第30話 さて、明日の無茶振りは何だ?
魔王討伐から数週間。王都は平和を取り戻し、ソウタたちの帰還を祝う声が街中に響いていた。
「まさか、こんなに盛大に迎えられるとはな……」
パレードの熱気に照れながら呟くソウタの隣には、当たり前のようにアリシアが寄り添っている。モフモフ丸は子どもたちに囲まれ、満更でもなさそうに尻尾を振っていた。
「ソウタさんの活躍、もう国中に知れ渡っていますよ」
「活躍っていうか、大体は無茶振りに振り回されてただけなんだけどな」
苦笑しながら空を見上げると、視界の端に見覚えのある赤い光が、いつものように優しく明滅した。
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スキル発動:【視聴者ガチャ】
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▼当選者抽選中……
進捗:██████████ 100%
「魔王倒したのに、まだガチャ続くんだな……。まあ、今更驚かないけど」
絞り込みの候補文字列が明滅し、静かに止まる。
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当選者確定
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ハンネ :無茶振り将軍
称号 :常連中の常連・危険物件請負人
発動まで:00:00:05
危険度 :★☆☆☆☆(平和)
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「お前が来たのに、危険度星一つとか珍しいな」
コメント欄に、これまでで一番穏やかな一言が流れ込んでくる。
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[無茶振り将軍]:最後くらい、俺らしくないやつでいいよな
[無茶振り将軍]:アリシアに、これからもよろしくって、ちゃんと伝えてこい
[底辺時代からの生き証人]:将軍が優しいの、慣れないな
[解説おじさん]:締めくくりに相応しい指令だ
[尊死予備軍]:最後まで見守れて幸せです
[泣き虫]:ここまで無事でいてくれて、本当によかった……
[実況泥棒]:色々世話になった。これからも見てるから
[名無しの視聴者]:みんな集まってきてて草
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続けて、指令確定のウィンドウが叩きつけられるように表示される。
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指令確定
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内容 :アリシアに、これからもよろしくと
まっすぐ伝えること
制限時間:00:00:05以内
未達成の場合……対象は即座に消滅する
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「最後がこれとか、逆に一番緊張するんだけど……」
苦笑しながらも、ソウタはアリシアの手を取り、まっすぐに見つめた。
「アリシア。これまでずっと、隣にいてくれてありがとう。……これからも、よろしく頼む」
「はい。ずっと、隣にいます」
夕日に照らされる二人の姿を、モフモフ丸が静かに見守っていた。
ウィンドウが、最後に優しい光を放って躍る。
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指令達成
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無茶振り将軍の願望:完全成就
対象の生存 :確認
特記事項 :新たな日常、始動
NICE GACHA!!
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コメント欄が、温かい言葉で埋め尽くされていく。
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[無茶振り将軍]:本当に、お疲れ様だったな
[底辺時代からの生き証人]:底辺時代から見てきてよかったよ
[解説おじさん]:ここまで導いてくれて、こちらこそ感謝している
[他配信者の信者]:正直、お前の配信が一番面白かったよ
[尊死予備軍]:最後まで尊かった……ありがとう
[太客]:これからも、たまには課金させてくれよな
[泣き虫]:本当に、本当に良かったです……
[実況泥棒]:また何かあったら呼んでくれ
[名無しの視聴者]:ここまで見てきて良かった
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一人一人の言葉に目を通しながら、ソウタは静かに笑った。底辺配信者だった自分が、こんなにも多くの人と、こんなにも多くの縁を結ぶとは、あの日の自分には想像もつかなかった。
「なあ、アリシア。あの外れスキル、結局最後まで俺を振り回したけど……」
「はい」
「悪くない人生だったよ、本当に」
視界の端、赤い光が静かに消えていく。だが、それはこの物語の終わりであって、ソウタの日常の終わりではない。これからも、彼のもとには視聴者たちの声が届き続けるだろう。時に理不尽で、時に優しい、無茶振りという名の絆が。
……さて、明日の無茶振りは何だ?
(完)
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ここまで長い旅にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。底辺配信者だったソウタと、彼を振り回し続けた視聴者たちの物語、楽しんでいただけていたら嬉しいです。
これからも、どこかでソウタたちの日常が続いていると思っていただけたら、それが何よりの励みになります。
長い間ブックマーク登録・評価・感想レビューで支えてくださった皆さん、本当にありがとうございました。またどこかで、新しい物語でお会いできますように。




