お茶会
お茶会当日のことでした。用意をすませ部屋から出て、階段を降りるとなぜかナセル様がいました!
「シャノン、用意出来てる?」
「え? ナセル様がなんでいるの?」
あれ? ここ私の家だよね???
侯爵にシャノンが何時頃に家を出るか聞いてきたんだ。少し早いけれど迎えにきた」
「ナセル殿下、お久しぶりです」
「夫人、こちらこそお久しぶりです。急にお邪魔して申し訳ございません」
ナセル様がお母様に挨拶をしていた。
「まだ出る時間には早いですわね。大したおもてなしは出来ませんが、よろしかったら少しお茶でもいかがですか?」
「ありがとうございます、それではお言葉に甘えます」
ナセル様が普通に我が家でお茶をしている。なんだか変な感じがした。
「シャノンは学園でどんな感じで過ごしていますか? この子は楽しいと言っていますのよ」
「私たちSクラスは十人しかいませんからね。皆、仲良くしていますよ」
「そうですか、安心しました。甘やかして育ててきたせいか少しおとなしい子だから気になってしまって……親バカと言われても娘は可愛いもので」
「お母様、恥ずかしいです! ナセル様の前で」
「えー。ダメなの? シャノンちゃんのお友達の話をもっと聞きたいもの」
「いいんじゃない? 夫人が気になるのも仕方ないよ。一人娘なんだから」
「そうだわ! シャノンちゃん! 今度お友達を我が家に招いたらどう? お茶会のお礼よ」
「お友達……って。お母様、皆さん我が家よりも上の爵位の方ですよ。恐れ多くて……」
「シャノンは、キャシー嬢に友達と言われてもそんなことが言える?」
キャシー様は同じクラスで伯爵令嬢です。
「いいえ。嬉しいです……」
「友達に爵位は関係ないよ。本当は分かっているんだろう?」
「はい」
「友達じゃないのか?」
ふるふると頭を振った。
「わたくしは友達だと、そう思っています」
ルイズ様もレイレ様も大好きだからただのクラスメイトと言われると寂しいもの。わかっているけど、断られたら辛いと思ってしまうのです。でも誘われたときは嬉しかったから私も勇気を出さなきゃダメね。
「シャノンちゃんは素直なのに頑固なのね。でも大丈夫よ。ナセル殿下のおっしゃるとおりだから、お誘いしてみなさい」
「うん、ありがとう。お母様、ナセル様」
「ふふっ、そろそろ時間よ。ナセル殿下、よろしくお願いしますね。帰りは主人の所にでも置いてきてくださいな」
「そういうわけにはいきません。きちんと送り届けますよ」
「気をつけて、楽しんでいらっしゃいね」
「はい。行ってきます」
馬車にう乗り込み、席に座るとナセル様が真剣な顔をして言った。
「今日はシャノンに会ってほしい人がいる」
「会ってほしい人? ですか?」
「話を聞いてやってほしい」
「どなたですか?」
「……マルガリータ」
……え!
「わたくしは、王女殿下にお見せする顔がありません。王女殿下のお心に傷を残しました!」
「シャノンは体を張ってマルガリータを守ってくれた。命の恩人だよ」
ふるふると頭を振った。
「いいえ、わたくしは、」
「シャノン、なぜ自分を責めるんだ? 悪いのはシャノンじゃないだろう?」
分かっている、分かっているけどあの時は……
「シャノン、頼むよ、お願いだ」
頭を深く下げられた。
「……分かりました」
いつかはお会いすることがあるとは思っていましたが、まさか今日だとは……
あの日以来だ。




