第14話 事は西条家と神戸家の問題になる。
事は西条家と神戸家の問題になる。若しくは嬬森家との問題になってしまう可能性もある。ただ人の気持ちまで左右できるとも思えなかった。
「お嬢様、ただ太田さんが仕える神戸家はあの神戸家ですよ?」
「そんなことは判っているわ。でも、今言わなくてもいいじゃないの」
伶佳はこんなとき少女の様な恥じらいを見せる。普段の伶佳とは全く違う顔だ。
「お嬢様、本当に判っていらっしゃいますか?あの神戸家なのですよ」
「何度も言わないで。そんなことは十分承知しています。だから神戸道隆様ではなく使用人である太田さんならいいでしょう」
祭が思うに、確かに神戸道隆氏でないだけマシではあったが太田であっても、大差は無いとも思う。
「なぜ選りによって太田さんなのですか?」
「そんなこと私に判るはずがないじゃない。ただ結婚相手ではないということは私も理解しているわ。そこはお父様にも祭にも言われなくてもちゃんとするわよ。でもね、結婚相手以外は私の自由にしてもよくなくて?」
よくなくて、と言われてもと祭は思うが、そんなことは口が裂けても言えない。
「判ったわ」
何が判ったのか。
「あの女を屋敷に招待しなさい」
「どういうことですか?」
「毎日あの女を家に招待すれば太田さんと二人で会う時間が無くなるでしょう」
伶佳はとてもいい案を思いついたと上機嫌だ。ただ毎日紗栄子を呼んでどうするつもりなのだろうか。
「紗栄子様を招待される理由はどうされるのですか?」
「そんなこと何でもいいじゃないの。私が会いたい、とか言っておけばあの女は逆らえない筈よ」
確かに西条公爵家の令嬢の招待を嬬森侯爵家の令嬢であれば断れないだろう。ただ毎日というとさすがにちゃんとした理由が必要なのではないか?
「それよりお嬢様、今日の夕方にあの骨董屋が来ることになっているとお聞きしておりましたが、まだお見えになっておられませんが」
祭としては骨董屋も嫌ってはいたが紗栄子の話をこれ以上したくは無かった。
「そうだわ、あの男、まさか逃げたんじゃないでしょうね」
「それを祭に言われましても」
丁度その時、別のメイドが来客を知らせに来た。
「やっと来たのね。今日はちゃんと持ってきたのかしら」
伶佳が待ち望んでいたものが届いたのだ。




