プロローグ
グレイ視点のエピソード0的な物語です。
『記憶喪失の転生者』本編や続編よりは色々とマイルドになっております(笑)
12歳の時だった。
俺は厳格でクソ真面目な家に嫌気が差すだけでなく、親父の態度に我慢の限界を迎えてしまい、衝動のままに家出をした。
これまでも、家出は何度もしたことがあったが、結局長くても数日で戻って来ていた。その度にクソ親父だけでなく、母上からもこってり絞られたものだ。
この時の家出も、今思えばクソガキの反抗心が度を超え過ぎただけの下らない理由だった。
だが、俺はその下らない理由のために、その後16年も公爵家に戻らなかった。しかも、結局は公爵家に戻るという、世間からすれば俺はとんでもない迷惑馬鹿息子に映っているだろう。
そんな俺が今から語るのは、貴族の中でも苦労のない公爵家を飛び出し、自分の力で独立する…という立派な話ではない。
家出をするまでのやらかしと、家出をしてから結局家に戻るまでの16年間で築き上げてしまった黒歴史というやつだ。
ーーーーーーーーーーーー
「おいジャン!グレイがどこに行ったか知らないか!?」
「申し訳ございません!!未だに行方知れずです…!手を尽くして探しているのですが…」
「全くあの馬鹿息子はっ…!!いつもの一日だけでは飽き足らずこれで一ヶ月経つんだぞ!?」
「本当にあの子は…帰って来たらどうしてやろうかしら?」
これは家を出てから一ヶ月経った後、厳格なサイボーグ人間のクソ親父がどれだけ大騒ぎしているかが見物だと思い、こっそり見に行った時の出来事だ。
従者のジャンには悪いことをしたとは思うが、それ以上にクソ親父の反応が見ていて飽きない。自分の跡継ぎかつ一人息子が突然何日も帰ってこなくなれば、叔父や叔母のところから後継者を改めて探さなければならないことで焦りまくっているのだろう。
だが、いつまでもここに居てバレたら、俺はただじゃ済まされないだろう。特に、怒るとクソ親父以上に恐ろしい母上に見つかれば一巻の終わりだ。
数日どころか一ヶ月も家出をして帰って来ようものなら、いつもの説教で済むわけがないことは分かり切っているため、俺はとっととずらかることにした。
捜索の眼を掻い潜り、隙を見て逃げ出し、走っていくうちに、俺は現在住処にしている下町まで辿り着いていた。
「俺はぜっっっったいあんなクソ親父のとこなんか帰ってやんねぇからなーーーーー!!!」
天から呆れながら見下ろしているであろう神様に向かって、俺はクソガキの反抗を腹の底から声に出して叫んだ。
グレイ自身の幼少期から辿っていく形式ですが、途中で年齢が進んだりします。その辺はご了承ください。




