070 東照凱人48
「人族。何をしにきた。お前らは戦争中ではないか」
「人族。お前らは侵略にきた。われらが集落を」
「人族。お前らは侵略にきた。われわれの土地を」
リザードヒューマン入ってくる。トカゲのようにウロコのついた体だが、顔については人間のような形、頬あたりまでは首からつながるようにウロコがついている。
そもそも、ウロコなのかは定かではないわけなんだけど。
「落ち着いてくれ。俺たちは人族ではあるが、軍の人間じゃない」
「では南の地に何のようできた」
さて、正直に話すべきかどうか。
「人族と魔族の戦争にて、不可思議な現象が起きている。その原因解明を頼まれた傭兵だ。軍からの依頼ではない」
若干のはぐらかしだが、間違ってはいない。いや、獣人族国の軍の依頼か……いや、少なくとも今回は魔女の依頼だから、個人依頼として受け取っていいはずだ。
「傭兵か……戦場ならばきたの獣人の国に力添えをすればよいのではないか?」
「南の地に近い場所に原因があるとされている。放っておけば、被害は大陸全土に渡る」
正直に行こう。むしろ、ここで協力が受けられれば御の字だから。
「……オレたちは状況を知らない。話してはくれないか」
時間はロスかもしれないが、統計的に見れば早くなる可能性があるし乗っておくのが御の字だ。
意外と俺は御の字が好きかもしれない。
「わかった。だから、ちょっと武器をおろしてもらえないか。あまり、こういうことをされた経験は多くないから緊張して仕方ない」
「お前たち」
リーダー格と思われる蒼ウロコの褐色男がそう言うと、周りの全員が武器をおろす。
「オレはこの集落の長。グライドだ。オレの家へ案内しよう」
***
「大したもてなしはできないが座ってくれ」
家の中は人族などと何ら変わりないものだった。あえて言うなら椅子の背もたれに妙にでかい穴が開いている。腰のあたり。
こういう形の椅子はデザインとしてはあるが、恐らくこのリザードヒューマンの種族にあわせた作りなんだろうな。
尻尾があるやつとないやつがいた。遺伝なのか確率なのかはしらないが、男女関係なくあるものとないものがいた。
「それで、戦場で何が起きている?」
「え~と、まずはアンデットのことはわかるか?」
「ゾンビやスケルトン。ガストのことだろう」
「それであってる。あいつらは本来死後に怨念が強いか、野ざらしになっていたり、土葬で形の残ってる骨に魔力などが貯まることで生まれる奴らだ」
「あぁ、それゆえにオレたちの集落では火葬を主とするようになった」
「まあ、簡単にいえば戦場にある何かが原因で、それらの時間などが狂っている」
「戦場で死んだ兵がすぐさまアンデット化するとでもいうのか?」
「そういうのもあるらしいが、生者が半ゾンビ化なんてものもではじめてるらしく。その範囲は現状戦場内で収まってるが、徐々に広がっているらしい」
半ゾンビ化は最近あったあのネビルから確定情報として追加された情報だ。
「そうか……その原因が南の地に近い場所で起きているとなれば、たしかに被害を受けるのはオレたちになる」
「それで……一応、オレたちはある専門家から今回の調査の依頼を受けてるが、獣人族は国としてはその解決に動こうとしているらしい」
「そうなのか……人族と魔族は」
「あの大規模戦争の他に、内乱でやりあってる。上に立った人間がどうにも悪いらしい」
「そのようなことになっていたか……まあ、そういうことならば仕方あるまい」
信じるということだろうか。
「だが、警戒心は強めなければ種族反映が危ういのでな。手練のものを同行者としてつけてもよいか? それならば、調査にも協力し、しばらくはこの村で過ごしても良い」
「阿多野、それで大丈夫か?」
「完全においてけぼりだけど、大丈夫だよ! 東照くんがそう言うなら!」
こいつはダメだ。
「大丈夫だ。むしろこちらからお願いするよ」
「交渉成立だな」
俺はグライドから出された手をとった。




