【第132話】 ふわふわのお菓子!
今晩は。
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今回、ちょっと長いです。
「ここに、この炎の魔法に染めた魔石を置いて、ここにザラメを置く、と」
「アッキー?ザラメって、砂糖だよ?どうするの?高級品よ!?」
不思議そうに尋ねる美観先輩。
ぐるりと機械を取り巻く皆さん。
高さ1mちょっと、幅は60㎝程か?
円柱の全て金属製。
ちょっと重たいらしいが、獣人族にとっては、苦にならない重さだ。
「まあ見ててよ、期待していいよ」
暖まってきたかな?もういいかな?
で、ここのハンドルを回す、と。
「このハンドル、誰か回してもらっていい?」
「お!私!私してみたいっ!」
手を上げたのはホッシーだ。
「結構速く回すんだけど、いい?」
「いいわよ!」
「じゃ、お願い」
「で、その棒はなに?」
ホッシーが不思議そうに尋ねる。
「ふふっ、魔法の棒よ」
「?」
「何ができるの?」
玲門先輩、ちょっと怖がっている?
私はニッコリと微笑んでみせる。
「じゃ、お願い、ホッシー先輩!」
「うふふ、大好きな後輩のために頑張るわね!」
ホッシーはかなり速くハンドルを回す。
「え?なに?この匂い!?」
ホッシーの目が更に光り出す!
「ホッシー先輩、もう少し速く!」
「お?おお、了解!」
すると中央のやや大きめの穴から……お、上手くいきそう!
円を描くように棒を回す私。そして蜘蛛の巣のような糸を絡める。
「「「「「!!!」」」」
「はい、出来上がり!うまくできたっ!」
ふわふわに仕上がった、ぽい!
試作第一号にしては上出来だ!固くなっていない!
これ、ふわふわにするの難しいんだよねぇ。
「な、何これ!」
「綿菓子」
「たたた、食べられるの!?」
驚く玲門先輩。
目が開いて、まん丸のイオリちゃん。
ぱくぱく。
私はできたての綿菓子を、食べてみせた。
「おいしいっ!食べてみる?」
こくこく。
あ、一同、同じ動きだ!
「あ、手で直接触ると……」
「うわ!と、溶ける!?え?ベタベタ?」
「おいしい!不思議!」
「ち、ちょっと、アッキー!私もそのグルグルしてみたい!」
「え?いいわよ、ホッシー先輩!えっとね、こんな感じで回すのいい?」
割り箸状の棒を渡すとき、ホッシーと手が触れあう。
「ん?どしたん、ホッシー先輩?」
「……もう、手、洗わない」
「なに言っているの?ホッシー!今度は私がハンドル回してみるね」
リュートお母さんの挑戦である。
ぐるぐる。
「私には、ちょっと重たいかしら?」
ぐるぐる。
「あ、ホッシー先輩!今よ!」
「お、おおっ、こ、こうかしら?」
きゃーなにこれ!面白いっ!
女子達で騒いでいると、ドアがノックされる。
皆、熱中して気がつかない。イオリちゃんと目が合う。
すっ、と対応するイオリちゃん、さすがだね。
ドアの向こう側には、ハピ子とアイナンさん。
誰も気がつかない。
私はくるくると小さな綿菓子を二つ作り、新しいゲストに手渡す。
「どうぞ」
「な、何だこれは?埃か?」
埃渡してどうするのよ!
「まさか、美味しいよ」
はっ、と気がつき、振り向いたリュートお母さん達のお口は、綿菓子でベタベタである。
「あ、これは姫さま……」
うわあ、みんな気まずそう。
ゴクリ、と音がする。
目だけ動かし、横を見ると、ハピ子が今にも食いつきそうである。
「ど、どうじゃアイナン?」
「お、美味しゅうございます!なんとも不思議な食感!」
「そ、そうか!」
ぱくっ、と食いつくハピ子。
「何だこれは!」
「おいしい?」
とりあえず、聞いてみる。
「あ、甘くて溶けるぞ!」
うわぁ、聞いちゃいない。
「あと、イオリちゃん、できている?あれも出して。皆に食べてもらって感想聞きたいの」
「あれも、ですか?」
騒がしかった女子達が、一瞬で静まる。
「あれ、とは?」
「え?え?こんな不思議な食べ物、まだあるの!?」
「つ、次は何!?」
……餌付けできそうだな。
イオリちゃんはお皿にコロコロと転がし、それを持ってくる。
「なんじゃこれは?鳥の卵か?いやそれにしても小さい、なんじゃこれは?」
ひょい、ぱくっ、と。
「あん、おいしいっ!たまごぼーろ、よ」
「ボロタマゴ?悲惨な名前じゃな?」
いや、逆だって。
「たまご・ボーロ、よ。どうぞ、召し上がれ」
一番にばくっ、と食べたのはホッシーだ。
「!!!!!」
ぽりぽりぽり、ポリポリ。
「ぽ、ぽりぽりして、溶けるっ!甘くて美味しい!」
「え?溶ける?」
リュートお母さんは一粒摘まみ、そっとお口に運ぶ。
玲門先輩も一粒だ。
あ、アイナンさんも一粒。
美観先輩とホッシーは鷲掴みである。
ハピ子は?
アイナンさんが一粒摘まんで(薄い手袋している!)、ハンカチに載せて渡した!
「不思議な味、食感じゃ!」
美味しいモノを目の前にすると、性格、ちょこっと分かるよねぇ。
いやこれが全部とは言わないけどさ。
「キン子、あのワタガシなるもの、我も作ってみたいが、よいか?」
「どうぞ、ハンドルはアイナンさんに回してもらいましょう!」
「では、私は新しく、お茶を用意致しますね」
出来上がる綿菓子を不思議そうに食べるお客サマ達。
「どうぞ、お茶がはいりましたよ」
綿菓子を手に振り向く皆さん。
「皆様、一つ、ご忠告を」
「?」
「綿菓子、それは砂糖の加工品、原材料、砂糖です、お忘れなきよう。『たまごぼーろ』は、明季さま指定の粉と卵、砂糖、以上、3っを使用しております。食べ過ぎにご注意を」
「「「「「「!」」」」」」
ぴたり、と停止する女性陣。
「確かに、甘くて、とても美味しいけど、砂糖の塊なのね、これ!」
そうなのです、美観先輩。
「でも、これ、疲れた時や、そう!子供達が喜んだりしない!?」
お、玲門先輩は着眼点が私と同じだ。
「これで、商売をしようと思っているの」
「えっ?」
「……キン子、これだけではあるまい?他にも策があるだろう?」
「さて、どうかしら?ふふっ。で、どう?売れると思う?」
確信犯的な質問である。
これは必ず売れる。
他にもお菓子のレシピ、色々知っているしね。
これで護武鈴好の資金調達をして、ゆくゆくは孤児院の、運営資金にも協力できないかな、とか考えている。
で、本音はこの稼いだお金で、イオリちゃんを雇えないかなぁと思っている。
今は、季羅お父さんやランお母さんが、イオリちゃんを雇用しているけど。
それでもいいけど、それじゃイヤなのだ!
次回投稿は 2023/05/24 22時辺りの予定です。




