都での滞在ーその11-
続きですです^-^
「セオ君、お城の皆は精霊様を見た事ないんだって。シルフィーネさん、呼べる?」
それぞれが話しやすい相手を見付け、楽しい会話で過ごしている途中、姉上のところはそう言う会話になったのか、唐突に話を振ってきた。なので、まぁ、シルフィーネも姿を隠してばっかりというのも何だろうと、
「シルフィーネ、出て来て姿を見せてあげて」
すぐ隣に居るであろう、彼女に向けそう話しかけると、
「はい、マスター。これでよろしいでしょうか?」
この中庭の景色に似つかわしい、新緑を体現するような綺麗な女性が突然現れ、その場に居た者達は息を呑みつつ視線を向ける。それぞれの口から思い思いの言葉が出るのだが、マリカは、
「セオス様、精霊様とはもっと小さな姿の方では?」
首を傾げつつ、可愛くそう訊ねてくる。アンジェリカや侍女たちの多くは、
「大変お美しい方なのですね」
ため息を吐きつつ、そう呟いている。独特というか見識の差なのか、王妃に至っては、
「精霊は人とは相容れないと聞いておりましたが、これほど傍に寄り添って居られるとは。流石はセオス様ですのね」
周りの人に聞こえない様な小声で、そう呟いているのだった。そんな様子の皆をみても殊更態度を変える事もなく、シルフィーネは、
「マスター、隣に座っていても宜しいですか?」
こちらに向け、そう確認の言葉を吐きつつも、返事をする前にはもう自然に座っているのだった。その後は、初めて精霊を見るお城の女性陣による質問攻めだったのだが、シルフィーネは嫌な顔一つせず、相手をしていくのだった。この世界にはちゃんと存在しているのに、童話や絵本や創作でしか登場しない精霊が目の前にいる事に、女性陣達は瞳を輝かせ、想像を膨らませつつ、他の精霊たちの話をも楽し気に聞いているのだった。そんな楽しげな様子を見つつ、
この世界の人種族がこの様な人達ばかりならば、森の民ばかりでなく、人にも友にすることを許すのだが・・・・まだまだ精神性的に無理があるな。多くの者は精霊を見付けたら利用する事ばかりを考えるであろうからな。そう寂しくもある結論を考えつつ、皆の話を聞き続けると、
「セオス様は、どうやってお知り合いになられたのですか?」
マリカが屈託のない笑顔でそう聞いてきたので、
「シルフィーネは、知り合ったというよりも、生まれて暫くした時から、我の傍に居てくれてたよ。その頃は、皆が想像している様な小さな精霊の姿で、元気に飛び回っていたな」
前の小さな風精霊姿の彼女を思い出しつつ、そう答えると、
「小さかったのですか?」
「いつ大きくなられたのですか?」
「他の精霊様はいらっしゃいますか?」
好奇心旺盛な感じで、皆より、矢継ぎ早に質問が飛んでくるのだった。でも、まぁ、これ以上答えていると、我が人外認定されつつ、尚且つ、他の精霊も見せる事になりそうな気もするので、
「精霊達とは付き合う為には、良いと言われるまで内緒にしておくべきことが、たくさんありますので、これから先は、許可が出からということで」
笑顔でお茶を濁しつつ、そう答えるのだった。今まで会えた者のいない精霊に関しての事を、許可がでるまでは秘密と言われ、それに反論出来る者はいなかったのだが、
「いつか、我々でも精霊と共に暮らせる日が来るでしょうか?」
王妃の真剣に切実に希望を求めるその言葉に、我は、
「いつの日にか必ず、辿り着けるでしょう。と言うか、もし人族があなた方の様な人達ばかりなら、明日と言う日が、そういう日になるでしょうに」
残念そうに、しかし希望は失くす事なく目指せると、そう告げると、
「皆がそれに気付ける日が来る様に、頑張らせてもらいます」
希望を持ち続け、晴れやかにそう告げて来るのだった。そんな王妃の人柄に、この国の未来を見つつ、この時に、この星に転生してきた我は正解であったな。改めてそう考えつつ皆との話を続けることにして、シルフィーネと共に、人の輪へと加わるのだった。
途中、皆を楽しませようと、ルナールもこちらに呼びよせ、王都までの旅の途中で演奏していた曲を、披露する。見慣れぬ楽器と聞き慣れぬ曲に目と耳を奪われつつも、皆楽し気に聞き入ってくれていた。ルナールから教えてもらった曲だと王家の者に話せば、
「他種族の文化も学ぶべきものが沢山ございますね」
「私もこの曲をおぼえたいわ」
「セオス様、今度ぜひ私にこの曲を教えてくださいませんか」
此方に向けそう言ってくるので、
「人として、学んでいくというのは素晴らしい事だと思います。なので、我で教えられる事なら、喜んで」
王家の女性達に、そう笑顔で返事を返しておくと、マリカの、
「シールズにお戻りになる前に、是非習いに伺いますね」
微笑ましい、その言葉は良いとして、王妃の、
「いずれ息子になるのですから、戻さずに王都に居てもらうという事に・・・・」
冗談なのか本気なのか判らない、そんな恐ろしい言葉が聞こえてきたので、時間的にもそろそろかな、とそう思いつつ、
「今日は大変楽しい時間を、この様な素敵な場所で、皆さんと過ごさせていただき有難うございました。もうそろそろ戻るべき時間になりますので、また後日伺わせてもらうという事で、本日は帰宅させていただくことにします」
皆に向けそう告げた。王家の女性陣や侍女達はとても残念そうだったが、うちの女の子達は帰ってからも一緒なので、
「もうそんな時間なのですね」
「そろそろ帰ろう、セオ君」
「若旦那様、かえりましょ~」
此方に歩み寄りつつ、そう言ってくるのだった。そこにマリカが、
「では、皆様をお送りしますね」
にこやかにそう告げ、城に来た時の様に、馬車の元へと案内しつつ、連れだって歩いて行くのだった。
街を・・・・見てない・・・・です;-;




