17 八月七日
模擬戦は研究所の地下一階で行われる。武器もヒューマンキラー対策に使用するような殺傷力のあるものを使うという。
ただ、会場は物理攻撃も緩和されるような重力が働き、魔法弱化も効く上に生命保護が施されるらしい。
まさに実戦さながらの戦闘のまま、生命は保証されるという対人戦だ。
「殺すつもりで戦っても大丈夫です」とは今多さんのことばである。
午後のダンジョン活動終了後、今多さんから明日の対人模擬戦の説明があった。そのあとに渡されたものは魔道具の黒縁のメガネだった。
容貌の認識を誤魔化すものだという。同じ候補生とはいえ、顔はお互い知らないほうがよいだろうとの判断だ。
以前、すれ違っていますよねって俺が言うと、あのときは向こうもこっちも魔道具を使って認識阻害をしていたという。思い出してみると、今多さんがあのとき、ちょっと不審な行動をしていたような気もする。道理で引率者も含めて三人の顔の記憶が薄い。
水戸さんと二人で、試しにメガネをかけて鏡を見ると。
「メガネをかけると、顔立ち全体が違って見える! かわいくない! 実物はもっとかわいいのに!」
水戸さんは鏡に向かって文句を言ったあと、隣りの俺を見る。
「いいなぁ。素が悪いと、カッコよく見えるじゃん。ジョブもメガネ、かけられたらいいのにね」
水戸さん、ひどいことを言うね。
でも、鏡をよく見ると、メガネのアクセントというより、鼻とか顔立ちが違って見え、たしかに自分でもかっこよくなった気がする。うん、いいかも。二学期からこれで学校に行きたい。
今多さんにそれを正直に言ってみたら、ダメです、対人戦が終わったら返却してください、と言われた。
水戸さんは俺と今多さんの会話に大笑いをしていた。
「二人とも緊張感がないけど、大丈夫ですか? 明日は初めての対人戦ですよ。ふつうはもっと緊張してピリピリするんですけど」
「所詮、模擬戦だし、勝つ必要はないって言ったのは、今多さんですよ」
覗き込むような視線で、水戸さんが答える。
「まぁ、今できることをするしかありませんから」
俺は少し投げやり気味に返事をした。
今多さんに決心を伝えてから約一週間。
水戸さんの《光魔法》は〈ホーリーアローLevel5(max)〉となり、新たに〈ホーリーソードLevel1〉を覚えた。
「剣の練習、一緒にやってよかったよー」と水戸さんはよろこんでいた。……そうだね。馬に蹴られなくてよかったよね……
さらに《回復魔法》もレベルアップして、新たに《空間魔法》が出てきたという。スキル三種類か。すごいな。
水戸さんは俺に警戒心もなくスキルの状態を教えてくれる。
それっていいの? 言わないほうがいいんじゃないの? とも思うが、嬉々として自慢してくるので、つい、注意できず、聞いてしまう。
俺はアシスト値が六万を超えて、スキルを三つカンストした。カンストといってもLevel2でマックスだったのだ。そしてまだ能力は発揮できないが、新しいスキルも出た。なぜか新しいスキルには印がない。ということは、自分に適応されるのか。Level表示がないので、まだ使えないので中味がよくわからない。
【愚者】A60037
《※愚考Level2(max)》
《※愚挙Level2(max)》
《※愚図Level2(max)》
《無力》
スキル数だけでは水戸さんよりも多いのだが……
ただ、まだアシスト値を伸ばさなければならないのが難点だ。早くマックスになってほしい。マックス後がどうなるのかを楽しみにしてるんだけど、まさか上限がないってことは、ないよね……
週一回ほどのペースで更新して行きたいと思っています
もし続きが気になるようでしたら☆☆☆☆☆とか貰えたら、うれしいですし、とっても励みになります




