【第151話】更に増える応援者?
今晩は。投稿です。
「忌々しい輩め!」
「ここまでです、もうおやめ下さい!」
剣聖が遙か遠くの護武鈴好の旗を睨む。
あ、逃げた。
(こ、これだけ離れていてもこえーよ!あのおじちゃん)
(こっち見ているよぉ!視力よくなったけど、これはイヤだよ!)
(ひ~っ、クルミちゃん、お家帰って正解だよ!)
走って隠れる護武鈴好。
そして、剣聖が目を離すと、コソコソと戻ってくる。
そして旗を振り、何やら叫び出す。
ゴブゴブゴブ!
あ、クルミちゃん、戻ってきたぞ!
……ん?お話ししている?
あ、ゴンズイくん、吹っ飛んだ!?
クルミちゃん、走って帰っていった!?
ん?……倒れている騎士、数人笑った!?
「ふんっ!」
気合いと共に、朱槍を振るう。
は、外した!?
素早いのだ。
私の朱槍は剣聖を捉えられずにいた。
先読みが凄く、攻撃が擦りもしない。
これは、正確に言うと、素早く見える?
攻撃をするのだが、攻撃ポイントを読まれ、前もって回避する。
結果、素早く見える、これが正解だろう。
重速術を使うか?
だが、こいつらの前で使うと、より速い重速術の使い方を、盗まれはしないか?
そうなると、この14名、全員死んでもらわないといけなくなる。
今は、技の流出は少しでも避けたい。
ダークエルフが控えているし。
私達の周りは、巨人かドラゴンが暴れたように荒れていた。
大地は大きく抉れ、亀裂が走り、地形が変っている。
仕留めることはできるのだが、何故か躊躇いがある。
誰だ?私を止めているのは?
シルバーっち?
ゴルちゃん?
今は余裕があるけど、これ、皆の祝福で魔力が上がっているからだ。
以前の私だったら、ここまで戦えたかな?
戦いの場所は徐々に王都から離れ始めた。
それに伴い地形が見る見る変っていく。
衝撃波による、破壊活動だね、これは。
王都からは離れてきたけど、場所的にヤバくないかな?
ここ、平原で王都から丸見えなんですけど?
ほら……ちらほらと、ギャラリーが……あ、ホッシー先輩いるぞ。
朝市の帰りか?
(……何しているの?アッキー?)
剣聖とバトル。
(……普通、瞬殺よ?剣聖は勇者や魔王の技を使うって話だけど?)
そうね。
「余裕だな?傾奇者!」
連撃!?
ひ~っ!
ズドドドドドドッと凄まじい音が鳴り響く!
周囲に土煙が枚上がり、地形がまたもや変る。
ギリギリで躱したけど!次の攻撃が!
これだけの攻撃、どこから魔力を供給しているのだ?
攻防が続くかに見えたが、一瞬の隙で勝敗が決まった。
剣聖の足が、滑ったのだ。
「!」
そして私の槍が剣聖を捉える。
「ぐっ」
石突きで剣聖の踏み込んだ足を突く。
ガクッと膝を着く剣聖。
そして朱槍を回し、剣を弾く。
剣は遠く跳び、地に落ちた。
「……!」
更に朱槍を回し、剣聖を!
おっ!
何かが動いた!
え?イオリちゃん!?
私と剣聖の間に、イオリちゃんが割って入った!
朱槍はイオリちゃんの脇、ギリギリで止まる。
まあ、元々柄を当てるつもりではあったけど。
「イオリちゃん、危ないよ?」
「ごめんなさい……アッキー」
「まさか、この俺が女を盾にするとは……」
……この人、イオリちゃんに剣を教えなかったり、女を盾にとか、女性に対して何かと意地悪?女性扱いが酷くないか?
いったい、どんな環境で育ったんだ?
「まあいい、時間稼ぎはできた」
え?
「お前達が時間を稼いだように、我々も時間稼ぎをしていたのさ」
どういうことだ?
別働隊が向っていた!?
ニヤリ、と唇を歪める剣聖。
やってくれたな……だけど、ニトお父さんとリュートお母さんのガードは、私以上の戦闘力の持ち主が付いている。
おそらく返り討ちにしているのでは?
「なぜ、そこまであの二人に拘るの?」
私は聞いてみた。
「バカか?お前は?得がたい人材だろ!ニトの研究は人に限らず、この大地の毒も癒やすのだぞ!汚染された大地や河川、海の汚染物質も一部、浄化しているのだぞ、手元に置きたいと思うのは当たり前のことだ」
「愚か者ね」
「な、なんだと!」
「愚か者よ、ニト先輩だったら、お願いすれば『いいよ』で済む話なのに。独占しようとするから、問題が起きるのよ!私が馬鹿者なら、あなたは愚か者ね!」
「子供が!女ごときが何を言う!だがな、今頃、我々の手中だ!はははっ愚か者はお前だっ!」
空が、一瞬陰る。
え?黒い、大きな影が、周囲を覆う。
見上げると……ブラック・ドラゴン!?
え?なんで竜騎士がここに!?
次々に飛龍を使い、舞い降りてくる竜騎士達。
「あ、ミギ」
「誰がミギだ!」
ん?怒っている?
「ああ、我らは不満である!」
「?」
「何故我らを呼ばぬ?東の砦でアイに笑われたぞ!」
「アイお姉ちゃん!?」
「アイお姉ちゃん、酷いんだよ?おまえら、明季に嫌われてんじゃねーのかって言うんだよ!そ、そんなこと、ないよね?」
うっ、この小っちゃい竜騎士、可愛いっ!
「怪我はもういいの?」
「うん」
「嫌ってなんかいないよ」
そう言って、私はジロリと剣聖を見る。
「これが、答えみたいだが?」
「り、竜騎士だと?それにブラック・ドラゴン?」
「ニトとリュートは無事、東の砦に入った。追手は我々が相手した」
え?速くない?
「全て倒したよ。アイお姉ちゃんが挑む者には全力で相手しろっ、て言ったから」
……アイお姉ちゃん、子供に好かれていない?
ちっちゃい子、みんな慕っているような気がする。
ちょっと嫉妬。
「王都の剣聖よ、手を引け、ここまでだ。これ以上明季姫に挑むなら、我々竜騎士がお相手致す」
「!」
え?そこまでしてくれるの!?
なんで?
(封印されたブラック・ドラゴンを解放し、その呪縛を解いたであろう?)
え?ゴルちゃん?
(それに、今までの竜騎士達との戦い、彼らはあなたの実力を認め、感謝したいのですよ)
え?シルバーっち?
「この女にそこまでの価値があるのか!?」
「戦った剣聖殿なら、彼女の強さが分かるはずだ。違うか?」
「くっ」
竜騎士ミギの言葉に、返事ができない剣聖。
戦いはここまでか?
次回投稿は 2023/06/10 22時の予定です。




