022 東照凱人13
「…………」
「…………」
石の塔に入ると、俺たちは思わず無言になる光景が目の前に広がってるわけだ。
あまりにも汚くてな。
「とりあえず起きろ。阿呆」
「ふぐにゃっ!?」
俺はゴミの中からでてる尻尾を掴んで、乱雑に引っこ抜く。その尻尾の先には獣人がいるのはこの世界なら当たり前のことだ。
「その声はガイトっち。どうしたの――ん? ガイトっち!?」
「いいから目を覚ませ」
「顔踏むのやめて!?」
この獣人の男は――仮にも情報屋なんだが、その他のスキルが壊滅的だなやつだ。
「ジャンク、今獣人族襲ってる魔族についての情報をよこせ」
「よこせって何!? よこせって!? ちゃんと、払うもんは払って守らなわないとボクッチも商売上がったりだよ!?」
「というかジャンクって名前なの……?」
「それはボクッチの情報屋ネームみたいなもの、情報は言い方悪いけど正しさを求めなければジャンクのように転がってるからね」
正直、この考え方はどうなんだとは思うが――情報量でいえば優秀だから、文句も言えない。
「カルトからの依頼だから、終わったら払ってやるから。情報をくれ」
「カルトチの依頼か~。なら報酬は期待できそうだしいいよ!」
「あの子、信頼されてるのね」
まあ一応獣人国の国王傘下の人間だったはずだしな。それで人当たりはいいとくれば、信頼されるのが世の常というものだろう。
「それで、今襲ってきてる魔族についてだったね。それだと抑えるべきは3つかな」
「3つか」
「まず1つは、魔族側でも内部抗争が起きててその中でも多種族を滅ぼすとかそういう物騒な考えの集団がやってるのが今回の襲撃ってこと」
つまり、これを解決するために仮に魔族領へと入って魔王や上の地位にいるものに交渉をしても無意味になる可能性が高いってことか。
「そして2つ目は、魔族の中には知能の上下差が激しいのはわかってると思うんだけど、その中でも下の奴らが攻め入ってきてる集団には多い――にも関わらず、その統率はその知能を上まった動きをしてる」
「誰か指揮官がいるって考えるのが妥当かしら?」
「いや……まあ、今はいいか。それで3つ目は?」
「ん?」
姉ヶ崎に別の可能性を言おうとしたが、今じゃなくていいだろう。
「襲撃にしては襲い方が不可解な点が多いってところかな。ここはボクッチの推測混じりだけど。人を襲うわけでも食料とかを襲うわけでもなく、ただ家とかを少し傷つけては帰るみたいなことを繰り返しているらしいよ」
「なにか狙いがあるんだろうが、わけがわからない動きだな」
「とりあえず、ボクッチがすぐに出せるのはここまでかな。この他は詳しく調べてみないと」
「いや、とりあえず大丈夫だ……ありがとうよ」
「毎度~」
「阿多野を探すぞ、姉ヶ崎」
「これだけでいいの?」
「どちらにしても現地には一度行かないといけなそうだ」




