セオス、お出かけをする、-準備編ー
街まで行く予定でしたが、まとめきれず、すいません。
月日は流れ、転生して早三年が経った。
はじめて父上をパァパ、母上をマァマ、姉上をネェネと言ってあげたときの家族の喜び様は凄まじかったと思う。ここまで喜ばれると、もっと早く言ってやればともその時は思ったが、余り早すぎても不自然なので、まぁ今にして思えば丁度いいかも、というところだ。で、メイドのエリーナもあれ以来不思議がることも(あまり)なく、順調に過ごして来れたと思う。たま~に、遊びに来ている精霊たちと会話していると、だぁう~としか聞こえないはずなのに、
「セオス様~ご機嫌そうですね、誰とお話ししているのですかぁ?」
などと話しかけてこられた時など、うむ、ばれたか?見えるのか? と、思ってしまう程だ。感が良いというか、観察力に優れているというか、かなり優秀なメイドさんだと思う。この子もやはり、マテウス王の紹介だと言うので納得の部分でもある。
何というか、この位の歳<たぶん20歳位?>で、来客への対応も、家事全般も、出産の手伝いまでもこなせるとは、凄いというしかないな。綺麗な若葉色の髪を後ろで束ね、美人の上スタイルもいい、どこの完璧超人なのだろうか? 見ていてそう思えてしまった。
街の民の様子を、窓から我が眼でよく眺めているが、同年代の者たちは恋におしゃれにと、忙しそうなのに、余り休みも取らずによく頑張ってくれている。我が大きくなるまで働いていてくれるのなら、手厚く遇せねば、と思える程だ。それにしてもまだ毎日が、屋敷の中だけなので、母上、姉上、エリーナといる時間が非常に長い。父上などはなかなか来れず、最近になってようやく仕事に慣れてきたみたいで文官たちに注意されることが減ったよ、と家族に話してるのを聞き、父上、我が手伝えるようになるまで、暫しの辛抱を、それまで家族の為、頑張るのだ。などと、心の中で呟いて慰めていた。
まぁ我が生れてからこの辺りの土地は、天候も土壌も申し分なく、作物も例年以上に収穫できていると、元農家である、父上が太鼓判を押しているので、飢饉などの心配は当分ないことだろう。鉱山の方の鉱物も順調に採掘出来ているみたいだし、魔物の方は冒険者ギルドなるものがあるそうなので、領主の方には素材など回ってはこないので、詳しいことは判らないが、街の中を見る限り、露店で肉や商店で皮製品などが出ているところを見ると、こちらも順調そうだと思う。そのような状態なので、前置きはこの位にして、本題に入ろう。街に家族総出で、初お出かけなのだ。
目的地は教会。領主の事業の一環として、少額の寄付は、文官を通して月々おこなっていたが、家族全員元農民の為<小さな農村には教会はない>、洗礼を受けていなかったそうなのだ。で、父上が領主の仕事に慣れてきて、我もある程度大きくなってきたこの時期に、全員で受けておこうという事で、家族の意見と文官のスケジュールが一致したそうなのだ。まぁ受けておいた方が、貴族としては道理であろうな。という思いと共に、暫しの思考に浸る。その間、いそいそとエリーナが着替えさせてくれてるみたいだが、意識を中に向けているので気にならない。
この世界の今の時代の教会は、色々と影響力が濃い<光と闇の精霊調べ>。まず神がいる、というのが事実としてある世界なので、その窓口ともいうべき、僧侶や巫女を抱えるこの組織は国を超えて影響力を持つ。その上、洗礼という名の儀式を行うことで、個々の属性を大気中の魔素へと繋げることを行うのも社会的地位を確立するのに一役買っているのである。個々の属性はおおまかには髪の色<父上の様に光属性なら黄金色の、母上のように水属性なら清き水の様な、姉上など両親どちらとも似ず火属性なら炎の様な、>などに出るので、判ってはいるのだが、その儀式をおこなはないと、強弱はあるものの、魔法自体使えない。で儀式自体がそれなりの金額を必要とする<名目上はお布施なのだが>上に、弱かったら、光なら豆電球程度の明かり、水ならコップ一杯の水、火なら蝋燭程度の、と割に合わないことが多いので、庶民では受けないで過ごす者も多い。しかし貴族などは有要事、もし強力な魔法が使えるものが居るのと居ないのでは、領地を守る上で非常に差が出るので、きちんと受けておくことが習わしとなっているのである。
心の中で、う~む・・・・我には関係ないのだが・・・・などと考えていると、
「さあ、行きましょう」
皆の元へと母上が我を大事そうに腕に抱き向かうと、家族全員が外に用意してある馬車に向け歩を進めるのであった。
えと、まだお出かけ編続きます、退屈でしょうがお付き合いをお願いします。




