって冒険者へ正式に活動が許可される。これも、無駄な犠牲を防ぐためのギルド側の配慮となっている。
「は、はい頑張ります!!」
「問題ありません。」
「・・・・」
ギルバード以外の二人が返事し、ギルバードは無言を貫き、教官を見つめ返すだけだった。
「ふふふ、じゃ早速やっていこうか。まず赤魔導士の初期中の初期、強化魔法だ。全員、職業を付与されたときに、強化、抵抗のレベル1を獲得しているだろう。それを使っていくぞ。ついでに、この教習である程度のレベリングも目的の一環だから」
とそばに立っていた案山子に向かいながら地面の小枝を拾い、片手で弄りる。
「赤魔導士は、世間じゃ戦えない臆病な補助魔法使いって扱いだけど、僧侶よりは戦える、いや、ある程度戦えてしまうといったほうがいいね」
「えっと、それって・・・」
赤い帽子の少女が、リヴィアに聞く。赤魔導士、補助魔法を得意とし、戦闘より補助を基本とする裏方ゆえに、世間からは不人気の職業。臆病者が取得する職業なんて言われたりする。
「簡単さ、器用貧乏になるんだよ。補助魔法が得意ではあるが、攻撃魔法や剣術にも精通できるんだよ。」
赤魔導士とは、ただ補助するだけの職業じゃない、熟練した赤魔導士は通常の戦闘職と肩を並べれるほどゆえに、S級パーティーにはAランクでありながら、メンバーとなっている者もいるほどだ。
「補助魔法の使用、自身での戦闘、両方こなせてようやくだ。そしてこれが、熟練者の強化だ」
魔力を帯びて、振り下ろされた小枝は、案山子を粉砕し、地面にも軽くクレーターを作るほどだった。土煙を上げ、周囲へ衝撃をまき散らす。
「さて、ルーキーの君たちにもこれくらいは出来るようになってもらいたいね。」
教官リヴィアの笑顔が眩しい、教習が今始まった。




