056 東照凱人40
突然ながらにも、ゲームっぽいことをしている。歩いていくうちに襲ってくる魔物を剣で斬り裂いていく。
ただ、魔女の家まではまだ遠い。だから、少し前にも言ったとおりこの状況になってしまったことについて、俺的には沼を抜けて落ち着いたから語ることにしよう。
***
あれは人族国へと救出を済ませた後の風呂でのことだ。俺はヤイアと一緒に風呂に入っていた。村にある温泉的な風呂だから安心しろ。個室の風呂とかではない。
「そういえば、ガイトさん。またお話が」
「なんだなんだ。俺はしばらく手に入れたお金でゆっくりしたいくらいなんだが」
「お金のためならなんでもするんじゃ」
「まあ、額によってはすぐに動くな」
「それなんですが……ちょっと、国王から依頼が」
「……はっ!?」
俺は柄にもなく立ち上がってしまったよ、この時は。
「……国王からならうん。まあいろんな理由から動いてやるけど――何故、俺?」
「今回の件と、なんか昔からそういうやつだしとか言ってましたけど……」
「……今の国王って名前何?」
「レグラスっていう数年前勇者と共に旅してた男の獣人です」
めちゃくちゃ知り合いだった。いや、あいつのついてはパーティーに入れたわけじゃなくて、勝手についてきて勝手に暴れまくって、いざパーティーに誘おうとするとどっかに雲隠れするわけのわからん奴だったはずだが、国王になってたのか。
「それで、どんな依頼なんだよ……」
「魔族領のドレッグポイズにいる魔女の元に行ってきてほしいと」
「……聞いたことはあるが、詳しくは知らないぞ。あのへんのことは」
「僕にわかりませんよ……ただ、なんかその魔女に頼み事してたんだけど、人族からの攻撃とかも起きてきて人員が回せなくなってるそうで」
「そういうことか。まあ、すでに本人同士で話が付いている場所にいくってことならいいんだけどよ」
「あと、僕とガイトさんのふたりだけでだそうです」
「何故……」
「魔女が女嫌いらしいです。本人自身が『若い女が来ると嫉妬しちゃうから連れてくんな! 特に人族の女!』と言っていたそうで」
「……それじゃあ仕方ねえな」
風呂から上がって、そのことを阿多野と姉ヶ崎にも話したら案外スッパリと受け入れてくれた。
「じゃあ、私たちは獣人の国にしばらくいようかな」
「そうね。なんだかんだ、今までの場所よりは仕事もくれるものね」
「まあ、お前らがそう言うならそれでいいんだが……あぁ、金お前らに預けておいていいか?」
「ん? ……別にいいけど、何で?」
「いや、ちょっと沼とかその辺行くから持って行きたくない。お前らなら……まあ、その……あれだ……うん、預けてもいいと思えたから」
この時、ものすごい阿多野がニヤけ顔してたけど、そんなことを俺は覚えていない。
まあ、こんなやりとりがあって現状に至るわけだ。




