032 東照凱人23
あの子供を連れて、街の隅にある灯台へと俺はたどり着いた。
まあ見たとおりのものなんだが……というか灯台と言ってしまってたけど、この世界にそもそも灯台があるかなんて数年いても確認しないから厳密には違う可能性のほうが高い。
「ここ、おうち」
「……は?」
そして例の子供はついたなりにそんな意味不明なことを言った。
ここがうち?
「中入れる」
「いや、だが管理してる人間がいるんじゃ……子供に言っても意味ないか」
「捨てられた場所だから大丈夫」
成長速度遅い種族とかじゃないのか、こいつ。
正直見分けがつかんから気にはしないが、こうも驚かされてばかりだと気になってくる。
「あっちにいたけど、逃げてきた」
「あっち?」
子供が指差した方向は、高台にいるためかとても綺麗に見える。
ただあっちは明らかに魔族領だろう。
「もしかしてお前の親……」
「いなくなってないけど……いなくなっちゃった」
「……え?」
普通に死んじゃったって言われても言葉に困るが、いなくなってないけどいなくなっただと。
「操られてお仕事無理やりさせられてる」
「操られて――」
まて、魔族の中に洗脳の術を持った奴がいるってことか。
となると、あの村を襲った奴はもしかして……これは内部抗争に獣人族が巻き込まれ始めたということか。
嫌なところでつながったな。
「おい……お前の母ちゃんと父ちゃんはどんな人なんだ?」
「お父さんはドラゴノイドでお母さんはリザードヒューマン」
リザードヒューマンとはまた希少種な親なことだ。ただドラゴノイドは人化の術を持っててリザードヒューマンは鱗が所々にある人間と言ってもいい、それなら人間にしか見えない子供が生まれてもおかしくはないのか。
「まあ見つけたら助けてやるよ」
「でも……お兄さんお金の亡者って」
「…………いいか、嬢ちゃん。お兄さんはお金の亡者だが、人畜無害なんだ。なに、先行投資ってことにしておいてやる、おとなになってまた会うことがあったら飯でも作ってくれ」
「……うん、わかった」
「いいこだ……それじゃあ今日はまたな。風邪引くなよ」
俺はその灯台から去っていく。時間は気づけばすぐに日が暮れるほどになっていた。
そして灯台から降りた場所には――ニヤけ顔した阿多野がいたのでデコにチョップをかましてやった。
「あいたっ!」




