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都での滞在ーその25-

本日二話目です^-^

 翌朝、準備を済ませると、父上、エルネスト、アルフォンスらと宿を出る。城の控えの間までは、手続きと護衛の為、文官武官の従者も一緒に行くそうだ。なので我はエルネストへと目配せをすると、委細承知とばかりに、頷くのだった。そんな中、父上の、


「あ~気が重いが行くとするか。セオスは初めてなので面食らう事もあるだろうが、あまり気にしないでくれると、父としては助かる」


 こちらに向かい、気を遣いながらそう言ってきたので、


「父上、何ら心配する事はありません。堂々とシールズの領主の男爵家としてお城へと参りましょう」


 我はそう言って、足を止めている父上を促し皆で城を目指すのだった。貴族の習わしというか、見栄というか徒歩で登城するものはいない為、宿からそれ程離れていないにも拘らず、エルネストが御者を務める馬車へと乗り込み、少しの間揺られつつ、街並みを過ぎてゆく。途中魔道具屋へと寄り道をしエルガリオを連れてきたが、段々と以前を思い出してか、更に気の重そうな顔をする父上に苦笑しつつも、馬車は城門へと辿り着いた。城門は敵を一度に侵入させない為に作られている物なので、通せる貴族の馬車も、確認した一台ずつを通過させるのみなので、結構な渋滞だ。その列に並びつつ、


「ああ、ここで入れなくて帰っていいと言ってくれたら凄く助かるのだが」


 往生際の悪い言葉をなお吐いてくる父上に、今度はエルネストや、アルフォンスまでもが苦笑しつつ、


「カイン様、もうそろそろ諦めて、セオス様を見習いどっしり構えてみては?」


 エルネストにそう言われ、父上が、


「セオスは初めてなのであの貴族たちを知らないからだろうが、やはり相手をしたいとは思わないな」


 馬車の中で、盛大にそうぼやいているのだった。そんな様子を見つつ、今回からはもう言われることはありませんよ。そう思いながら、頼んでいた王の貴族たちへの対応がどうなるのか思案しつつ、入場の順番を待ち続けるのだった。

 そうして待ち続ける事暫し、順番がやって来て御者席よりエルネストが門番へと、


「シールズが領主、カイン・アルギュロス様とご子息、セオス様、拝礼の儀式の為のご登城です」


 要件の口上を述べると、今日は貴族の集まりの為形式だけなのか、中を覗き込み、すんなりと、通してくれるのだった。でアルフォンスに聞いてみると、このような時に問題を起こしそうな犯罪者の顔改めのみ行って、控えの間の前で、招待されている貴族はもう一度本人の確認があるそうだ。なのでここでは簡単に済ませるそうで、そんな話に納得しつつ、城の中へと入り、建物を目指して進んで行くのだった。

 城へと辿り着くと、エルネストが、


「では、私は馬車を回してきますので、皆様はお先に中へ。アルフォンス頼みますよ」


 此方に居る皆に向け御者席よりそう声を掛けて来ると、アルフォンスも、


「任せておいてくれ、ここなら知り合いも多いしな」


 笑顔でそうエルネストへと返事を返すのだった。それを聞いて安心したのか、降りた四人を残し、馬車を預ける為、停める為の場所へと向かっていったのだった。で、残された四人は城の入り口前でぼ~としている訳にもいかないので、


「エルネストも、ああ言ってた事だし、先に中へと入らせてもらおうか」


 父上のその言葉で、皆、足を先へと運び始めるのだった。で、城へと入りつつ貴族でも従者でもないエルガリオは、普通ならば絶対に入る事の出来ない城内に緊張し全身を強張らせつつ、皆に付いて来ているのだった。なので、


「エルガリオさん、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。王も王家の方達も気さくな方達ばかりですから」


 彼にそう声をけると、


「いや、セオス様はそう言われますが、貴方様はマリカ王女の許嫁で、準家族ですから。王家の方々は普通の庶民の儂らから見たら、雲の上の存在過ぎて、この場所にいらっしゃると聞いただけで、粗相をしないかと焦ってしまうのですよ」


 我にそう答えて来るのだった。なので、うむ~、と唸りつつも、庶民の考え方ですか? 農民に生まれてくる予定でしたが、それでも我は今と変わらないと思うのですが、やはり普通ではないのですかね~? などと、他人と比べたらどうという最後まで判らぬ問い考えるのを止め、まぁ、我は我か。と居直りつつ、


「式が終われば面会して、約束した物を見せてもらえるようにしますので、それまでにはなるべくリラックスできるようにしてくださいね。じゃないと逆に緊張から粗相してしまいますよ」


 笑顔でそう話しかけると、彼も思い当たるのか、


「儂もそう思うのですがな、中々。なので、それまでは、その素晴らしき王錫を思い浮かべ、想像し過ごさせてもらうとしますよ」


 此方に居る皆に向け、そう答えて来るのだった。なので、


「それでいいと思いますよ。なにせ来ている馬鹿貴族達も、儀式の時間までは大したことない品物の自慢大会らしいですから」


 他の貴族に聞こえるかも知れない位の声でそう言うと、焦った父上が、


「セ、セオス、そう本当の事でも、大声で言う物ではないと思うぞ」


 我に向け、皆には聞こえない位の小声ではあるが、そう告げてきたので、


「父上、堂々として下さい。領民が誇る父上が、重税を課し遊び呆ける領民に好かれぬ貴族にへつらう必要はないのですから」


 父上に向かい、皆に聞こえても構わない位の声で、またもそう告げるのだった。周りを見渡せば、何人かの怒りに震えている貴族を横目に見ながら、笑顔でその場に佇んでいるのだった。

このお話が終わったら、やっと編が進むとおもいますです^-^;予定ですがにゃ^-^;

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