017 阿多野愛菜09
さて、そろそろ私もバトンタッチするべきだとは思うけど、約束の日がきたからもう少し話させてもらおうかな。
そうだね。東照君と約束してからきっちりと6日後のお昼ごろに、水面さんの家に東照君はきました。
「凱人―! そんでどやって判断するんだ?」
「とりあえず、木刀持ってるからかかってくればいいや」
「だそうだ、一人ずついってくればいいんじゃないか?」
水面さんがそういうので、私は――もちろん、遠慮もなく行くかな。
「おいおい、フライングするなよ。まあいいけど」
能力使ってなくても、元の世界と比べればオリンピック選手かそれ以上くらいのスピードで、初撃をしたのになんでふせげるのかな。
「いいなら遠慮無く!」
初撃は拳で止められたけどそれなら、足の攻撃は防げないんじゃないと思うけど――やっぱり。
「本当に2ヶ月でこれかよ。水面お前何教えた」
「スパルタしておいた!」
「くっそ……」
それにしても、東照君の剣術は我流なのかな。少なくとも剣道とか有名で私でも知ってるような使い方じゃないかな。
「ちょっとは本気だしてもいいのかな?」
「……かまわんが」
かまわないって言ったね。それなら――私は能力をフルに使わせてもらうよ。
「相変わらずの白猫……いや、猫じゃなかったか」
「ていやっ!!」
私は能力であがった俊敏性をつかって回し蹴りを入れたんだけど――なんで防げるの。
「……もういい」
「え?」
「いや、もうわかったってことだ」
「そ、そうなんだ……結果はどうかな!?」
「まあ、待て……姉ヶ崎も来る気なら終わってからな」
「もちろん行くわよ」
私はそう言われたら下がるしかないかな――でも全部防がれちゃったけど、駄目だったかな。
「水面! もう一本」
「ほらよ」
私がそんなことを思いながら姉ヶ崎さんのテストが始まるのを待ってると、木刀を交換しました。私の時に使ってたのは水面さんに投げ渡されて。
「まあ、大丈夫だろ」
「本当に大丈夫ですかね?」
「あぁ、木刀もこのとおりだからな。威力は合格に決まってる」
水面さんはそう言ってその木刀を私に投げます。それをキャッチすると、刀身の真ん中に大きなヒビが入ってます。
「新品だったやつをそんなにするなら十分魔物にも通用する」
「そっか……うわ、姉ヶ崎さんのあれって」
「すごい能力だよな」
水面さんと話してるうちにテストが始まってましたが――姉ヶ崎さんの能力かな。腕とか足が黒くなって、まるで甲虫の甲殻――ここに来る途中にいたあのクワガタの魔物みたいになってる。顔とかは人間のままだけど頭に小さく触角みたいなのがあるかな。
距離があって詳しくは見えないです。
「硬いなお前」
「不本意ながら虫で甲虫らしいわよ、これ!」
「いや、その硬さで殴られたら普通に死ぬからな」
「木刀で受け流しておいてよく言うわね!」
姉ヶ崎さんも体強くなったなって凄い思います。
そしてテストが終わった後に――何故かバーベキューしてます。
「ちょっと、結果はどういうことかな!」
「飯食ってからでいいだろ」
「そうだそうだ!」
「水面さん酔ってるわね」
「昼間っから飲んで、まったく、まあこいつも寂しいのかもね。2ヶ月も一緒にいたから」
カナミさんはそう言います。
「まあ、とりあえずしばらくはついてきてもいいが。まっとうな範囲での金集めくらいは手伝えよ」
「え?」
突然、東照君はそんなことを言った。私は突然過ぎて、聞き返したかな。
「ついてきていいって言った。こないならこないで構わんが、来るならそれは構わん。明日の朝でる」
「だって、阿多野さんはどうするのかしら? 私はあなたについていくわ」
「う、うん……行く! ついていく!」
「そんなら、今日は飯食って準備して寝とくのが一番だ」
「わかったかな!」
こんな風に私は東照君とこれから旅を始めることになったね。
この時、私は少し薄情にも一緒に来た他の皆のことは頭の本当に端っこに追いやっちゃってたけど、みんなとまた出会うのもこの旅の最中――だけど、私の話は一旦ここらへんで休憩させてもらおうかな。




