ep295 気焔(Fiction fantasy)
――びゆーーーーーーーーんッ
どっごおぉぉぉぉぉぉぉぉんッ――
「姉さん生きてるの?アレ……」
「その時はその時だよ、ぱいたんッ!てへっ」
それは上空数100mの高度から自由落下に近い速度で地面に叩き付けられた形になる。拠って白湯のご指摘通り、本来ならば生きていられる生物はいない。
……かもしれない。
「かもしれない」としたのには理由がある。だって、断言したのに生きてたら、「なんで生きてられたんですか?科学的根拠を示して、説明責任を果たして下さいッ!」とか言われそうなご時世だからである。
炎上商法の専門家でもない限り、そんな面倒事は御免被りたい。
※フィクションに科学的根拠を求めたり、歴史的世界観ガーとか、この宗教ガーとか、この野菜ガーとか、兎に角「ガーガー」宣うのは魚類じゃないんだからナンセンスだと思っている。設定さえ上手く機能していればあとは受け手の問題なので、そこまで揶揄侮蔑する必要があるとも思えない。拠って、異論も認めない
だからこその「かもしれない」と伝えておこう。それにしても豚骨は可愛いねぇ(意味深)
げふん。どうやら天然娘が出て来ると途端にシリアス度が下がる気がしてならないし、脱線事故がそこら中で起こる気がしてヒヤヒヤしている今日このご……あっ……また事故ってますな(汗)
ナニワトモアレ……いや、そもそも浪花に友はおらんし……って、はぁ……ホントにさぁ、話しが進まなくなるからさぁ……勘弁してよねッ!ぷんすかぷん!
……などとやってる人が一番悪いと思うがそれはそれ。これはこれ――
「良かったわね姉さん。ちゃんと生きてるみたいよ?それで、わちきも戦う?姉さん一人で闘る?」
「うーん……ぱいたんにもお裾分けしてあげたいけど、うち、ずっとずっとずぅーーーーーっと、オアズケされてるから、ガマン出来ないのッ!だから、ちょっとだけ、ちょこっとだけ、さきっちょだけでいいから……一人で殺りたいッ!」
何やら物騒な言葉が見えた気がするがそこを気にしてはいけない。だが、その物騒な言葉を聞いた瞬間に白湯はぶるっと身震いした。
もしも「わちきも……」などと発した場合、自分にも危害が加えられそうな殺気を感じたからだ。
まぁ、豚骨が如何に戦闘狂であろうとも妹思いである事に変わりはない。それこそ姉妹喧嘩をしてもケガを負わせる事は勿論、傷一つ付けるようなコトは今までに一度もなかった……と思う。
だからこそ白湯は大人しく引き下がる事にした。ってかそれ以前に、豚骨のセリフが叡智気味だった気がしなくもないが、それもそれ。これもこれ。
そしてその殺気に呼応したかのように、ノーブス・アリディフォリアは巻き上がっていた土煙の中から気焔を上げて現れたのである――
「イイイ、イタカッタ、オオオ、オコッタ、コココ、コワスコワスモウコワス」
――ダッ、ぶぉんッ
シャシャッ――
――ガキんッ
「――ッ?!」
ぐるんッ、どしゃあ――
「うん、強い!それじゃ、さきっちょはもうおしまい!ぱいたん一緒に闘ろ?」
ノーブス・アリディフォリアはその痛みから我を忘れ、豚骨との間合いを一瞬で詰めた。そして、その鋭利な両鎌で豚骨の四肢のいずれかではなく、腰と胸を両サイドから挟み込むように刻もうとしたのである。
対する豚骨はモーニングスターから瞬時にウォーハンマーへと持ち替え、自分の正面で横一文字に構え軽々と一回転。
自分の両側から迫る両鎌をこれまた軽々とその回転運動で打ち払い、払われたノーブス・アリディフォリアはぐるっと一回転した後、地面に背中から落とされたのだった。
本来ならば地に付く事のない「龍の翼」に文字通り「土が付いた」瞬間と言えるだろう。しかし、これはほんの一瞬の間の出来事であり、常人の目には決して理解出来ない動きだったに違いない。
要するにチッカの魔眼や、アルテクラスの猛者であれば確実に何が行われていたか理解出来るだろうが、二人の場合は仮に理解出来たとしても「俺じゃなきゃ見逃しちゃうね」とは言うハズもないのは明白だ。
だが一瞬とはいえ、そんな達人的な戦闘を行った豚骨だからこそ、ノーブス・アリディフォリアの力量を的確に見極め、180度意見を覆し白湯に対して共闘を申し出たのである。
「へぇ、姉さんが独り占めしないってコトは、相当な強敵なのね。心して掛からないと。でも、わちきも戦いたかったから、ゾクゾクしちゃうッ」
斯くして、二人の戦闘狂が臨戦態勢へと移り、対する「シン・蟲族」ノーブス・アリディフォリアは戦う意思を喪失していない。
ただ、何故に自分が背中から地面に落っこちたのかは理解出来ていなかった。もしも冷静であったなら、ノーブス・アリディフォリアは戦闘を諦め早々に逃走していただろう。
豚骨と白湯二人を相手にするという事は、本来、そういう事なのだ。
だが、そうなったら再びモーニングスターの餌食となる事だけは、「俺」じゃなくても目に見えているのだが――




