【第120話】 残り者には福が?
今晩は。
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「さて、パーティーが決まったら、それぞれ集まって座れ」
先生の声が響く。
うげっ!
立っているの私だけ!?
あ、焦る!
おっかしいなぁ?
歴戦の戦士だよ?
みんな、見る目がないなぁ。
魔族と渡り合っている人、いる?
この前だってブラック・ドラゴンとバチバチだったし。
調子よければゴーレム、呼んじゃうよ?空も飛べるよ?
なにこの空気?
変身もしちゃうんだよ?
リンドウの一件、響くなぁ。
これは語り継がれるエピソードか?
いや、別にクラスにそこまで、拘らないから、ソロでもいいんだけど。
……ふ、ふんっ!お、落ち込んでなんか、いないやいっ!
ん?
ゴブゴブ。
ゴブゴブ。
?
ゴブリンが集まってきた、けど?
このゴブリン達は、大陸ゴブリンだ。
シルバーっちの、管轄外のゴブリン達。
「?」
1、2、3、4名?
男子2名、女子2名?
我がクラスの全ゴブリン。
なんだ?こっちをチラチラ見ているけど?
こ、こ、これは!もしかして、仲間になりたくて、こっちを見ているってやつ!?
いや、仲間にして欲しいのは、私の方なんですけど!
……ああ、仲間になりたいとは、こんなにも切ない気持ちなのだな。
もし、今度あのゲームをすることがあったら、全員仲間にしちゃる!
私は固く誓った。
ヒソヒソ声が聞こえてくる。
(お前言うゴブ!)
(え?お、おれゴブ?は、恥ずかしいゴブゥ)
(お、俺達、弱いゴブ、断られたら立ち直れないゴブゥ)
(男子、頑張ってよゴブゴブ)
(お、お前ら言うゴブ!)
(ええっ!?女の子に言わせるの?)
うん……これは、パーティーのお誘だっ!
違ったら恥ずかしいケド。
女の子ゴブリンと目が合う。
あ……かわいい。
これは、ゴブリンの前世視線だ。
私は自然と座り込み、目線を合わせる。
ちょっと後ろに下がるゴブリン達。
ゴブゴブ。
(お、おい、どうしよう?)
あ、念話に切り替えたぞ。
(も、もし、もし、噂が本当だったら、俺達の憧れの闘神……阿騎さまゴブ)
!
(あーん、どうしよう!?目が合っちゃったよ!なんで私に!?だ、だっだ、男子!助けに来なさいよっ!動けないよう)
(が、頑張れクルミ!)
(ひいいっ~こ、こわいよう!)
そ、そんなぁ、こわくないよ?
「こんにちは、私はシュート家・明季、獣人です。どうか私をあなた達、ゴブリンパーティーに入れてください」
自然と力がはいる……いや、とんでもなく力が入った!ど、どうだ?
断られたら、泣く。
だって私、元ゴブリンだし!否定されたくないっ!
ゴブリンには、特別な、特別すぎる思いがあるのだっ!
間に合ってます、とか言われたら、マジで学校辞める!
メイドンぶんどって、東の砦でアイお姉ちゃんや皆と一緒に暮らすっ!
更に満月期に元帥さん以下、スケルトンさん全員と148体、全ゴーレム召喚して、東の大陸を蹂躙し、ダークエルフ退治して、旅に出ます。
「……ん?」
あれ?ど、どうしたの!?
「ゴビッ、ふっ……ふっふぇええええっんゴビッゴビッ」
女の子ゴブリン、な、泣き出した!?
え?な、な、な、なんで!?
さっ、と、もう一人の女の子ゴブリンが、泣いている子を回収する。
すると4人のゴブリン達は、飛ぶような速さで、大木の裏側に消えていった。
……え?
……はい?
い、今の何?
「おい、見たか!?今の!」
「うん、ちょっと酷くない?」
「可哀想に、パーティーに誘おうとしたんじゃないの?ゴブちゃん達、それを」
ザワつくクラスメート。
(なにをしている!酷いヤツだな!)
え?ハピ子?
(あいつらは大陸ゴブリンだぞ、それもまだ子供じゃ!あんなに魔力を込めて対峙したら、怖いに決まっているだろう!)
そ、そうなの?
(オークの俺さまが気合いを入れないと、キン子の前には立てんのだ!お前は自分の魔力がどれだけ影響力があるのか、分かっていない!)
(可哀想に、泣かしおって!)
し、しかしそれではこの世界で生きていくのは困難では?
(だから、強くなろうとここへ来たのじゃ!自己紹介で話しておったろう!)
え?
(大陸ゴブリンは戦いを好まぬ!逃げることで、生き延びてきた種族じゃ!)
北のゴブリンとは明らかに違うと?
((ブーステッド・フェアリーと一緒にするな!この馬鹿者!))
あ、私の造語、残っているんだ。
いや、今はそこじゃない!
ど、どうしよう?
ごめんなさい、を言わなきゃ!
そんなに魔力に敏感だなんて知らなかったのよ!
脅かさないように、大木に歩み寄る私。
(う、うめちゃん、ご、ごわがっだようぅ、うぐっ、ひぐっ)
(泣かないで、ドングリどうしよう?あの魔力じゃ私達、近づけないよ)
(ドングリ、このままダンジョン行っても、俺達、入り口で終了だぞ?一人ずつ、他のパーティーに入れてもらうか?)
(それは無理だよゴンズイ)
(なんでだよ、うめちゃん?)
(私達、足が速いだけだよ?それに4人一緒じゃないと、クルミが駄目だ)
(おおおおお、おーおーお、おりが、俺がこここここおこ)
「ゴブ?どうしたドングリ?ゴブゴブ」
(ぐすっ、どうしたのドングリ?)
(どうしたの、ねえ大丈夫!?)
(おりが、俺が、し、しシュー家、かき、かき、あきをを、パパパ、パーティーにさ、誘って……ってやったらあああああっ!!!!!)
(ええっ!?)
大木の裏をのぞき込むと、まともにゴブリン達と目が合った。
本日2回目。
固まる私とゴブリン。
あれ?このゴブリン、雰囲気が変った?先程と、全然違うぞ!?
「ゴブ、お、俺はゴブリン・ドングリごぶ」
「ドングリさん?」
「ゴブ、そうドングリだ、家名はないゴブ。ただのドングリ、放浪のゴブリンゴブ」
(絶対シュート家・明季をパーティーに入れる!もう皆の泣き顔なんて見たくないんだ!そして強くなるんだ!)
次回投稿は 2023/05/14 20時頃の予定です。




