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千年の恋の物語~運命の二人~  作者: 宝槻錬果
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記憶の修正①~廉の初仕事~

 国王の懸念を知らない杏那たちはまずは真利耶の部屋に向かった。国王付きのメイドの先導のため、部屋の中にすぐに入れてもらえた。メイドは国王の指示で中には入らず、杏那たちの入室後、扉を閉めて部屋の外で待った。


「真利耶様、杏那です。失礼いたします。国王陛下よりご様子を見に来させていただくことをお許しいただき参りました。」


杏那が声をかけるが国王の部屋での会話を聞いていた真利耶はソファでうずくまり、不安げな表情をしていた。杏那がゆっくり近づき隣に座る。


「お姉様はどうなってしまうの?」


「心配いりませんわ。さぁ、紅茶をどうぞ。お気持ちが落ち着きますわ。」


杏那は運んできた紅茶を勧める。この紅茶は気持ちを落ち着け、眠りに誘う効果がある。真利耶が紅茶を口にし、うとうととソファに座って舟を漕ぎ始めたのを確認し、杏那が豪と廉に目配せする。


「爺や、廉様、お願いいたします。」


杏那の瞳はまっすぐに豪と廉を見つめている。いつも頼るのは豪だったが、同じように廉にも声をかけた。


(もう廉様も術をお使いになれるはずだわ。)


名前を呼ばれた廉はびっくりして、思わず豪の方を見ると豪が声をかける。


「廉、良い機会だ。共に行おう。私が教える。」


こうして急遽、豪が教えながらの真利耶の記憶修正が始まる。


「時の神の力を呼び起こしたら、修正後の記憶をはっきりとイメージするのだ。そして時の神へ呼びかけ術をかける。できるな?」

「分かりました。」

「とても繊細な術だ。私も力を発動し修正内容を共に見よう。万が一の時にはサポートする。」

「ありがとうございます。」


廉は術の流れを確認して、右手人差し指にはめられた指輪の深紅の宝玉部分を軽く擦る。すると宝玉は深紅の鮮やかな光を放ち始める。豪が術を使う時より、少し明るめの深紅の光だ。廉は豪に教わった通り、修正後の記憶をイメージする。そして唱える。


「時の神よ、見るべき記憶へ導き給え。」


すると豪の術同様、宝玉から深紅のボールチェーンの鎖が現れる。このボールチェーンも豪の術より少し球体部分が大きく太めのチェーンが出来上がっている。深紅のチェーンはまっすぐに真利耶へと伸び、頭の先からつま先までを優雅に優しく包んだ。廉は真利耶を見据え記憶のイメージを強くしていく。そのイメージは、国王の部屋で真利耶から聞いていた経緯を真利耶の記憶と照らし合わせ、確認しながら作っていく。


―真利耶の記憶―

―真利耶は香久耶を心配している。茶会当日も普段王家が使わない地下への通路に入ろうとしていた香久耶に気づき声をかけるが、そこで香久耶の中にいる魔王に煩わしいと思われ真利耶の足元に魔法陣が展開された。気づくと地下の魔力の檻の中。香久耶の姿の魔王から“そこで大人しくしていろ”と言われると魔王の紫色の瞳が光り、真利耶の方に魔法陣が飛んでくる。魔法陣を受けてしまった首元に魔力の通うチョーカーが現れ、真利耶は気を失った。―


廉はこの記憶を新たなものへとイメージする。


―香久耶を心配して地下まで付いて行ったが、地下には危険なガスが充満しており、すぐに意識を失い倒れてしまった。しかしすぐに茶会で増員されていた護衛により発見され救助された。幸い発見が早く大事には至らなかったため、国王の部屋で覚えている状況を話した後、休養のため自室へ戻り休んでいる。―


真利耶の記憶からは魔王と太陽の乙女に関する部分は一切削除されたのだった。そして、廉の放つ鮮やかな深紅の光が強さを増すと、真利耶に吸収され光は収束した。意識の視界を共有していた豪も力をしまう。


「廉、よくやった。お嬢様、廉の術は無事完了しました。」


「お二人ともありがとうございました。」


こうして真利耶をベッドに寝かせ、三人は部屋を出た。

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