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Episode:100

 副学院長とその一派が悪巧みを実行に移し、その一環で予想外の騒ぎを起こしがちな低学年を監視下に置いた、というところだろう。

(ヒマですこと)

 権威などなんとも思わないタシュアにしてみると、何でここまで労力を払ってコトを起こすのか理解できない。


 そもそも当該するだけの能力がないからこそ、今の立場に甘んじているはずだ。それを自身を変えるのではなく無理やり環境を変えようなど、自身を客観視出来てないが故だろう。

 加えて、それに同調する教官が多いのも気に入らない。


(能力が無い人間ほど、欲は人一倍ということですかね)

 ただ、何かをしようという気にはならなかった。立場上、教官たちが下級生を傷つけるとは思えない。そんなことをすれば、自分たちが学院を掌握した際にすぐ困る。


 この学院は、単独で存在しているわけではない。幾つもの分校を各地に抱えており、微妙な力関係で成り立っていた。

 例えば規模で言えば本土の分校のほうが大きいし、やはり本土の金持ち付け箔付け校は政財界の師弟が多いため意向を無視できない。首都の分校もやはり有力者が多いし、他国にあるものは当然違う主張をしてくる。


 一方でこの本校は採算は取れているものの、規模では小さい方だ。MeSとしての実力では今なおトップを誇るが、他校もそれぞれ独自性を打ち出して対抗していた。

 こういう背景が在るため、本校の発言力は外の者が思うほど強くない。しかも他校は隙あらば本校の発言力を削ごうとしているから、おかしな真似は出来なかった。


 ――なのに、万が一生徒を傷つけでもしたら。


 この辺の事情は、教官なら誰もが知っているはずだ。

 逆に言うなら、生徒を傷つけるようなことは出来ない。そんなことをして他校から糾弾されたら、副学院長が学院を掌握する意味が無くなる。


(まぁ、もう失いつつある気もしますがね)

 この騒ぎを外へ知られずにどう学院長の交代をするつもりなのか、見てみたいくらいだ。

(さて、どうしますか)


 状況さえ分かってしまえば、さして用は無い。通信網が使えないのは少々不満だが、事が済めば回復するだろう。

 適当に歩いていく。途中何ヶ所か教官が見張りをしていたが、難なく通り抜けた。

 人影のない校舎を抜けると、明かりの漏れる食堂が目に入る。


(……夕食にしますか)

 思えば任務から戻ってきたときに、部屋にあったものを少し食べただけだ。後は寝てしまって何も口にしていない。

 正面の入り口には教官が立っていた。

 構わず近づく。







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