共闘
「雑魚は雑魚だろうがッ!!」
ドンッ――!!
地面が砕ける。
鵺が、真正面から突っ込んだ。
「――ッ!!」
ガァァァァンッ!!!!
大剣と拳が激突する。
凄まじい衝撃波。
周囲の瓦礫が吹き飛び、空気そのものが震えた。
バチバチバチッ――!!
雷光が奔る。ランスロットの両腕を覆う遺装武具
【ケラウノス】。
そこから溢れる雷が、鵺の大剣へ絡みついていた。
「ハッ!!」
鵺が獰猛に笑う。
「いいじゃねぇか!!」
ドゴォッ!!
力任せの斬撃。
だが、ランスロットは半歩だけ身体を逸らす。
轟音と共に、大剣が地面を砕いた。
その瞬間。
「――轟け」
拳
バァァァンッ!!!!
雷鳴。鵺の身体が吹き飛ぶ。
だが――
「ぬるいんだよォ!!」
空中で無理やり体勢を立て直し、鵺が再び突っ込んでくる。
速い。巨体とは思えない速度。
ギィィィィン!!
大剣が、ランスロットの腕甲へ叩き込まれた。
「っ……!!」
ランスロットの身体が、僅かに後退する。
床が砕け、靴が地面を削った。
アーサーの目が見開かれる。
(押されている……!?)
ケラウノス。伝説級遺装武具。
それを纏ったランスロットですら、鵺を止めきれない。
「ハハッ!!」
鵺が笑う。
「その程度かよ!!」
ガァンッ!!
振り下ろされた大剣。ランスロットが受け止める。
だが。重い。圧倒的な膂力。
「チッ……」
初めて、ランスロットが舌打ちした。
その時だった。
「セシルくん!!」
エルメスの声が響く。
「彼女をとりあえず止血しよう!」
「……っ!」
セシルが我に返る。
腕の中では、キツツキが苦しそうに呼吸していた。
胸を貫かれている。出血も酷い。
「キツツキ……!」
セシルの声が震える。
キツツキは薄く目を開けた。
「……そんな顔、しないでくださいよ」
血を吐きながら、無理やり笑う。
「せっかく助けたのに……」
「喋らないでください!!」
セシルが叫ぶ。
エルメスは冷静だった。
「大丈夫」
「まだ間に合う」
そう言いながら、素早く止血布を取り出す。
一方。
「マーリン!!」
蓮が駆け寄る。瓦礫の中。
マーリンが苦しそうに倒れていた。
「おい!!」
抱き起こす。
マーリンは小さく咳き込み、震える声を漏らした。
「……マスター」
腹部への一撃。杖も砕かれている。
魔力の暴走も起きた。
それでも、彼女は蓮の服を掴んだ。
「ごめんなさい……倒せなかった……」
蓮は眉を寄せる。
「バカ言うな」
強く言い切った。
「よくやった」
その言葉に、マーリンの瞳が揺れる。
だが――
ガァァァァンッ!!!!
再び轟音。
ランスロットが、鵺に吹き飛ばされていた。
「ッ!!」
壁へ激突。瓦礫が崩れ落ちる。
鵺が獰猛に笑った。
「ハッ!!」
「どうしたァ!!」
「伝説の武器じゃねぇのかよ!!」
大剣を肩へ担ぐ。殺気が膨れ上がる。
「こんなんで俺を止められると思ったか!!」
その瞬間。
アーサーが剣を握り直した。
「……まだです」
立ち上がる。視線は、真っ直ぐ鵺へ向いていた。
「ほぉ?」
鵺が笑う。
「まだ来るかよ」
アーサーは答えない。
ただ、ランスロットの横へ並んだ。
ランスロットが僅かに視線を向ける。
「右だ」
短い言葉。だが、アーサーは迷わなかった。
瞬時に踏み込む。
「アルトリア流剣術――」
剣を低く構える。空気が裂けた。
「蒼牙ッ!!」
ガァァァァン!!
鋭い斬撃。
まるで獣の牙のような一閃が、鵺へ襲い掛かる。
「チッ!!」
鵺が大剣で受け止めた瞬間――
「――轟け」
横から、ランスロットの拳が叩き込まれた。
ズドォォォォォッ!!!!
雷光が炸裂する。
「っ――!!」
鵺の身体が、横殴りに吹き飛んだ。
凄まじい勢いで壁へ激突。
建物全体が揺れる。
瓦礫が崩れ落ち、地下通路へ砂煙が広がった。
「決まったか……!?」
蓮が息を呑む。
だが――
「ハッ」
笑い声。
瓦礫が弾け飛んだ。
「いいなァ!!」
鵺だった。
額から血を流しながら、獰猛に笑っている。
「最高じゃねぇか!!」
ゾワッ――。
空気が震えた。
アーサーの表情が険しくなる。
(まだ……あれだけ受けて……!)
ランスロットも僅かに眉を寄せた。
鵺はゆっくりと、肩を回す。
ゴキ、ゴキッ――。骨が鳴る。
「久しぶりだぜ」
口元が吊り上がる。
「こんなに楽しいのはよォ!!」
ドンッ!!
踏み込み。速い。
一瞬で、鵺がアーサーの眼前へ現れた。
「っ!!」
ガァァン!!
アーサーが咄嗟に剣で防ぐ。
だが。重い。腕が軋む。
「ぐっ……!」
押し切られる。
横から雷光。
ランスロットの拳が、鵺の脇腹へ叩き込まれる。
ドゴォン!!
「チッ!!」
鵺が無理やり後退する。
だが、すぐに笑った。
「いい連携だ」
「だが――ぬるい」
ブワッ――!!
殺気が膨れ上がる。
鵺の筋肉が、さらに膨張した。
「……ッ!?」
アーサーの目が見開かれる。
圧力が違う。まるで別人。
「今までのは準備運動だ」
鵺が笑う。
その目には、狂気だけが宿っていた。
「ここからだろうがァ!!」
ガァァァァンッ!!!!
大剣が振り下ろされる。
ランスロットが受け止める。
だが――
ガギギギギギッ!!
「っ……!!」
床が砕けた。
ランスロットの膝が、僅かに沈む。
押されている。
ケラウノスですら、完全には止め切れない。
「ランスロット!!」
アーサーが飛び込む。
「アルトリア流剣術――!」
斬撃。だが。
「遅ぇ」
鵺が片手で弾いた。
「っ!?」
体勢が崩れる。
そこへ――
「死ね」
大剣が迫る。アーサーの瞳が揺れた。
(速い――!!)
避けられない。
その時だった。
バチバチバチィッ――!!
雷光。ランスロットだった。
「――鳴り響け」
雷鳴と共に、鵺の身体が再び吹き飛ぶ。
地下通路が激しく揺れた。
静寂。
ゆっくりと、鵺が立ち上がる。
額から血を流しながら、口元を歪めた。
「……なるほどなァ」
その目が、ランスロットを射抜く。
「テメェ――」
「面白ぇじゃねぇか」




