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都での滞在ーその3-

昨日の続きですが・・・・;-;

「セオス様、この村よりいつも河川の氾濫の被害報告が来るのですが、いい方法はないものでしょうか?」


 表情を曇らせ真剣に聞いて来る王に、


「その場所は、河川の流れが悪い場所で上空より見ると、と、見れないのか。紙を貸してもらえますか。書いて説明します。で、そこは河川の蛇行の仕方が悪いところで、雨期に水量が多くなると真っ直ぐ進もうとする水の勢いを殺しきれず、その村へと流れ込むのです。なので治水工事をし、上流から下流に流れるこの部分を、真っ直ぐこう流れるようにすれば」


 判りやすいようにと、簡単な地図を描きつつ説明をすると、


「しかし、かなりの人出と金銭が掛かりそうで、小さな村ではやれそうもないですね。国の事業でするとなると、税を違う街の民の分まで使う事になるし」


 すぐに如何するべきかと悩む王に、


「その為に、人族には魔の法を伝え力の足りない分を補えるようにしたと思っているのですが。人を殺める戦で使う為でなく、人の役に立つために使うように、とね、エレオノーラ」


 確認する様にそうエレオノーラへと話し掛けると、


「セオス様のおっしゃる通りです」


 話し掛けられたエレオノーラが笑顔で相槌をうつ。それに付け加え、


「地と水の魔法で出来る筈です。ですが、まぁ聞いてしまいましたので我が行って来ることにしましょう」


 王へと、そう話しかけると、


「セオス様が直々にですか? よろしいので?」


 遠慮するべきか? 疑問に感じている様子での問いかけに、


「この程度ならば、夜の間に終わらせられるでしょうから」


 簡潔にそう答えると、皆驚愕しつつ、


「ひ、一晩なのですか?」


 聞いた事が本当なのか、もう一度聞いて来るので、


「うむ、往復込みで一晩かな」


 判りやすくそう答えると、項垂れた王は、


「やはり、貴方様が世を治めるべきなのでは。そうすれば全ての民が平等に幸せに暮らせそうなのですが」


 自信を無くした様にそう言ってきた。それに対し、少し悲しそうな顔をしつつ、


「王よ、人族の書きし本に、最初の人族の創作話があるが読んだことは?」


 説明する前にと訊ねる。王家の者は王を含め全員が頷きつつ、


「読んだことは御座いますが、それが何か?」


 王が代表して答えてきたので、更に訊ねる。


「神が創りし楽園に最初の人族が生れ、何不自由なく暮らすが、知恵を得た為、野で暮らし始めるという話。その楽園に暮らす始まりの人族を幸せと思えるかい? というかそれを人と思えるかい?」


 問いかけるように話し掛けると、


「何不自由なく暮らせるのならば皆幸せなのでは?」


 思ったことを正直に答える王に、


「我が創り治めればそうなる。が、操り人形が如く意思がない者が、ひたすら死ぬまで動いているだけ、という世界が本当に幸せかい? 悲しみもない代わりに、喜びもない世界が。すべてが人形で在るかのようだからこそ、全てが平等なのだろうけどね。我には知恵を得た後、野で暮らし出した人こそ幸せだと思うよ」


 違う考えを皆に向けて話し掛けると、王は深く考え込みながら、


「なれば王たる者は何をなせば? 国民を不自由にしていてもいいのでしょうか?」


 また悩み、答えの出ぬ問いに、


「いや、人が人を思いやり、幸せになろうと前に進む事こそが、幸せへの道だと言っているのです。賢王たる貴方が国を支えようとして頑張る姿こそが王たる者の正しき姿だと思いますよ。人ならざるものが支配という名で統治しても幸せではないと言いたいのです」


 そう心からの笑顔で答えると、


「ありがとう御座います、セオス様。いままで以上に頑張って民を支えていきましょう」


 自分がやってきた事に自信を取り戻し、やっと笑顔を取り戻した王が返事をしていると、他の王家の家族の者達が、


「大切な話の様でしたので口出しはしませんでしたが、食事のついでにされるようなお話ではないと思うのですが?」


 やや呆れた顔の王妃がまず話しかけて来ると、続けて王子も、


「そうです、父上。私にセオスと合わせて友達になれるようにと言っておきながら、自分ばかりが話をするなど」


 今言うべきだと言い放ち、マリカも小声で、


「私も許嫁であるセオス様との初顔合わせでしたのに、まだ満足にお話も出来ていません」


 我慢してたと言い出すと、アンジェリカも、


「私もお話ししたいです」


 他の兄弟と同様に言ってきた。皆の話を聞いた王は、罰の悪そうな顔になりつつ、


「い、いや、皆済まなかった。前々より悩み答えの出ない事に、答えを貰えるかもと思うとつい、な。後はもう仕事の話はせぬでな」


 慌てつつ王ではなく困った時の親の顔で言い訳していると、その場を逃れる為、言葉を濁しつつ会話を次へと向けようとする。


「そうですね、後は楽しいお話にしましょう」


 その様子に気付いた王妃がそう言って助け船を出してあげるのだった。で、その後は、皆の普段の生活の様子や最近の出来事をききつつ、我の生れてからの話もしつつ、楽しく食事を済ませた。その後も場所をリビングへと移動し話し続ける。で、途中かねてより気になっていた事をマリカに聞いてみる事に。


「マリカ。幼き時より許嫁を勝手に我にと決められてて、嫌ではないでしょうか? 嫌ならば王へと我が止めるようお話しいたしますが?」


 素直にそう訊ねてみると、


「正直にお話すれば、昨日までは。セオス様がどの様な方か判らず、尚且つ何の為に習い事をし続けねばならないのか理由が判らなかった為、嫌になる時もありましたが、今日という日に、それは全て無くなりました。今は貴方の元へ行ける事を嬉しく思いますし、父上、母上の言う通り、つり合う様努力したいと思います」


 今の思いをその様に答えてきた。その言葉を聞き、満足げに頷く王と王妃を前に、マリカに向け笑顔で、


「つり合いは十分取れていますので、気負わずに過ごされても大丈夫ですよ」


 優しく話し掛ける。そして、


「マリカ、エレオノーラ、これを。我からのプレゼントです。街で仲良くなった者たちにギルドで働いたお小遣いで買った物をプレゼントしたので、洗礼で家族がお世話になったエレオノーラと許嫁と聞いていたマリカにもと思い持ってきました。これは買った物ではなく創った物ですが、受け取ってください」


 バックから取り出し、そう言って準備しておいたブローチを手渡すと、


「セオス様ありがとう御座います。あ、アウラニース様にうらやましがられるかもしれません」


 満面の笑顔で喜びながら冗談? を言うエレオノーラと、


「あ、ありがとう御座います、セオス様」


 言い終えた後、顔を真っ赤にして、また俯いてしまうマリカを微笑ましく思いながらも、まだまだ話がありそうな王へと視線を向けるのだった。

お話し、くどくなってきましたね;-;もうしわけないです~

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