お買い物にいこうーその8-
続きなのです。
ネイエと二人、鍛冶屋の前へと歩いてくると、流石に三度目となると慣れてきたこともあり、入る前に、
「ネイエ、ここは今日買い物に来るためにギルドで依頼を受けていた際に、一度来た事のあるお店で、中にヴェルガーという父親の鍛冶師と、店番をしているアルティという娘がいるのですが、良い人達なので心配しなくていいですからね」
前もってそう言っておいた、後は、
今までの経験から、アルティさんが騒ぐでしょうが、それだけで済むはず。そう考えて、ドアを開け、
「こんにちは、いらっしゃいますか?」
中を覗き込み訊ねると、
「あ~、やっときたわね~セオス君。顔を見せに来てっていっておいたのに」
こちらに向け、そう言ってにこやかに応対してくれるかと思った瞬間、後ろからついて入ってきたネイエを見つけ、
「え~~、セオス君、そ、その子は誰なの?」
大声でそう聞いてきた。
うむ、やはりきたか。覚悟はしておいたし、ネイエには伝えておいたので、今回は後ろよりの声はない。なのでアルティに向かい、
「この子はうちの屋敷でメイドをしてくれているネイエといいます。料理が得意な子なのですが、使っている道具が大人用の大きなものばかりなので、使いにくいそうなのです。なので、この子の身体でも使えるような道具はないか、なければ頼んで作れるか聞こうと思って、伺ったのですが?大丈夫でしょうか?」
アルティにそう説明すると、
「え~と、セオス君とこの侍女さんなのね。それで良いお屋敷なの? どれ位の値段の道具を作ればいいのか判断する為にも、聞かせてくれるかな?」
どちらかというと好奇心の方が満載の様な顔で訊ねてきたので、
うむ~どうしようかな? 別に身分を言う必要もないんですが。と思い悩んでいると、ずばりとネイエが、
「え~と、若旦那様は領主様のご子息です。なのでお屋敷とは領主邸のことです」
アルティへと、そう言い放つ。それを聞いた彼女は、
「治癒術も使えるし依頼も受けてて頼りになりそうなのに、神童様の上に顔までとは・・・・神様贔屓しすぎです。ま、私的にはラッキーなのですが」
一人、そう囁きながら、
「おっと、ちょっと待ってて、裏に居る父を呼んでくるから」
こちらに向け、そう言って家の奥へと慌てて入って行った。で、すぐにもヴェルガーを連れて戻ってくると、
「さあ、存分に注文してあげて、セオス君のおかげで風邪が治って元気いっぱいだから」
我に、そう言ってくるアルティに、ヴェルガーは、
「いや、坊主の頼みなら喜んで聞きたいとこなんだが、今はちょっと・・・・」
困ったような顔をしつつ、口を濁していたので、
「何かあったのですか?」
ヴェルガーにそう聞くと、
「いや、最近、材料の金属を掘り出してくれている鉱夫たちから聞いたんだが、鉱山に蟻の魔物が大量に出ていて採掘中の坑道にも出ているそうなんだ。で、余り採掘量が上がってないらしいんだが、討伐している冒険者の為にも武器防具の鍛冶屋の方に優先して金属を回したいとのことなので、材料がな~・・・・」
仕方ないんだ、とその理由を言ってきたので、
あぁ、なんだ、そんな事ですか。情報が遅れているだけで、それは既に解決済みなのですが。などと考えながら、ヴェルガーに向け、
「いえ蟻の魔物は既に退治されて、もういませんので、近日中に採掘量も元に戻るはずです。なので材料もすぐに入るはずなのですが・・・・まだ聞いていないのですか?」
我が、そう聞き返すと、
「え? 風邪が治ってすぐ鍛冶をする為に聞いたばかりなんだが・・いつの事だい、それは?」
ヴェルガーにそう聞き返され、
「あぁ、此処に来た後、依頼で鉱山に行って、我が退治して来ましたので、風邪を治した後ですね」
平然とそう答えると、呆れた顔で、
「坊主がか? 治癒術師じゃないのか?」
問いただす様にそう言われ、
「いえ、戦闘も魔法? も、こなせますから。」
疑われない様、堂々とそう言うと、
「すごいんだな坊主は。で、材料が手に入るとしたら、その子の料理用の道具でいいのかい?」
横に居るネイエを見つつ、聞いてきたので、笑顔で、
「はい、そうです。よろしくお願いします」
笑顔でヴェルガーへと、そう言うと、
「ちょっと、此処で待てるか? 知り合いの鉱夫に今から聞いて来る。で、在庫が有れば金属自体を買い付けて来るんで」
彼の言葉に、すぐにでも作ってやろうとする気持ちが伝わってきたので、
「はい、ネイエと此処で待たせてもらいます。なので慌てなくてもいいのでお願いしますね」
すぐに出掛けようとしてくれているヴェルガーに、そう話しかけると、
「おう、じゃあ、行ってくる。アルティ、店番とこの子達を頼むな」
アルティへと、そう言うと、
「ゆっくりいってらっしゃい。で、セオス君たちとず~と帰るまでお話しするので、戻るの明日でもいいよ」
父にそう言って、送り出す娘に、
「アホか」
ため息を吐きつつ、一言呟きながら出掛けていくのだった。
まだ続くのです^-^




