第39話 一難去ってまた一難?
約三か月ぶりの更新(ーー;)
多分、話は忘れていない……はず。温度感もこんな感じだったと思います。
無双と言うほどではありませんが、ちょっとした乱戦です(`・ω・´)
ルイが放った『走火』は、小鬼たちの目の前で消失した。
「数が多過ぎたかなぁ……ちぇっ。」
ルイは不満そうに独りごちて、前を走るウィルに続いた。
しかし、不発に終わったものの、小鬼たちを驚かせるには十分だった。
わずかな時間とは言え、小鬼は硬直し、ウィルの片手剣の餌食となった。
振り下ろす刃で一体、返す刃で二体目――そして、小鬼たちも我に返った。
そうしている間にルイが追いつき、槍を一振りして小鬼たちをのけ反らせた。
ウィルは、軽快な動作で小鬼たちを斬り倒してゆく。
それからルイは、ウィルの背後を守るように、小鬼たちを槍で牽制して、隙を見て仕留めていった。
その一方で、先行したアルトとセルヴァも、思い思いに立ち回っていた。
アルトはある程度の隙を晒していたが、小鬼たちの動きは悪かった。
特に、アルトの正面に立った小鬼は例外なく硬直して、斬り倒された。
この繰り返しで、アルトは小鬼たちを蹂躙していった。
セルヴァは、旋棍で守りを固めながらも、詠唱せずに魔法を発動させていた。
アルトの場合とは対照的に、小鬼たちはセルヴァに積極的に躍りかかる。
しかし、セルヴァは巧みにその攻撃をいなし、躱し、着実に数を減らしていった。
「ルイ!」
ウィルが声をかけると、ルイはニヤリと笑ってうなずいた。
そして、二人で半ば強引に小鬼たちの陣形をかき分けるように突き進んだ。
ほどなくして、二人は、この場で最も大きな体躯の小鬼の前に立っていた。
わずかな間、二人とその小鬼は何もせず向き合っていた。
その間は、辺りを囲む小鬼たちも動かなかった。
――やがて、辺りの小鬼たちがしびれを切らしてルイたちに躍りかかった。
それに呼応するように、大きな小鬼も突き進んだ。
「ルイ、ちょっとだけ、アイツだけに集中させてくれ。」
ウィルがそう言うと、ルイはうなずいた。
そして、ウィルは大きな小鬼と正対し、ルイはウィルに背中を向けて槍を構えた。
ウィルが片手剣で斬りかかると、大きな小鬼はこん棒でそれを受けた。
数合の打ち合いの後、ウィルは体勢を崩した。
機と見たのか、大きな小鬼は口元を歪めてこん棒を大きく振り上げた。
しかし、こん棒を振り上げたまま、小鬼は痙攣した。
その喉には、投擲剣が深々と突き刺さっていた。
ウィルは、無防備になった大きな小鬼を袈裟切りにした。
その小鬼は、斬撃の勢いで仰向けに倒れて、動かなくなった。
他の小鬼たちは、大きな小鬼が倒れたことで激しく動揺した。
その動揺を、ルイたちが見逃すことはなかった。
その場の混乱に乗じて、残った小鬼たちを全滅させた。
そして、四人は一か所に集まった。
「まあ、ふたを開けてみればこんなところだね。」
アルトがそう言って肩をすくめた。
すると、セルヴァは苦笑した。
「全体で負ける戦いじゃないけど、怪我人は出てもおかしくなかったよ。」
「セルヴァがいるだろ。」
アルトの言葉に、セルヴァは首を横に振った。
「下級白魔法なら、確かに怪我は治せるけどね。少し時間が必要になる。戦闘中やその前後であてにするものじゃないよ。」
「そうだよな。――で、続きがあるみたいだぜ?」
そう言って、ウィルが森の奥に目をやった。
その視線の先には、先ほどの倍以上の小鬼の群れがあった。
「やれやれ、大きめの個体が五体か。――どう対処したものかな。」
セルヴァは肩をすくめて、抑揚なく言った。
しかし、その表情は若干ではあるものの、強張っていた。
セルヴァは、ルイに目をやって言った。
「ルイ君、走れるかい?」
「後詰めで待機してる班に、救援の要請だね?」
ルイがそう言うと、セルヴァは口元をほころばせてうなずいた。
「そういうこと。無理をし過ぎる理由はないからね。」
セルヴァの言葉に、ルイはうなずいた。
「そうだね。――すぐに戻るから、持ちこたえてよ。」
ルイはそう言うと、踵を返そうとした。
その時、桃色の花弁が数枚、空から降ってきた。
「――花びら?どういうこと?」
ルイだけではなく、その場の全員が思わず上を見上げた。
すると、無数の花弁がひらひらと舞いながら降ってきた。
「な、なんだよっ!?これ!」
ウィルが思わず悲鳴を上げた。
瞬く間に辺り一帯は、舞い続ける桃色の花弁で彩られていた。
その彩りは、小鬼たちの群れの、その向こう側にまでも広がっていた。
ルイとアルトも、声を上げることはなかったが、困惑の表情を浮かべていた。
セルヴァだけが、小鬼たちの群れに目をやった。
そして、小鬼たちがふらついている様子を見ると、つぶやいた。
「――『微睡の風』?だとしても、規模が違い過ぎる……?」
ルイたちは、一斉にセルヴァの方向を向いた。
セルヴァは、彼らの視線を受けてうなずき、説明するように続けた。
「恐らく、風属性の高等魔法。――僕らに影響はないから、味方だろうけど。」
「心当たりは?」
ルイがたずねると、セルヴァは首を横に振った。
「この作戦に参加している冒険者の中では知らないよ。」
そう言って、それから続けた。
「――もっとも、やりかねない人物なら、一人だけ心当たりがあるけど。」
その言葉に、ルイたちは顔を見合わせて、苦笑交じりでうなずき合った。
一難去ってまた一難。
――かと思えば、多分、味方からの援護射撃。
次回は珍しく、幕間でもないのに、視点がルイの周りから離れます(`・ω・´)




