014 阿多野愛菜06
「じゃあ、とりあえず体の使い方からかな」
「はい」
「とりあえず、このコースを早くクリアできるようになる特訓をしばらくするよ」
「わかりまし……た」
私はカナミさんに連れられて来た場所は、アスレチックの用な場所です。
ただ、その難易度はアスレチックなんて生易しいものじゃないかな。
「とりあえず……今日は半分くらいまで行ければいいんじゃない?」
「そんな難易度なんですか!?」
「うん! だってあたしの全盛期でも初挑戦は障害合計23のうち4つ目で1日目はリタイアしたから!」
「あ、あはは」
私は一度深呼吸をしてから出発します。
「じゃあ、リノちゃんは病み上がりだしこっち先ね」
「わかりました」
姉ヶ崎さんが何するかも少し気になるけど。
「……砂場?」
ひとつ目の障害につくと、そこにあったのは砂場です。
看板があって絵で内容を説明してるみたいですが――よくわからないかな。
「砂場を走り抜けてるのはわかるけど……この、受け止めたりいろいろしてるのはなんだろ?」
砂場を改めてみてもそこにあるのは、枠で囲まれた砂場です。距離は50m走ほどはないから30mくらいかな。
「とにかく、やってみようかな!」
私は砂場に足を踏み入れました――そして三歩目にさっきのわからなかったものがわかりました。
「えっ!?」
地面の中から、木の杭が私めがけて飛び出てきたってわけです。
どうにか反射でかわしたけど、もしかして奥に行く度に増えるのかな。
「いってみるしかない!」
私はそのまま走って突っ切ろうとしました。でも、予想通り数は増えてきて半分くらいで枠の外にはじき出されちゃったかな。
「いてて……えっ?」
ただ、それだけにとどまらず、私の視界には普通じゃない光景がありました。
枠からはじき出された私は、はじき出された場所じゃなく――砂場のスタート位置にいます。
「そういうことか~。ズルは一切できないってことだね!」
***
「はぁ……はぁ……」
「すごいね。まさか5分の3制覇するとは」
私は能力まで使って全体の5分の3まで制覇しました。
ただこの障害全て記憶は意味をなさなくて、スタートに戻されたら次はパターンが変わってくる。
「1日目はこの辺にしておこうか。リノちゃんもそろそろ帰ろう」
「え、えぇ……そうしましょう」
「姉ヶ崎さん、大丈夫?」
「大丈夫よ……」
精神的に疲れたような顔してるけど、何やってたんだろう。
というか、夕方になったけど水面さんの姿は見えなかったけど来てたのかな。
「マジか……俺なんか砂場クリアに2日かかったぞ」
「アイナちゃんは、少なくとも反射神経はいいよ」
「そうか~」
「あはは、そうなんですかね?」
「すごいわ、私はまだまだね。能力も使えるようにならないと」
夕食の時はそんな会話をしました。
その後は毎日同じような繰り返しがしばらく続きます。
それでだいたい1ヶ月たったくらいかな、私はあのアスレチックは突破できるようになってタイムも結構出てきたの。
それで、姉ヶ崎さんとやることが交代になったわけです。
ただ、私の時とは違って、姉ヶ崎さんはカナミさん、私は水面さんが担当するみたいです。
「そんじゃあ、よろしく」
場所は家です。
「よろしくお願いします……それで、何をするんですか?」
「言っただろ。生き抜くための技術を教えるって、つうわけでこれだ」
水面さんは私の前に一枚の紙を出します。現代的な紙ではなく羊皮紙とかそういうほうがいいのかな。
「…………」
その中身を見ると、見たこともない何かが描かれています。
「なんですかこれ?」
「この近くの宿屋の宿泊費とプランの値段表だ」
「えっ!?」
こ、これが文字……?
たしかによくよく見れば、しっかりと文字のように区切りがあるかな。
「ということで、姉ヶ崎ちゃんが先にやってたのは体じゃなくて頭の知識ってことで、次は阿多野ちゃんにこれを覚えてもらう」
「話し言葉は一緒なのに、書き文字は違うんですね」
「少しそれも違うか。この世界に入った瞬間に実は、世界への適応はしてるんだよ、召喚された勇者ってのは」
「身体能力も上がってるとかそういうことですか?」
「それも含めてだな。たとえば食べ物についてもこの世界のものを食べても問題がない体になってる。もちろんこの世界で毒なものを食べれば毒だけどな。それで“話し言葉”、“聞き言葉”については適応されていて、話とともに“読み言葉”もまあ適応されてるようなもんなんだが、“書き言葉”だけは適応がされてないわけだ」
「それはなんでかわかってるんですか?」
「知らん。だが、俺の予想だが。元の世界でも漢字検定とかようするに普段使う言葉でも書くことについては“暗記”しないと全部使えるわけじゃないだろ。だから、多分無意識かとか定着という意味で、生きている間使うものについては適応するけど脳で意図的におぼえる必要のあるものは、影響が大きすぎるとかで適応されず自力で覚えなきゃいけないと予想してる」
たしかに、脳への干渉は負担が大きそうっていうのはわかるけど、姉ヶ崎さんが初日に頭を抱えていたのは一から文字を覚える必要があったからってわけだね、うん。私も頭を抱えちゃいそうだよ。
「ということで、これがこの世界でいう五十音順表みたいなものだから覚えていってもらうぞ~」
「はい」
でも、時間も残り1ヶ月。やることは全部やらないとだね。




