第04話 「お前が自分のことを『小学生女児』だと思い込んでる心に闇を抱えたヤベェ奴だってことだよな?」
あけましておめでとうございます♪
才気活発そうな女の子の画像をこちらに差し出してきた久堂。
『イケメン兄貴の妹自慢とか死ねばいいのに……』と思った俺に、
「えっとね、実はこれ……僕なんだ」
などと意味不明の供述を始めるしまつ。
「えっと、それってつまり」
「うん。
たぶん、君が今想像している通り――」
「お前が自分のことを『小学生女児』だと思い込んでる心に闇を抱えたヤベェ奴だってことだよな?」
「まったく違うけどね?」
「そうなの?
じゃあお前じゃなくてご両親が男の子に女の子の格好をさせてたヤベェ」
「それも違うけどね!?」
「じゃあ一体なんだって言うんだよ! まさかあれか?
本当のお前は小学生にして中年オヤジを転がしてそうなメスガキで、何らかの理由――たとえば『知り合いのおっさん』がダンジョンから持ち帰った『怪しい魔道具』でもプレゼントされて、それを使ったらショタになったとかそういう話か?」
「当時の僕は品行方正で愛らしい女の子! メスガキではなかったからね!?」
なんだろう、強く否定するところが逆に怪しいような?
「ていうか君!
さっきまでは僕が『自分は女子小学生だと言い張るイカれた男子高校生』だと思ってたんだよね!?
そこから一転最短距離で、どうしてほぼ正解までたどり着いたのさ!?」
「えっ、適当に言っただけなのに当たってたの?」
……というわけで。
虚言なのか、妄想なのか、それとも本当のことなのか判別に困る
「本当のことだからね!?」
久堂――同じ名前の別人が出てくるので、しばらくは『こいつ』と呼称する――の説明によると。
こいつには、同い年の従弟がいる。
ちなみにそいつの名前が『久堂透』である。
「性別が入れ替わったあと、従弟と名乗りを交換したんだ。
ちなみに、僕の本当の名前は原西亜帝奈だよ?」
そして、こいつの叔父。
『久堂信一』は銀級探索者らしい。
「久堂信一さんといえば、滋賀の『アヅチダンジョン』を中心に活動されていますね」
今から四年前。
叔父家族(久堂家)と、こいつの家族(原西家)合同で行われた入学祝い。
「その場で叔父さんが僕と透に入学祝いとして、手のひらサイズの」
「おっぱい?」
「逆に、どうして僕がなんの脈略もなく胸の話を始めると思ったのさ!?
……数年前にダンジョンで見つけた、赤と青の一対の宝石を、一つずつくれたんだよ」
何その見なくてもわかる曰く有りげなアイテム……。
「横からで申し訳ないのだけれど……。
その宝石は鑑定をしていなかったのかしら?」
「もちろんちゃんと管理局で鑑定してあったらしいよ?
まぁその結果は『魔除けの水晶』。
お守りみたいなモノなんじゃないかな? って感じだったらしいけど」
なるほど。つまり、偽装が施された魔道具だったと。
「先にも言ったけど、叔父さんがソレを手に入れたのは数年前だったみたいでね。
それまで他の人が触っても特に問題はなかったし、家に飾っていみたいなんだけど……」
「それは……赤と青で正しい色を男女で持たないと発動しないアイテムだったのではないでしょうか」
「あー、それまではたまたま?
条件を満たしていなかったから何もおこらなかっただけとか?」
久堂の話を、ショウコさんとカズラさんがそう判断する。
「それにしても。
普通の魔道具なら起動させようと思えば何らかの『語句』口にするとか? 心のなかでそれを強く念じるとかしないと動かないと思う――いや、そもそもそれって鑑定結果が偽装されてたんだよな。
てことは『呪いの(カーズ)アイテム』の類いだったとか?」
もしもそうなら解くのは簡単なんだけど。
「……僕には君の言ってることが半分も理解できないんだけど。
もしかして君ってアイテムの専門家か何かなの?」
異世界では稀によくある話だったってだけ。
「それで、その宝石って今も持ってるのか?」
「持ってると言うか……胸にめり込んでるね」
何それ怖い。
「んー、何にしても調べてみないとわからないことだらけだし。
久堂? 原西? に問題が無いなら『鑑定』せてもらってもいいかな?」
「今は久堂でいいよ。
べ、別に? 見せるのは構わないんだけど……その、場所的にほら……」
場所? ああ、人前で胸を出すのをためらってるのか?
……いや、イケメンの雄っぱいになんて何の興味もねぇわ!!
頬を染めながら拗ねるイケメンとかいう、笑顔の仁王院と同等の反応に困るモノを見せられた俺。
「……後ろ向いててもらえる?
良いって言うまで絶対にこっちみちゃ駄目だからね?」
何なの? お前は迎えに行ったのに顔も見せてくれないイザナミ様なの?
野郎が服を脱ぐ衣擦れの音を聞かされながら――
「んっ……」
いやお前どうしてちょっと脱ぐだけなのにいかがわしい声をだしてんだよ!?
「……もういいよ?」
「おっ、おう」
振り向いた俺の前に立っていた、上半身裸の、真っ白い肌をした久堂――
「……乳首に絆創膏貼ってるとか何考えてるのお前!?
それが有ることによって無駄にいかがわしくなっちゃってるじゃねぇかよ!
あれか? お前はエッチなDVDとか出してる(コスプ)レイヤーか?
(久)堂島いいおにくか? トオルフリードリッヒか?
男なんだからどうどうと丸出しにしとけや!」
「はっ、恥ずかしいモノは恥ずかしいだから仕方ないでしょ!?
ていうかどうしてこっちを向いて一番最初に出た感想が胸の真ん中にある青い玉じゃなくて絆創膏なのさ!
それってもう最初から僕の胸を見ようとしてたってことじゃないか!
どうせアレでしょ!?
「こいつ……小学校の時から色も大きさもまったく変わってないじゃん」とか思ってるんでしょ!?」
「そもそもお前の小学校の頃の乳首とか見たこと無ぇから知らねぇよ!
ていうか何なんだよさっきからその被害妄想は!
いいか? 今のお前は男! 俺も男!
もしも修学旅行で一緒に風呂に入ったらブラブラしたものを見せ合うような関係なんだよ!
それが! お前が妙に恥ずかしがるからおかしな話に……って言ってる側から手ブラするなや!」
……
……
……
「はい、お兄ちゃんとナニガシくんがわけのわからないおっぱい談義を止めるまでに半時間かかりました」
「ごめんて」
……俺は男のおっぱい絆創膏の何が琴線に触れて熱くなってたんだろうか?




