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第04話 『どきっ! グリーン☆スライムだらけの12時間耐久討伐』

 わざわざ藪をつついて蛇どころかゴーゴンを呼び出してしまったおバカたち。

 その結果他所様の家まで巻き込み、汚ねぇ花火となって飛び散ってしまったわけだが。


「不当に横奪されていた夕霧さんのご両親の財産及び慰謝料に関しまして全ての回収が完了いたしました」


「あの強欲が服を着ているような連中がよく黙って金を出しましたね?」


「もちろんさんざんゴネたみたいですが、最終的に差し押さえされたようです」


 あー、お貴族様に喧嘩売ったんだもんな。

 国家権力を敵に回したらキッチリと型に嵌められるか。


「……いや、それはそれで。

 また集団でダンジョンモールにやって来て騒ぎを起こしそうで非常に面倒なんですけど?」


「ふふっ、そのあたりもご心配は無用です。

 声の大きかった人間と、あまりにも素行の悪かった人間は全て処理……コホン、いつのまにかどこかに逃げ去ったみたいでして。

 二度と夕霧さんの前に現れることは無いと思いますよ?」


「アッ、ハイ」


 ……どこかってどこだろうね?


「ということで。

 全部で5億円ほどのお金を回収出来たのですが、どういたしましょう?」


「んー、俺としてはあんな連中が一度触った金なんて一円たりともいらないですね。

 といいますか、今回の件ではショウコさんやカズラさん――鷹司家にも六条家にも随分と手を貸してもらいましたし?

 全部そちらの迷惑料として処理しちゃってください。

 もちろんそれでも足りない時はいくらでも出しますので遠慮なく請求してくださいね?」


 てな感じで、後腐れ無く片付いた連中もいれば。

 ちょっと乳首をこねくり回しただけで責任を取れとか言い出すやつもいたりするわけで。


「昨日ちゃんとみんなで話し合ったよね?

 なのにどうして僕は厄介な奴が来たみたいな扱いをされてるのかな?」


 いやほら。

 こいつって転校するという体で、学校に通わなくてよくなったじゃん?

 ていうかそのあと。

 転入するという体で、夏休み明けから学校に戻っても『仁王院たちのところ(元のパーティ)』には戻れないって本人が言い張ってさ。


「君は豪俵さんのことをただの胸の大きな女の子だと思ってるみたいだけどさ。

 あの娘の仁王院くんに対する独占欲……尋常じゃないんだからね?」


 いやお前、よくそれを独占欲と執着心の権化。

 共依存の関係の俺とシズカさんの前で言えるな?

 ……まぁパーティメンバーにはまだ余裕もあるし?

 一人増えるくらい別にどうってことはないんだけどさ。


「そうね。

 夕霧くんが亜帝奈さんの胸にさえ興味を持たなければ良いだけだものね?」


「小娘、その思い込みは危険です。

 なぜなら夕霧さんが本当に好きなのは胸ではなくてお尻ですから」


 婚約者同士で俺の性癖について共有するの止めて?


 そんなわけで、新しく原西亜帝奈が加わり5人パーティとなった俺たち。

 とは言え、アテナの現在のレベルは『2』しかなく。


「昨今の探索者はスライムを軽んじているが、それは大きな間違いだ!

 そう、戦いの基本は全てスライムから学べると言っても過言ではない!」


「なるほど、君の強さの秘訣はスライムだった……」


「夕霧くん、初心者が信じこみそうな嘘は止めなさい」


 初日の『どきっ! グリーン☆スライムだらけの12時間耐久討伐』から始まり。


「ちょっと待って! 色々待って!

 サラッと終わろうとしないで!

 標識板が喋ったっていうか、脳内に直接声が聞こえてくるとか何事なの!?

 目の前の空間に文字が浮かぶってどういうこと!?

 ていうか別の空間に転移とか聞いたこともないんだけど!?」


「亜帝奈さん、それはここにいる全員がすでに通り過ぎてきた道なの」


「そうですね、あなたに『気にしたら負け』という言葉を送りましょう」


 何故か優しい表情かおでアテナに笑いかけるシズカさんとショウコさん。

 初日にスライムと戦えることは分かったので、そこから数日は一人ぼっちのスライム討伐を経験してもらい。


「まだ二日目なのにいきなり一人って何?

 ていうか、ここからって一人では帰れないよね?

 もしも君が迎えに来てくれなかったらどうすればいいのさ?」


「その時は諦めて?」


「そんな達観出来ないよっ!!」


 俺達は20層以降でのんびりとレベルアップに励む。

 まぁ昼ご飯の時は迎えに行くし、経験値がMAXになったジョブの付替えもしないといけないし、シズカさんと狩りをしてたときほど放置するわけじゃないんだけどね?


 そして、倒してる魔物が強いからか、アテナのレベルだけ思ったよりも早く上がっていく。


「今のが(悪い)見本です」


「今のって何さ!?

 葛さんが狂ったような笑い声を上げながらゴブリンの集落に突っ込んで行った事の、一体何を見本にすれば良いのさ!?」


「もちろん全部に決まってるだろ」


「無理に決まってるでしょ!?

 えっ? 君は馬鹿なの?

 どうして昨日までスライムをチクチクしてた素人が数十匹のゴブリンと多対一で戦えると思ってるの?」


「大丈夫。お前が今身に付けてる装備品はドヴォ親方が作ってくれた高級品だから。

 たぶん怪我もしないし刃毀れの心配もないから。

 あと、数十どころか数百の時もあるから」


「心配しか無いんだけど!?」


 それに合わせて狩り場を変えながらも順調に戦闘経験を積み重ね7月の半ば。


「10層、20層にとどまらず30層の階層主まで倒しちゃったんだけど……それも誰一人かすり傷さえ追うこともなく」


「戦闘力だけで見れば50層のボスでも倒せるはずだからなぁ」


「50層って未到達階層だからね!?

 ていうか僕、ほんのひと月前までは魔力酔いでまともにダンジョンに入ることも出来なかったんだよ?」


「まぁこれだけの人数で、全力でキャリーすればそれくらいのことは出来るだろ。

 ……しらんけど」

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