002 東照凱人02
次の日――まあ、よくある展開だ。
「今日はここまで! ゆっくりと体を休めてくれ!」
勇者の力と後はまあ魔法などのための訓練というやつだ。
「はぁ……」
おっと、ため息をはいてしまった。シアワセガニゲテシマウジャナイカ。
とりあえず今日の様子を見るにこいつらの才能的であり潜在的なレベルは高いと見ていいだろう。
この世界で戦争に行って死んでもなんでもいいが。
こんな事をいってしまってはあれだが俺は3年もの間行った戦いで人の死は2つの意味で慣れてしまっている。最初の1年は一戦毎に吐いてたが。
「おい東照、ちょっとこっちこいよ」
すまん、昨日の夕方の俺。発言を撤回する。こっちが最後のサンドバックだ。
城の裏の影になる所に連れてこられた俺は魔法とかぶつけられたりした――にしてもこいつら特殊能力とかはないのか。
聖剣なんて念じれば出てくるんだぞ。能力にしても聖剣にしてもそっちを鍛えたほうがいいんじゃないか、お前らの大好きなゲームで言うエキストラスキルとかそういう類なのに。
「やっぱりストレス解消の奴がいるのはいいな!!」
「マジそれ!」
安心しろ、この世界ではそのストレスに慣れないとやっていけなくなるからな。
とりあえず小川の属性が火だという事はわかった。
なぜなら暴力どころか覚えたての火の魔法で服と皮膚の少しを燃やされたからだ。
「こんな所で何をしているのですか?」
「えっ、い、いやちょっとじゃれてただけですよ」
そこに現れた一人の女を見てたじろぐ不良生徒O(小川)とそのとりまき。
「そうなんですか? ですが怪我する可能性なども高いから気をつけてくださいね」
「うーい。ほら、戻ろうぜ」
「お、おう」
あいつらは戻っていく。
俺は正直、痛みとか関係なく影が若干涼しいからしばらくこうしていたくなっていた。
「……ありがとうよ」
「問題無いです……それよりももう少し力をつけるか――“本気でやったら”どうですか?」
「…………」
何がいいたいんだこの女は、もしかして昔の知り合いか?
俺はその女をとりあえずこの場で初めてしっかりと見てみる。
氷のような色の髪に腰には剣をつけてるな。目も青か――。
「もしかしてお前」
「――気づくのが遅い、凍えろ」
「お前が先に燃えたらな」
知り合いだった。
「まさか生きていたとはな」
「そうだな」
「それに見た目も変わっていないようだ」
「時間がずれてるからな」
「とりあえず若さがムカつくから凍り付け」
「お前が先に燃えたらな」
こいつは俺と一緒に旅をしていたことのある騎士、ルルム・イシュバータ。凍えろとかなんとか罵倒を飛ばしまくってくるが、いつもこんな調子だったから問題ない。
「どの程度ずれた」
「5年ってところだ」
「つまり、あの対決でどこか別の場所に行き時間も立たずに戻ってきたら5年たっていたという認識でいいか?」
「あぁ、それでいい」
城の裏で話してると密会みたいだな。
「それで、今回の戦いどうなってるんだ?」
「だいたい予想は付いてるんだろう。現場に行ってない……行けないわたしは下手なことは言えない。いつものやつらにでも聞くんだな」
「そうだな……ってことは俺がここから出て行くつもりなのはわかってるのか」
「そもそも金も払う気のないあいつのもとでこれ以上働く気無いだろ。覚えてないのかお前の王へのセリフ」
さっぱり思い出せない。
「『国を救ってほしい? いいだろう、金はいくらだ?』だ」
「そんなことを言ってたか……だが、元の世界に帰れない前提ならば金は欲するだろう」
「否定はしないがストレートすぎだ、馬鹿。凍死しろ」
「お前が全身焼けたらな」
ちなみにこいつと恋仲なんてことは一切ない。むしろ俺はこいつの恋を“無償”で手伝ってしまって後悔してるぐらいだからな。
「じゃあ俺を追い出すのを手伝ってくれ」
「断る……が、お前の倉庫から金を持ってきてやるくらいなら可能だ」
「じゃあそれでいい」
金があれば兵士でも買収できるしな。
「今日の夜に部屋に行くから開けておけ。一人部屋だったな?」
「あぁ……そんじゃ早朝には外にでる」
「わかった。ちなみにわたしも少ししたら外に出る」
「は?」
こいつは何を言っている。国に仕える騎士だろう。
「情報を集めればわかるが、隠されてる情報だ。人族内でも反乱軍が存在していてな」
「…………好きにしろ」
「お前に何を言われても変えん」
あまり長居するのも誤解を招きかねないということでこの場はこれで解散となった。
さて、準備を始めるとするか。




