王都へ向かおう!ーその10-
続きからです^-^
突如出現した壁に驚愕の表情を浮かべながらも、慌てて仲間たちに合図を送るがすでに遅く、二台の馬車は厚い球体状の壁に守られ手も足も出なくなっていた。その中では皆が、
「これでは外の様子が判らないな」
「坊ちゃん、これじゃ賊がどうしてるかが判りませんよ」
外の様子が知りたいと言う、皆の言葉を聞き、
「では、これで」
壁に手をあてると、一部透化させる。で、ついでに説明として、
「これは光を利用していて、こちらからは見えていますが、向こうからは見えていませんので、安心してくださいね」
皆に向けてそう話し掛けると、外を見ていた女の子達が吹きだして笑っていた。なにせ集まっている賊達20名以上が顔を真っ赤にしつつ、手に持ってる武器を振りかざし、ひたすら壁を壊そうとしていたり、魔法を使えるものは持てる魔力のほとんどを使い自分が使える一番強い魔法を使っている様だが、魔力切れでへたり込むまで使い続けてもびくともしない壁に打つ手を失っていた。それを見て皆やっと安心した様子を見せたので、
「では、時間もちょうどいい事ですし、夕食の準備に掛かりましょう。出来上がったら、外で一生懸命動いている人達を見つつ、ゆっくりと食事をしましょうね」
皆へと笑顔で話すと、笑いながらも準備に取り掛かり出した。で、エリーナさんが、
「セオス様、外でなら焚き火用の焼き場で調理できるのですが、この場所にはないのですが」
こちらに向かいそう言ってきたので、
うむ、片道で7日程、往復と滞在で20日以上の旅ですし、毎回焚き火用の場所を創るのも大変そうですし、此処はひとつ。と、火口の3ヶ所あるような横長のかまどをイメージし、
「万物創造」
皆に見えない場所で創り出すと、バックに収めていた振りをしつつ、地面に”ドン”と設置した。やはり皆呆れ顔で眺めているが、
「ありがとう御座います、セオス様」
「さすがセオ君だね」
様子を見ていたエリ-ナさんと姉上の、二人の平然とした言葉に、
「まあ、若旦那様ですし」
「ですね、いつもの事ですし」
「驚いても、しょうがないですしね」
何時もの事だ、などと話を締めくくっているのだった。かまどに火を入れ、水を母上が魔法で出すと、干し肉などで出汁を取り野菜などを入れて煮込んでいき野外とは思えない料理を、エリーナさんとネイエが作り上げていた。途中水を出した後手持ち無沙汰だった母上が手伝おうとしていたのだが、メイド部隊全員に、
「奥様は休憩していて下さい」
間髪入れずに断りを入れられていたのだった。で、いくつかの料理が出来上がり辺りに良い匂いが漂い出すと、全員が一か所に集まり、我が家のいつもの定番の夕食の時間が始まるのだった。皆で食事をとりつつ外を眺めると、道化の如く、息を切らした賊達が今尚、必死に壊れぬ壁と格闘している様子に、
この現実を見てもまだ実力差が判らないとは、救いようがない方達ですね。まぁ皆が寝静まる位までは十分疲れてもらいましょうか。と、考え、楽しい話で盛り上げて約束していた演奏を再び食後に披露しつつ、片付けを終わらせ、馬車二台に男性と女性陣が別れて休む事になったのだが、
「セオ君は、こっちね」
「若旦那様は私の横で」
「今日は私が~当番の日なのです~」
我にそう言いつつ、腕をつかまれ引きずられて行くのだった。で、その後は初の旅という事と、賊の事もあり緊張したのも手伝って、皆早い時間から眠りに落ちてくれたので、
助かりましたね、もっと遅くまで起きてるかとも思っていたのですが。そう思いつつ、こっそりと起き出し、馬車を抜け出すと、
「来ましたね、坊ちゃん」
外で待っていたアルフォンスが小声で話しかけてきた。で、
「ずっと待ってたのですか?」
彼にそう問いかけると、
「後始末に必要かと思ったので一応」
照れくさそうにそう言ってくるのだった。なので、
「では、また氷像を作りに行ってきますね。終わったら壁に出入り口を作りますので、そちらからどうぞ」
その場に残るアルフォンスへと、そう言い残して、我は壁を自分の分のみ解除して外へと出ると、疲れ果てている様子の賊に向かい、
「うむ、ご苦労様ですね。壊れないといつまでも判らないとは、考える事をしない野の獣と同じレベルなのですね」
彼らにそう言いながら、わざと笑顔で煽りつつ話し掛けると、倒れそうに疲れているにも拘らず、余程頭にきたのか、
「おい、小僧。いまなんて言った? 死にたかったらもう一度言ってみろ」
「他の大人たちはどうした? 女共でもいいんだが」
「人質になりに来たのか? 死にに来たのか? どっちだ小僧」
今までの事を何も考えず、やっと出てきた一人の人間に全員で群がる様に集まって来るので、
「疲れただろうから、永遠に眠るといいですよ。神氷」
周りの賊達にそう告げると辺り一面、氷が舞い踊り、次々に足元より凍り付いて行く。徐々に動かなくなる身体に、顔を恐怖で引き攣らせ、許しを請う叫び声を上げるも、
「貴方たちは、許しを請う、真面な者達を助けた事があるのですか?」
我のその言葉に、絶望を味わいながら氷像と化していくのだった。事が終わり中で見ていたアルフォンスが出て来るなリ、
「この氷像はこうやって出来るんですね。この前は騎士団と片付けに追われましたが、出来る様は・・・・壮絶ですね」
周りの様子を見つつそう言い、
「これ、如何します? 王都に持っていけば退治の報酬が出ると思いますよ」
我へとそう言ってきたので、王都での小遣いになるなら、とバックに全部収納していき跡形もなく処理していくのだった。
賊退治終了^-^ノ




