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都での滞在ーその18-

続きなのですが・・・・

「皆さん、申し遅れました。この魔道具屋の主人でエルガリオといいます」


 平に頭を下げつつ、皆に向けそう言うと、こちらに向き直り、


「貴方様からは、全く魔力を感知できませんし、ドアも反応しませんでした。しかし傍に精霊様が居るという事は、先程のは魔法ではなく、精霊魔法なのでしょうか?」


 丁寧な口調でそう訊ねてきたので、我は、


「違いますね。あれは魔法でも精霊魔法でもありませんよ」


 笑顔を向けて、そう答えると、


「確かに。昔シールズの街のエルフ様に炎の精霊魔法を見せて頂いた事がありましたが、これとは違う感じの物でした。しかし、ならば・・・・」


 一人考え込むような感じで、そう呟いていると、突然、


「良ければお話を聞いて頂いても宜しいでしょうか?」


 今度は我のみではなく皆に向けて、頭を下げつつ、頼んでくるので、皆頷きつつ、こちらに目配せしてきたので、


「皆、あなたのお話を聞いても良いようですよ」


 エルガリオにそう告げると、


「おお、ありがとう御座います」


 初めの冷たい印象とは別の、穏やかな感じで、話し始めるのだった。


「この店は元々は普通の道具屋を両親が経営していたのですが、儂は生まれつき魔力を見る力を授かって生まれたので、小さき頃より一生懸命、両親より道具作りを習い、もっと人が便利で豊かになる様にと、その道具を、魔道具にする方法をも、学びました。途中、エルフであるクレアツィオーネ様に精霊魔法をも教授戴いたりと、各地をも回りひたすら良い物を作るすべを学びました。そしてこの王都に戻ってからも、店を魔道具屋にし、良い物の買い取りもし、それ以上の物を作れるようにと研鑽に励みました。そしてこの年に近くなるまで、作り続けようやく儂自身が納得するような物が作れるようになってきたのですが、買いに来るのは決まって貴族、それもわざと値段を吊り上げるかの如く、王都中の物を買いあさり値段自慢を始めたのです。安いと価値がない、と言わんばかりに怒鳴り散らし、普通の値段の店を見れば手下を使い嫌がらせをするなど日常茶飯事でした。そうなると、真に使って欲しかった都民は近寄らなくなり、嫌ではあったのですが、さりとて儂も食べねば、税を払わねば、生きてはいけないので、そんな貴族へと物を売るしかなくなったのです。そうなると、もう唯一の望みは正しき魔力の持ち主しか使えぬ一品を作り出す事にのみ、力を注ぎ、ようやく完成すると・・・・貴族たちの家宝にする、と使えもしないのに、持って行かれました。その貴族の自慢により、この店は、良い物があるとの話は広がったのですが、家宝自慢専用の店扱い。最近それが嫌でたまらず、ドアへと魔力を測る仕掛けをし、相応しい者が入ってきてくれたら、喜んで相手をしよう。そう思いつつ、最近毎日を過ごしておりました。しかし来るのは馬鹿な貴族ばかり、うんざりしている所に、魔力を持たぬ、女性を大勢連れた貴方様が来たのであのような態度をとってしまいました。申し訳ありません」


 今の主人の置かれている状況を詳しく説明され、うむ、それならあのような態度にもなるか、と納得させられ、如何した物か、と考えていると、


「この国の貴族がご迷惑をお掛けした事、大変申し訳ございません。父に代わりお詫び申し上げます」


 マリカが深々と頭を下げるのであった。小さな少女が謝りながら、いきなり頭を下げてきたことに戸惑いながら、


「何故あなたが頭を下げているのです?」


 不思議に思ったのか彼女へと訊ねてきた。なのでマリカは、


「私の名は、マリカ・エスターレ。マテウス王の娘で、こちらのセオス様の許嫁になります。なので不届き者の非礼は私たち王家の者が恥、詫びねばなりません」


 エルガリオへと、そう答えるのだった。それを聞いた彼自身は、テーブルに頭を付け下げたまま、


「勿体ないお言葉、有り難く頂戴します。こちらこそ王女様とは気付かず数々の非礼申し訳ありませんでした」


 慌てて、そう言ってくるのだった。で、見ていてこのままでは話が進まないので、店主へと、


「エルガリオさん、姉上に似合う杖を用意して頂けないでしょうか。姉上の魔力を見て、使いこなせるだろう物の中で相性の良さそうな物を」


 姉上を指名し、そう告げると、


「はい、喜んで。久しぶりのちゃんとしたお客様です。儂の誇りに掛け用意しましょう」


 我にそう言ってくれたので、丁度いいと考えて、


「エルガリオさん、頼みがあるのですが、聞いてもらえませんか?」


 彼へとそう話しかけると、


「どのような事でしょう、叶えられる事なら、叶えたいとは思うのですが」


 こちらに向け、そう返事をしてきたので、笑顔で、


「今度お城で、貴族たちの王族への拝礼の儀があるのですが、そこで馬鹿な貴族たちにお灸を据えようと思うので協力して頂けませんか? 報酬もありますよ」


 我のその言葉を聞き、


「お灸を据えて頂けるのに協力するのは、こちらとしても頼みたい位でしたので、是非協力させてもらうので、報酬は必要ありません」


 エルガリオは、そう答えて来る。なので、


「報酬は金品ではありませんよ。この程、王家が家宝として手に入れられた王錫を見てみたいとは思われませんか? 人が作りだしえない物ですので、至高の目標に出来ると思いますよ」


 含み笑顔でそう告げると、それを聞いた店主は、一も二もなく、


「ぜ、是非、見せて頂きたい。そのような事が王へと頼めるのですか?」


 我にそう問いかけてきたので、


「確約させて頂きます」


 彼にそう告げると、


「では、そのときまでにそちらのお嬢様用の杖は用意さてて頂きます」


 姉上に向けそう告げて来るのだった。


 

話の途中でおわってしまいましたにゃ^-^;

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