【第127話】 千客万来?
今晩は。
投稿です。
室内の4人が、一斉にドアを見る。
誰だろう?
私は足音で、イオリちゃんは魔力感知で捉えた。
ハピ子は?
捉えているのだが、手段が分からない!
魔力感知のような気もするけど?
コンコン、と音が響く。
早速対応するイオリちゃん。
「どちらさまでしょうか?」
「知っているでしょう?分かっているでしょう?イオリ先輩!あなたの可愛い後輩のホッシーです」
チラリと私を見るイオリちゃん。
重そうなドアが開くと、ホッシーとリュートお母さんが立っていた。
「あれ?お客様?……げ、ソレル姫!?なんでここに!?」
「げ、とはなんじゃ、歌姫?今朝は世話になったのう?あん?」
袖をちょんちょんと可愛く引くリュートお母さん。
(ちょっとホッシー、あなた何したの!?)
(ご、ごめんなさいママ・リュー!ちょっと調子こいて、その、あの、ジェイが一緒だったから……つい……)
「どうした、歌姫?明季に宣戦布告にきたぞ?警告とか言っていたな?」
「うっ……」
ホッシー先輩、旗色悪し。
「ハピ子、その辺にしといてよ、ホッシー先輩とんでもなくイヤな汗だよ」
「ふん、みたいだのぉ、おほほほほっ、おおいに愉快じゃ!歌を一曲所望する、それでナシとす。どうだ?歌姫?」
「……はい」
あ、ホッシー先輩、私をチラ見した!
歌わせる気!?
いいわよ、歌うわよ。
「じゃハピ子、デュオでいい?」
「ん?よいぞ!入学試験のあの声、また聞けるとは望外である!」
「じゃホッシー先輩、デュオ、闘神の歌でいい?ん?ホッシー先輩?」
(こ、後輩のアッキーが、不甲斐ない先輩の私を庇い、一緒に歌を歌う!?あああああっん、そあっっいこううううっ!)
「キ、キン子、こいつヤバくないか?なんか変な波動、だしているぞ?」
「……いつものことよ」
そしてそれから歌った歌は、大いにハピ子を満足させた。
じっと聞いていたハピ子。
笑って聞いているかと思いきや、真剣なお顔。
「今の曲、もう一度いいか?」
お、アンコール?でも同じ曲?
ん、なんだ?違和感がある。
……曲?普通歌って言うよね?
「同じ曲でいいの?」
「同じ曲がいい、アイナン!」
「はい」
アイナンさん、強力な魔法使った?
パッ、と瞬時に何かがアイナンさんの両手に現れた。
楽器!?
それはどう見てもギター!?
「え?ギター!?」
「ん?ギターを知っているのか?だがこれはバンジョーだ、歌え!我が合わせてやる!」
恐ろしいほどの指の爪が浮き上がり、ぐっと後ろに下がる。
すると可愛い指が現れた。
その可愛い指が弦を押さえ、弦を弾く。
バンジョーの音を聞いた瞬間、ホッシー先輩の目の色が変った。
身長も伸びたのでは、と思うほど歌声と貫禄が増した。
大きく見えるのだ。
私とホッシー先輩の声、ハピ子のバンジョー、奏でられた音の流れは周囲を巻き込み、その魔力の渦は聞く者を癒やし、励ました。
活力が湧き上がり、気力が満ちる。
ああ、歌の力だ!
演奏が終わると、みんなニコニコであった。
そしてイオリちゃんとアイナンさん、リュートお母さんの拍手。
「よい、セッションであった。キン子、お主の魔力は音楽と相性がいい」
「え?そ、そう?」
あ、亜紀が喜んでいる!これは私も嬉しいかも!
「キン子、お前は戦いよりも歌うことの方が向いておる。時代が許すなら、この3人で歌を歌い、街々を旅して回ってみたいものだ。その時は付き合え星影」
「!」
そこまでハピ子が、私やホッシー先輩を評価するとは?
「ソレル姫、そのお言葉、とても嬉しく思います」
深々と礼をするホッシー先輩。
ピクッとイオリちゃんが動く。
あ、私を見た?何?厄介ごと?
私の魔力感知には何も反応しないけど?
ドアが荒々しく開く。
え?誰!?
「お前達!何をしておる!」
寮長こと、校長先生の登場である。
うるさかったのかな?
お話を聞いてみる。
何でも、女子寮どころか、男子寮まで演奏は聞こえ、聞いた者は一時的だが魔力の上限が上がったそうである。
他にも、色々なステータスが一時的に上昇したとか。
聞いた人達、テンション上がったのかな?
トルクちゃん、うるさい!と、苦情に来たのかと思っちゃったよ。
そして始まるお茶会。
「どうであった?学校初日は?」
「え?」
知らないの?
5組のバトル。
私、集会ドーム壊しましたけど?
まあ、校長先生だからって、学校のこと全部、知っているわけではないか。
……でも全責任はある?
これは大変な役職じゃないか?
まあ、この世界がどこまで私のいた世界と、同じ学校システムかは分からないけど。
「喧嘩はしていないであろうな?いいか皆仲良くじゃぞ!バトルは基本認めているが、最終的には手を握れ、お互いを認めろ、よいな!お互いを認めるためのバトルじゃ!」
うう、痛いところです。
「ふふ、気分がよい、では我らはこれにて。校長先生、お話はまた後日。アイナン、部屋に戻るぞ」
私はささっとハピ子に近寄り、耳打ちした。
「今度、こっちからお部屋に行っていい?」
ハピ子のバンジョー、物寄せの魔法、色々聞きたい。
「いいぞ、我が暮らしぶり、披露してやる」
アイナンさんは一礼をし、そっとドアを閉める。
ん……あ、もしかして校長先生苦手か?
イオリちゃんとリュートお母さんが何かお話ししている?
「これが出来上がりましたアッキーの制服です」
「ありがとうございます、早速明日からこれで登校しましょう」
いや、登校するのは私だよ?
そしてこれからトルクちゃんの演説が始まる。
演説は二時間程続いた。
これは知っていて逃げたな、ハピ子!
そして賑やかな登校一日目がようやく終わった。
次回投稿は 2023/05/20 20時頃の予定です。




