047 東照凱人36
数日後、事態は変化する。
「手紙が届いた?」
「どうやら、人族国内にいた獣人族を人質にとってきたそうです」
「そいつは……友好関係とか色々あって、住んでいた国民のひとりをそんなことしたら。人族内でも何か起きかねない手だろう」
「人族領にいる隠密隊からは穏健派の攻めが激しくなったそうですので、多分そういうことになるのかと」
「内部争いを激化させてまで敵を増やす手をうってきたってのは、どうもよくわからないな」
まさか、魔族と同じで人族以外の種族が嫌いなんじゃないだろうな、あの国王。
それにしても愚策でしかない。あれか、今まで指揮とってたやつが穏健派いったとかそういうやつか。
「それで、どうやって動くことになってるんだ」
「獣人族は少数精鋭で人質の解放もしくは奪還を目指します。話し合いによる解決は諦めてるようです。そのために、まずは人族の穏健派の方々と合流する予定みたいです」
「まあ、やり方としては正しいんだろうけど、連絡は取れてるのか?」
「連絡は取れています。ただ、細かくとることは難しく合流場所を決めたのが最期になってますね」
獣人族はあくまで、国として動いてるようにはみせないで混乱に紛れて行動するってわけか。
「まあ、そんで。こんだけ情報を話すってことは……」
「はい。今回の作戦の協力を追加でお願いしたいです」
深く頼まれる。
相手が人族なのは別にいいんだが、知り合いなのがな。やっぱり、ひとりで旅してるべきだったよな。しつこいようだが情がうつった。むしろ俺よりあいつらのほうが容赦なくボコっててビビったくらいだしな。
「まあいいや。協力してやるよ……ただし、それなりの額は要求するからな」
「わかっています! 最悪、僕の資産からだしますので……」
「……まあ、場合によっては加減するか分割でいいよもう。とりあえず、まずは成功させることを第一に考えろ。俺も死ぬのはごめんだ」
ある程度の方針を決め終えた後、阿多野と姉ヶ崎にも話した。即答でOKをされて戸惑った。
その3日後、村に本国から物資が届き遠征の準備を整える。
メンバーは、俺・阿多野・姉ヶ崎・ヤイアその他獣人族の精鋭6名にミルカ――
「「なんでお前(お嬢様)がここに!?」」
俺とヤイアの声がハーモニーを奏でた。
「おにいさんたちが行く言うてたのを聞いてな~。まあうちも腕はたつし安心して~な」
「そうなのか?」
「まあ、並の兵士なら地に伏せる実力派持ってるでしょうけど……戦場にも何度か行ってますし」
「そうか……だが、なんというか。お嬢様だよな一応」
「お父さんに言われたことでもあるからお願いするわ~。人族国に妹――つまりうちのおばさんがいたらしくてな~」
「人質にされてしまったという情報が届いたんですか!?」
「そういうことやえ。うちもおばさんには結構お世話になってたから助けたいんや!」
「あ、あのガイトさん」
「お前が決めろ……一応お前が今回の作戦のリーダーなんだから」
「……く、くれぐれも無茶だけはしないことです。これはお嬢様以外もですけど、それができるなら共に行きましょう」
「まかせとき~」
かくして、人族国への潜入作戦が開始されることとなった。




