第07話 たとえば……ものすごい美人さんの、デリケートゾーンが剛毛だったら?
『とてもつらい』と漢の霊帝のようなセリフを口にしながらも、1000本ノックを頑張り抜いてレアジョブ【錬金術士】のスクロールを解放。
いや、途中からは釜に入れる素材と回数を設定して放置プレイしてただけなんだけどさ。
「てか『アンコモン』をマスターするのに必要な討伐数が3千だったから、それなりに身構えてはいたたけど次が1万匹って」
「二人だと1週間近くかかりそうね」
「なんだろう、そう言われたら大した数じゃない気がしてきた」
たとえ1万が10万だったとしても『直接的な戦闘力のアップ』になるから、やらないっていう選択肢は無いんだけどね?
場合によってはその優先順位が下がっちゃうかも知れないけど……今回はそうも言ってられない理由もあるし。
そして錬金術というか錬金釜というドロップアイテム合成器が手に入ったことで、その価値が大幅に上がったのが『スライムウォーター』。
なんだかんだで合成に使う蒸留水みたいなアイテムだからな。
国内では今のところ『裏・第一層』でしか手に入らないアイテムの増産のため、緑スラ&その日の気分で他の魔物を気分の赴くままに倒し続ける。
これ、字面だけ読むとただのシリアルキラーだな。
もちろんドワーフ鋼の剣が溶けたらシャレにならないので黃スラはスルーだ。
「さすがにここまで強くなると、スライムの落下地点で待つより飛び上がったタイミングで斬り捨てる方が効率がいいな」
「どんな倒し方であろうとも単純作業であることには変わらないのだけれど……」
明石さんの言う通り、一人ぼっちだと戦闘に飽きてしまうので今回は二人一緒に行動。……まぁ一緒とはいえ狩り場の区画が一緒なだけで、二人揃って走り回ってるわけだが。
緑スラの殲滅、それが終わればゴーレム・蟻・蜥蜴の上位種の討伐と、メリハリを付けながら狩りを続けること――5日間。
『おや? しばらく見ないうちに見習いのひよっこが随分と立派になったねぇ』
やっとのことで錬金術士をマスター!
てか、レアジョブって戦闘力が『150』も上がるのか……。
「てことで師匠!
さっそく前に相談したアレが作りたいんですけど……大丈夫ですかね?」
* * *
さて、ここで話が少し横にそれてしまう――いや、最初の目標からすると、ほぼ一直線にここまでたどり着いてるんだけどな。
こっちの世界……知らない日本に戻ってきた俺。
斎藤先生、そして中務さん。
いろんな人に助けてもらいながら生きてるわけなんだけど、そんな俺が今こころの底からどうにかしたいと思ってること。
口にする必要も無いことだけど、それは『明石さんの体に残る傷跡、肉腫をどうにかしたい』ってこと。
いや、それならそれで、とっとと『聖職者』系のジョブランクを上げるなり、新しい『上位のポーション』を買えるようになれば良かったんだけど……。
例えば教会で買えるレアクラス、【司祭】の入手条件。
これは冒険者系レアクラスの【ベテラン冒険者】、商人系レアクラスの【番頭】も同じなんだけど、『レベルが20以上』ないとダメみたいでさ。
【上級HPポーション】のほうも消費魔石量『1000万以上』とかいうちょっと意味の分からない金額だし……。
だから今の目標は自身のレベルアップ。
もちろん俺、一緒に行動している明石さんに何かあれば元も子もないので無理をするつもりはもうとうなく。
まずは鉱山都市で装備品を充実させて、魔術都市でも新たなジョブをゲット! ……するために訪れた錬金工房。
ポーションは教会の専売特許だと思ってたから、回復系アイテムがあるとは思ってなかったんだけど、【錬金釜】なんてスキルが使えるとなれば……期待もしちゃうじゃん!
糠喜びさせちゃうのも申し訳ないから、明石さんのいないところで錬金術の師匠に、
「これって『賢者の石』とかも作れるんですかね?」
『んー、そうだね。
素材さえ揃えば作れるんじゃないかな』
「そりゃそうでしょうね!
……といいますか、知人に大きな傷跡がありましてですね。
それを治療したいんですけど……手持ちの素材でどうにかすることは出来ませんかね?」
『んー、そうだね。
キミの持ち物だと――
まずは【スライムアシッド】で不要な組織を溶かして、【中級HPポーション】で溶けた部分を再生。
溶剤に【スライムウォーター】を使って、【スライムローション】の美容効果で再生部分のサポートが出来れば……傷跡の大きさや範囲にもよるけど数回、数十回も繰り返せばどうにかなるんじゃない?』
「いくらなんでも『体を酸で溶かす』とかおっかなすぎません!?」
何なのこの人!?
クロッ○タワーの硫酸男なの?
マッドサイエンティストなの?
……まぁ錬金術士だし似たようなもんか(偏見)。
――というようなことがあり、完成したのが【美容整形入浴剤】。
某狸型ロボットの未来道具みたいな名前のアイテムなのである!
『おめでとう。
使ってる素材は大したものでもないのに、思ったより面白いアイテムが出来上がったね』
「ありがとうございます!」
確かに、素材のほとんどはスライムから手に入れられるというお手軽さだからな。
もっとも、『美容整形』なんて大層な名前が付いてるけど、出来ることはあくまでも『肉体の修復』。
これを使って好きなように顔や体型を変えられるわけでは無いんだけどさ。
『でもダイエットとか急速育毛とかも可能だよ?
ムダ毛をどうするか選ぶことだって出来るし』
ダイエットはスライムアシッドで肉を溶かすことの副次的効果、育毛はスライムローションの効能だな。
「といいますか師匠、良いですか?
世の中にムダ毛なんていうものは……いや、抜いても抜いても生えてくる『ホクロ毛』は間違いなくいムダ毛ですけれども!」
俺の知人で手の届きにくい場所のソレを処理するためだけのためにソ○エを買った人もいたしな!
「それでもですよ?
たとえば……ものすごい美人さんの、デリケートゾーンが剛毛だったら?
ほら、それはそれでいろいろと捗ると思いませんか?」
『キミは業の深い性癖持ちなフレンドなんだねぇ……』




