第64話 魔獣対決 ~六角獣って美味いのかニャア?
今日も何とか短いですが更新できました。
どうぞよろしくお願いいたします
では第64話です
「トーヤ! 狩りに行くニャ!!」
突然魔道具商店の裏口へ現れたニャーラスが使用人に案内され今は知矢の執務室になっている部屋に来るなり唐突に言い出した。
先日、今はマリーと名乗る管理貴族アンコール伯爵家の娘、マリエッタ・アンコールの騒ぎを終息させ知矢の店、魔道具商店の使用人となったことで一応の騒ぎはひと段落した。
現在彼女は使用人として修行の毎日であるがその事はまた後日。
その後当初の目的であった母神デミレサスを崇拝するデミス教の教会のマベラス司祭に願い教会で養っている子供たちにより新たに購入した両側の空き家の掃除やかたずけ、簡単な改修が行われ始めていた。
おおよその指示も終え執務室で無聊をかこつ、と言う訳では無いが言い換えれば少しだけ知矢の目指す”のんびり老後”的時間を過ごしていた。
ただ元来何か考えていたり行動する事が好きで苦にならないたちな為、何もやることが無いのが嫌な性格でもある。
本当は”のんびり老後”に向かない性格なのだ。
しかし本人はそんな生活を送りたいと今でも思ってはいる。
そんな暇な知矢の所へニャアラスが現れたという事だ。
「何だ急にニャアラス、開口一番がそれか」と友人の訪問を嬉しく思いデスクから応接テーブルへ移りながら先ずは落ち着いて話そうとニャーラスを座らせ案内して来た使用人のマクに何か飲み物をと命じた。
「で、狩りだって。何を狩りに行くんだ。まさかドラゴンとか言わないよな」と笑いながら話す知矢だが。
転移前の地球に於いてファンタジーの定番であるドラゴン族。知矢は今までこの世界でドラゴンと言う単語を聞いた事は無いがつい口から出てしまったのだった。
「フニャー!ドラゴン何て無理に決まってるニャ。それにドラゴンはいわば神に近い生き物だニャ、そんなのを狩ったりしたら神様に怒られるニャ」
(やはりドラゴンっているんだな。ならいつか見てみたいが)
「じゃあ何を狩りに行くんだ」
信仰心が強いのか、それともこの世界でのドラゴンの立ち位置が高位なのか未だ不明だが今回は遭遇する事はなさそうだ。
「六角獣だニャ」
「六角獣?一角獣では無くか?」
「何だにゃその一角獣って」
「いや、俺の故郷で昔から語られてる1本の角を持った聖獣というか・・・馬だな。」
「六角獣も角は一本だニャ」
「それじゃ一角獣だろ」
「六角獣だニャ」
「ええっなんでだよ」
「ツノが六角だから六角獣だニャ」
「だから角が6本あるんだろ」
「何言ってるニャ、一本が六角だニャ」
「えっ?」
「ニャ?」
知矢の執務室で書類を整理しながら二人の間で話が全くかみ合わない状況をみたサーヤは
「ご主人様、ご主人様の角は本でニャアラスさんの角は形状」
と書類に顔を向けたままぼそりと呟いた。
「うん?つまり角は1本だけれどもその角は6角形って事か?」
何かわかったようなわからないような顔をサーヤへむける。
「そうだニャ一本だけど六角獣だニャサーヤは頭が良い、トーヤはダメだニャ」
と話が通じたサーヤに喜んで頭を撫でるのであった。
俯いたままのサーヤは少しうれしそうに頬を赤らめるのだった。
「なんだよ、そういう事かよ最初っからそう言ってくれれば俺だってわかるさ」
「だから最初からそう言ってるニャ」
もういいやと知矢は諦め
「で、なんで急にその一角の六角獣を狩りに行く」
「一角じゃないニャ六角だニャア」
「いやその件もういいから」
「よくニャイけどいいや、いや良くニャイ」
「話をすすめてくれよ、で何故狩りに行くことになったんだ。」
全く進まない話に業を煮やした知矢はニャアラスの話をせかす。
「ニャア、そうそうだから六角獣が東の大森林から出てきてみんな困ってるから狩りに行こう」
ニャアラスの話を要約すると
普段東の大森林と呼ばれる魔物や魔獣が多く住む人の手を入れる事がかなわない森がありその奥には非常に強力な魔物や魔獣が多く生息している。
その中で代表的な魔獣の一種が六角獣と呼ばれる青く光る六角錘の角を持った魔獣である。
東の大森林におけるヒエラルキー階層で言えば六角獣は中位の魔獣であるが対人族で考えると一般人では当然見かけたら逃げ出すのは当たり前、命が在れば幸い。
冒険者でもB級以上でなければ相対したとして無傷で勝てる相手では無い。
しかも相手は群れで生活しほとんどの場合6頭から10頭ほどで活動する為冒険者もパーティーやクラウンを編成しなければ狩る事が出来ない。
そしてその体躯は馬魔のそれを大きく上回り前足や後ろ足のけりをもらうと一撃で巨木を倒すほどの威力だ。
さらには名前の由来である青く輝く六角錘の角は魔力を込めると金色に光出しそこから発せられる魔法は”サンダー”と言う雷撃魔法に匹敵する。
伝説で語られていた最も強者の六角獣が放った”サンダー”は電撃という範疇を遥かに超えまさに天より放たれた雷のごとく威力を発しさらに数十メートルの範囲をその威力を達すると言われている。
そんな強力な魔法を使え体躯も大きく力、攻撃力も強いしかも群れで生活しているというのだ。
「という訳で狩りに行くニャ」
「おいおい、自分で説明しといて簡単に言うなよ。そんな相手死にに行くようなもんだろ」
とてもニャアラスの説明した魔獣を狩れる気が全くしない知矢だった。
しかも知矢は基本対人戦には慣れているものの魔獣はいまだ相対した事も無いのだから。
「大丈夫ニャ、俺とトーヤなら何とかなるニャ」
何を根拠に言っているのか知矢には全く理解できないのだった。
「行く行かないは別にしてその話はどこから出てきた話だ」
もっと情報が欲しい知矢である。
「ニャア、行くニャ! 見たのは冒険者ギルドの依頼掲示板だニャ」
と事も無く言うニャアラスであったが出所が冒険者ギルドならもっと詳しい話が聞けるだろうとニャアラスを連れて行ってみる事にした。
もし行くことになると知矢にとって初の魔獣対決、討伐依頼となる。どうしても慎重にならざる得ないのだった。
果たして討伐に行くのか否か!
マリー「ご主人様悪の魔獣を討伐するならぜひ私めもお連れ下さい!!」
知矢「・・・お前うちの使用人の中で強さ何番目くらいか知ってるか」
マリー「もちろん1番!・・・いやご主人様の次位で!」
知矢「おい、ボンタ戦ってみろ」
ボンタ「えっわっしすか?」
さあ!マリーとボンタの最下位位決戦の行方は如何に!
結果は!
またいつか




