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深夜のお散歩を楽しもうー中編ー

続きです~^-^

 街を出たところから道なりに北西へと進み、川に架かる橋を超えそのまましばらく進むと、西のラヒューレ大森林へと続く道と、北のイファイアス山脈へと続く道への分岐点が見えてくる。今晩の散歩の目的地、山脈側へと進もうとした時、その声は聞こえてきたのであった。


 

 四つの小さな影は今もまだ逃げ続けていた。各種族の村々より盗賊の手により奴隷商へと売り渡すため、捕らえられアジトに集められていた少女たちが、受け渡しを明日に控えたこの日、早朝からの引き渡しの為早めに皆が寝静まるのを待ち、見張りの者だけ残っているのを、いままで見せずにいた狐族の種族魔法で昏倒させ、その隙にようやく逃げ出したのだが、さすがに気付かれず済む時間はそう長くはもたず、


「おい、お前たち何をしてやがる。判ってるんだろうな、明日が受け渡しなんだぞ、奴隷商人相手に逃げられましたや、揃えてません、は通用しないんだぞ」

「お頭、すいません、まさか狐の野郎が魔法を使えるなんざ、思ってもみないもんで」

「言い訳や、能書きはいいから、全員でさっさと探し出して来い。出来なかったらその時は、判ってるだろうがな」

「はっ、はい。いますぐ探し出してきやす」

「たっ、ただちに」


 握りしめていた大きな斧を地面に叩きつけながら、頭と呼ばれた男がそこにいる手下全員に大声で怒鳴り散らす。それを受けた盗賊たちは蜘蛛の子を散らすように小さな洞窟になっている森の中のアジトより一目散に飛び出して行った。三、四人一組でさらった時の様に隊を組み、森の中を捜索してゆく。何より捕らえられた後、満足に食料を与えられていない子供たちと、きちんと食事をしているそれも大人とでは、森の中を進める距離が断然ちがうのだ。頭に怒鳴られた怒りの矛先を逃げた獣人の子供達へと向け、苛立たし気に探し続ける。そのうち、一つのグループが、


「おーい、見つけたぞ、こっちだ」


 他所に居る仲間に向け、大声で連絡をおこなう。静まり返っていた夜の森ではその声は辺り中に響き、方向を変えた他の者達は、合流すべくそちらにすぐに向かうのだった。



「もうすぐ、もうすぐだと思うのに、何でまだ見えないの」


 盗賊の手下どもの声を後ろの方に聴きながら、逃げる狐の獣人は弱った羊の獣人の手を引きながら街を目指す。


「ルナール、もう追い付かれるわ、私の事は置いて、カーネとフェールだけでも連れて逃げて」

 

 手を取り引いてくれている、狐の獣人ルナールに向けて、犬と猫の獣人だけでもと名を叫ぶ。それを聞いた残り二人は、


「いいえ、ネイエ。助かるなら皆一緒です」

「そうです、一緒がいいのです~」


 犬のカーネと猫のフェールも叫びながら進む。皆で疲れた足を引きずりながらも進んでいたが、


「おい、やっと追い付いたぞ、手間かけやがって」


 手下に追い付かれ、いきなり蹴り飛ばされルナールはうずくまる。それを見た他の三人も恐怖で身動きが取れず捕らえられ、


「連れもどすぞ、お頭がお待ちだ」


 子供達を睨みながらそう言うと、四人を引きずるように、来た道を戻っていくのだった。


「なんとか全部つれもどせたぜ、これで足りなくなってたら、お頭から俺たちがどんな目にあったか」

「ああ、赤斧のガルゼンと言えば、女子供でも平気で殺す凶賊で有名だからな」


 仲間同士そんな話を大声でしながら、誰も訪ねる事のない夜の森をアジトに向け歩いてゆく。そして洞窟の前に戻ると、その前には苛立たし気に立ち尽くすガルゼンの姿があった。


「なんとか、全部連れ戻せたみたいだな、それにしても、狐の奴が怪我してるみたいだが?」


 子供達を確認しつつ、そう手下に声を掛けると、


「連れ戻すのに言う事を聞かず、手間をかけさすもんで・・・・」


 ガルゼンに向けそう答えていたルナールを蹴り飛ばした手下に向け大斧をふるい、


「馬鹿野郎どもが、明日渡す商品に傷をつけて値段が落ちたらどうしやがる、付き合い続ける奴隷商を探すのは、お前たちの代わりを探すより大変なんだぞ」


 意に沿ぐわない部下の一人を平然と血まみれにし、四人の子供を睨みながら、


「おい、ガキ共、おまえらもああなりたくなかったらおとなしくしてろ。まあ買われた後でどうなるかは、相手次第だがな」


 冷たくそう言い放ち、手下共にもう一度、怒鳴り散らす。


「おい、そこをきれいに片付けとけ、あした客が来るんだぞ」



 あぁ神様、わたしたちが何かしたのでしょうか。なぜ私たちが、いいえ、せめて、他の三人だけでも・・・・そうルナールは心の中で祈りながらも、最後に、


「あぁ神様・・・・」


 一言囁いたその言葉に、


「呼びました?」


 誰もいなかったはずのすぐ後ろより、かわいい声が聞こえて来るのだった。


あと1話続きますです。

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