第4話:聖女、正式に配信に参戦
「――というわけで、今日から私もソウタさんの隣にいますので」
ギルドの前でぼんやり依頼票を眺めていたソウタの隣に、当然のように腰を下ろしたのは、あの日告白した聖女――アリシアだった。
「え、いや、なんで隣に座ってるの!?」
「だって、恋人ですから」
さらりと言い切られ、ソウタは言葉に詰まる。あの告白は無茶振りガチャのせいだったと説明する暇もなく、王都中の視線が二人に集まっていた。周囲がざわめく中、視界の端に見覚えのある赤い光が明滅する。
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スキル発動:【視聴者ガチャ】
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▼当選者抽選中……
進捗:██████████ 100%
「うわ、まさかのタイミング!! 今はやめてくれ!!」
アリシアが不思議そうにこちらを覗き込む中、絞り込みの候補文字列が高速で明滅していく。
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当選者確定
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ハンネ :尊死予備軍
称号 :聖女推し新規勢代表
発動まで:00:00:05
危険度 :★★☆☆☆(羞恥ダメージ特大)
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「尊死……? 誰だそいつ!」
コメント欄が、いつになく色めき立った様子で流れ込んでくる。
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[尊死予備軍]:聖女様が隣にいるとか尊すぎて無理
[尊死予備軍]:ソウタ、聖女様に甘えてみて
[尊死予備軍]:膝枕してもらってこい、頼む
[底辺時代からの生き証人]:新規のテンションすごいな
[解説おじさん]:これは無茶振りというより願望の暴走だな
[名無しの視聴者]:尊死民の圧が強い
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続けて、指令確定のウィンドウが叩きつけられるように表示される。
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指令確定
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内容 :聖女に膝枕をお願いし、
三分間そのまま甘えること
制限時間:00:00:05以内
未達成の場合……対象は即座に消滅する
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「膝枕!? 大通りのど真ん中で!? 無理無理無理!!」
すでに周囲の視線が集まっている状況で、これ以上の羞恥プレイなど正気の沙汰ではない。だが、逆らえば消滅する。ソウタは冷や汗を流しながら、震える声を絞り出した。
「あ、あの……アリシアさん。その、膝を貸してもらえたりします……?」
「え……こ、こんな人前で、ですか……?」
顔を赤くしたアリシアが、恐る恐る自分の膝を叩く。ソウタは死んだ魚のような目をしながらも、覚悟を決めてそこに頭を預けた。
「……温かい」
思わず漏れた本音に、アリシアがさらに顔を赤くする。二人の周りには、見物人が黒山の人だかりを作っていた。
「あ、あの、ソウタさん。もう少し、このままでもいいですよ……?」
「え」
予定より長く続いた膝枕タイムに、ソウタは動揺しつつも、なぜか悪い気はしていなかった。
三分が経過し、ウィンドウが眩い光を放って躍る。
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指令達成
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尊死予備軍の願望:完全成就
対象の生存 :確認
特記事項 :聖女との親密度、大幅上昇
NICE GACHA!!
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コメント欄が阿鼻叫喚と化した。
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[尊死予備軍]:尊死した もう思い残すことはない
[尊死予備軍]:これは神回を通り越して聖回だ
[底辺時代からの生き証人]:新規の願望が叶う瞬間を見た
[解説おじさん]:親密度上昇は今後の展開的にも意味がありそうだ
[名無しの視聴者]:見せつけられてる俺たちは何なんだ
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膝枕から起き上がったソウタの顔は真っ赤だったが、隣のアリシアも同じくらい赤い顔をしていた。二人の間に、これまでとは違う妙な空気が流れる。
「……その、また明日も、隣にいていいですか?」
「……好きにしてくれ」
ぶっきらぼうに答えるソウタに、アリシアは花が咲くような笑みを浮かべた。無茶振りガチャは、今日もまた予想もしない方向に彼の日常を塗り替えていく。
……さて、明日の無茶振りは何だ? 第5話へ続く。
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ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!
聖女アリシアが正式に配信メンバー入りしたことで、コメント欄の空気も少しずつ変わり始めています。次回以降、彼女目当ての新規視聴者――通称「尊死勢」が徐々に増えていく予定なので、コメント欄の顔ぶれの変化もぜひ楽しみにしていてください。
また、無茶振り将軍・解説おじさん・底辺時代からの生き証人といった古参組が、新入りのアリシアやソウタたちの関係をどう見守っていくのかも、今後の見どころのひとつです。彼らが束の間見せる素の一面にもぜひ注目してみてください。
物語はまだ折り返し地点にも届いていません。ソウタが最終的にどんな仲間を、どんな絆を積み重ねて魔王城へと辿り着くのか、その過程をこれからも一話一話丁寧にお届けしていきます。
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それでは、また次の無茶振りでお会いしましょう!




