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The Lily 前世の記憶は邪魔である  作者: MAYAKO
三章

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【第69話】 生活、楽になる

今晩は。

夜です。

投稿です。

「明季!大丈夫か?探したぞ!」


「シ、シンお姉ちゃん!」


(ここは建物が入り組んでいるし、変な匂いが多い。気を付けないと酔いそうだ。明季、何があった?落ち着いているようだが、汗が病的だぞ?)


 人に酔って、疲れたみたい。


(どんなに満月が近づこうと、気持ち次第では力を発揮できないからな)


「こちらの人が、助けてくれたの、メイドナ家の……」


「メイドナ家・バ・イオリーナ・バウリスと申します、以後お見知りおきを」


 ちょこん、と挨拶するイオリちゃん。


「メイ……!王都の名門?あ、私はシュート家・マ・シーウ・シャンソンだ。妹が世話になったようだな、ありがとう」


「シュート家・マ・シーウ・シャンソンさま、私を雇われませんか?」


「「え?」」


 イオリちゃんはこの学校の卒業生だった。

 あ、本年度の。


 とても優秀で、各騎士団からお声が掛かったらしい。

 そんなイオリちゃんが、私付きのメイドさんになった。


 すると……とにかく王都での生活が楽になった。


 王都案内役ができたのだ!

 学校の情報も、学校以外、王都、その周辺情報も手に入るようになったのだ。


 北のゴブリンさん達の推薦と聞くと、季羅お父さん、ランお母さん、シンお姉ちゃん、エノン、すぐに雇いましょう!となった。


 北のゴブリンさん達と、獣人族は嘗て無いほどの繋がりが出来はじめた。


 その繋がりに、ン・キングも加わり、北と東の地はより強固に、安定し始めたそうだ。その信頼関係は絶大。


 その北のゴブリンさん達の推薦、これは助かると大喜び。


 まあ、ゴルちゃんとシルバーっち、仲いいから自然とリアル世界に反映されるのだろう。


 その日の夕刻には、イオリちゃん雇用の話し合いが始まった。


 場所は、寮の私の部屋だ。


 出会ってその日には、もう寮暮らしで(イオリちゃんが全て手配してくれた)入学式、始業式の用意までしてくれたのだ。


 それプラス、イオリちゃんは、寮住み込みなので実質イオリちゃんと二人暮らし!夜も、夜中のトイレも怖くないのだ。


 多分、私や、シンお姉ちゃん、エノンだけだったら、ここまで辿り着かない。


 事務手配でパンクしていたのでは?


 一年生から頑張ります、とは言ったものの、こんな広い部屋、一人で寝るなんて無理。

 泣き出して、孤児院へ絶対帰るのがオチだ!


 やはり私はこれからの生活、期待と不安は 3:7で不安の方が大きい。

 阿騎は施設で、一人だったけど、もう私は家族の温かさを知ってしまった。

 アイお姉ちゃんやシンお姉ちゃんの、優しい手を、ランお母さんのよしよし、という優しい声を知ってしまった。

 

 弱くなったのかも知れない。


 だけど、家族を安心して慕う気持ちは、私が知らなかった感情だ。

 別の意味では、亜紀にはない、強さが明季にはある。


 人と接するのは怖いけど、怖がってばかりもいられない。

 色々な意味で、強くならなければ。

 そして、大きくなって、皆に会いに帰るんだ。


 ああ、これが私の目標だ。

 

 ……まあ、失敗したり、耐えきれなくなったら、アイお姉ちゃんに会いに行こう。

 きっと笑って歓迎してくれるだろうな。


「お金はいりません。この日のため、一族、死に物狂いで己を磨き、働いてきましたから」


 いや、だからそんなお話聞いたら、余計、ただ働きさせられないよ!

 私が、いや私達が今日一日だけで、どれだけ助かっていると?


「形だけでも、受け取ってくれ」


 優しく、真剣な表情で話すシンお姉ちゃん。


「私からもお願いします」


「明季さまが、そう言われるのであれば」


 どっちゃり。


 シンお姉ちゃんは、金貨の入った袋をテーブルに置く。


「一月分だ」


「これは……多過ぎです、1年分はありますよ?」


「相場が分からん」


「私が、悪い人だったらどうするのです?」


「ふふっ、あの、笑わないフーララがニッコリ笑って推薦したのだぞ?」


「ぶっ!」


 思わず吹き出す私。

 あ、シルバーっちも笑っている。


「それに、イオリナからは、働き者のいい匂いがする、悪人ではない。悪人であったとしたら、我々獣人族が、人を見る目がなかっただけのこと」


 シンお姉ちゃん、女の人に匂いのお話は駄目だって!

 ほら、イオリちゃん、青いお顔でチラリと私を見た。


 きっと聞かれるぞ、私ってどんな匂いなのですかって。


 こうして私の寮暮らしが始まった。


 まさか、もう寮に入るとは!


 最初、トルクちゃんから寮のお話を聞いたときには、心、痩せたよ!


 心の準備どころではない、その場で返答だもの。

 前向きに考えて、返答したけど。


 亜紀の目には一人ぐらしかぁ、と、期待と不安が入り交じって映った。


 阿騎の目には、おっもしろいっ!自由に行動ができる!と活発に考え、元気に映る。


 そして明季の目には、唯々不安で、一人は嫌だ、皆と一緒がいい!と映った。


 今は少し、いやかなり明季は安心しているけど。

 まあ、イオリちゃんと一緒だからだ。


 一人かぁ、と心細くなっていたが、お付きのメイドさんとの暮らし、とんでもない贅沢だが、不安が少し、解消された。


 総合すると、この異世界での一人暮らしは、私には相当負担だったようだ。


 メイドナ家を用意してくれた、メイドンや北のゴブリンさん達、シルバーっちに感謝だ。


「明季の取説を、軽く話しておくか」


 え?


「はい、お願い致します」


「詳しくは後日話すとして、まず明季は一歳だ。そして少なくとも、2体以上の精霊が憑いている。獣人族だから生活は月に影響され、力の最高時には召喚士になり古代の兵器や戦士を召喚する」


 ……とんでもないヤツだな、私は。


「驚かないのか?」


「闘神さまの伝説が残っていますので、おおよそは分かっていました」


「ほう?」


「闘神さまも一歳で戦っていたようです。複数の精霊に祝福され、ゴブリンと同時にネクロマンサーでもあった、と伝わります。魔王の眷属と対峙し、時には空を自由に飛び、また地の底よりスケルトンの王を召喚し、その軍勢でン・ドント大陸を守った、とあります」


 ……とんでもないヤツだったんだな、私は。

次回投稿は、2時間後くらいです。

サブタイトルは 入学式までに です。

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